一話 どうしよう
結局、自分の会社に職業体験しに行くことが決定した僕は学校が終わるとサッサと会社に帰り、会社にある自分の部屋で黄昏ていた。
こうやって椅子に座って外の景色を見るのもいいものだな。
そんな現実逃避をする。
まあ、意味のないことだけど。
さて。
「どうしよう」
そもそも、あまり意味のないことなのだ。
確かに、僕が普段見れないところを見ることが今回の職業体験では出来る。
でも、会社内の動向は部下からちゃんと挙がってくるし、不審な点は護衛達が調べて即座に処理してくれる。
「貴重な行事がさよならだよ」
自分の系列の職場以外は滅多なことじゃ行かないし、行けないからな~。
「姉さんのこともあるし、本当にどうしよう」
父さんたちや護衛たちから聞いているけど、あんまり元気がないようだし。
それに、学校にも行ってないようだ。
あとで父さんにでも頼んで行かせるように言ってもらうかな。
「まあ、ここはポジティブに考えていこう」
姉さんのことは無理だけど、職業体験はポジティブにいけるはず。
「自分の目で社内を見れるんだ。それに普段はあまり見れない普通の社員も見ることが出来る。いいこともあるんだ」
自分を納得させるために必死にいいことを考える。
「はあ。もういいや。今日はご飯食べて、お風呂に入って寝よう。仕事は溜まっていた分は終わらせてあるし、明日にでもまた、当分仕事しないでいいようにストックを用意しておこう」
普段、自宅にいて学校に通っている僕は会社に出向くことは少なく、仕事も家でやっている。
だからこういうときに色々終わらせておくといいよね。
流石に緊急時や僕がしなきゃいけない仕事はすぐにやるけどね。
そんなこんなで若干自棄?になった僕は素早く食事と入浴を済ませるのだった。
・・・
―高原家―
「実咲。上手くいったかい?」
「ええ。いきましたよ!」
櫻嘉が実咲に今日の出来事を聞いていた。
時刻は夏月が会社に戻った頃だ。
「そうか。良かった。しっかり夏月君のことを知って来なさい」
「ねえ。これって必要だったの?確かに私も気になってたし、ちょうどいいとは思ったけど。学校まで転校したのよ?それで十分じゃないかしら?」
「いや、彼は色々と隠しているからね。それを知っておいて損はないよ。それに、実咲の結婚相手になるかもしれないのだから、知っておきたいじゃないか」
「それは双方がお見合いで同意したらでしょ?」
「私としてはそうなって欲しいのだがね」
「私としてはものすごく複雑よ。それに命の危機でもあるし」
実咲は美香のことを言っているのだろう。
体が震えている。
「あ、ああ。そのことがあったね。夏月君が味方になってくれればそれは抑えられるだろうが・・・」
「それでも危ないと私は思うのだけれども」
「ま、まあ。そこは当たって砕けろだ」
「娘に向かって言うセリフじゃないわよ!」
この後、今後の方針などは話し合われず、仲の良い親子喧嘩が繰り広げられただけであった。
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