六話 正体
1000ユニーク突破です!
読んで下さっている皆さん、ありがとうございます!
それでは今回の話をどうぞ!
僕は高原さんの心配をよそにまるで多部が殴り掛かってくるのが分かっていたかのように避ける。
まあ、実際に分かっていたんだけど。
「あらら。これは残念だったね?」
僕は振り返って唖然としている多部に向かって若干の挑発を含んだ口調で言う。
「なんで・・・見もせずに。お前はそこで気を失っている姉みたいな達人でも、あそこの五人のような戦闘のプロでもないだろ!」
僕は多部に顔を近づけてニコリと笑って言う。
「内緒」
僕の笑顔に本能的に恐怖したのか、ブルブルと震える。
そして、感情に任せて僕に特攻を仕掛けてきた。
これぞまさに自暴自棄だね。
「どうなってんだ!どうして!かすりもしないんだ‼」
僕は多部の力任せの攻撃を全てスルスルと余裕をもって避けている。
「君が考えて、そしてそれを行動にしようとしていることくらい、簡単に視えているよ」
焦っている多部を視ながら僕は冷笑する。
そしてわざとらしく演技っぽいしゃべり方で話し出す。
「『ちくしょう!杉山の言うことなんて聞くんじゃなかった!ちくしょうが‼』」
僕がしゃべっている内容に多部は恐怖で顔を歪める。
杉山さんや高原さんは僕が急に変なことを言い出すので頭に疑問符を浮かべている。
「『一体どうしてこんなことになった⁉こんな・・・こんなことはありえない!あるはずがない!どうにかして逃げ出さなきゃならねえ。どうする?どうしたらいい?くそっ!高波が最初から俺らに媚び売っていればこんなことには・・・。媚び?そうだ。高波に媚びを売って何とかこの状況から逃げ出すんだ。杉山を売れば何とか矛を収めてくれるだろ』」
・・・・ありえない。
・・・・・・どうしてといった感情の混じったような表情をする多部。
そう。
さっきから僕が喋っていたのは僕に攻撃する前の多部の思考だ。
自分の考えていることが読まれていることに気がついた多部は僕に対する攻撃をやめてしまった。
「はい。これで多部君はおしまい。次は杉山さんかな?」
僕のその言葉に杉山さんはビクッとなった。
「『一体、何が起こっているの?とにかく、これはまずい。多部はもう使い物にならない。この場は反省して、逃げ帰ろう。学校で報復出来ないなら近所だ。高波君の家の近所に噂を流して住みづらくしてやる。』」
僕の言葉を聞いて杉山さんも多部と同じように顔を蒼白にしていく。
「『お父さんに言えばメディアを通して高波君の親が経営している会社を叩いてもらえるし。詰んだのはあなたよ!どん底に叩き落されるがいいわ!』」
「ど、どうして?」
「そういえば、杉山さんの親は報道関係の仕事をしてたんだっけ?結構上の役職に付いているみたいだね?」
杉山さんの疑問に答えずに僕は話し続ける。
「さて、どう料理してやろうかな?その考えからして君のお父さんもまあまあのクズみたいだし」
「どうしてあなたが私のお父さんの仕事を・・・?」
「君のお父さんが務めている会社の名前を言ってごらん?」
「HWM社報道部」
「正式名称は?」
「ハイ・ウェーブ・ムーン株式会社・・・」
「日本語でそれぞれ訳してごらんよ」
「高い・波・・・・。・・・・月?・・・。!」
「気づいたようだね?そう、君のお父さんを雇っているのは僕なんだよ。しかし最近、通りで報道支部の動きがおかしいと思ったら君のお父さんが原因か」
「はい。調べたところ、夏月様が仕事を任せてくれていることをいいことに好き勝手にやっているようです」
イヌが先日調べてくれていたことを僕に教えてくれる。
「全く。夏月様の信頼を仇で返すなど、到底許せるものではありませんね」
サルが呆れたような声色でため息をつきながら言う。
「そこは帰って処理するよ。とりあえずはっと」
そう言って僕は改めて杉山さんを見る。
「君はすでに詰んでいるとかいうレベルじゃないんだよ。簡単に言えば四面楚歌かな?」
力ずくでの脅しも返り討ちに合い、学校での仕返しも封じられ、さらには家族に頼ることも出来ない。
むしろ自分で家族の首を絞めたのだ。
これを四面楚歌と言わず何という。
「あ、ああ」
今度こそ心を折られたのか、完全に頭を垂れる。
「今度こそ、これでおしまい」
僕はそう言うと再びキビ返して歩き出す。
「今日あったことは内緒にしておいてあげるよ」
そう言い残して今度こそ僕はその場を後にした。
イヌたち五人とイヌとサルに抱えられている姉さんと高原さん、そして校長先生と今川さんも僕の後に続いた。
完全勝利!
読んでくれて感謝です。
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