四話 教え
僕のその様子を見て((勝った!))と多部と杉山さんが思ったことが僕の目から分かった。
いや、僕の目じゃなくても誰でも分かったかもしれない。
それほど嬉しそうな顔を浮かべていたのだから。
「誰にでも逆鱗ってものがあることを覚えておいた方がいい。もちろん、僕にもあるってことも」
僕は二人を冷酷な目で見る。
「ああっ⁉なんだと‼」
僕の答えにイラついたのか、それとも僕の目に恐怖を覚え、それを振り払おうとしたのか大声で凄む多部。
そして、僕に出来ることはもう何もないと考え、勝ち誇って笑っている杉山さん。
そんな二人に構うことなく僕は言葉を続ける。
「君たち二人は上司としても、仲間としても、友人としても落第点だ。失格だ。部下を使い捨てにし、仲間だと、友人だと思ってくれている奴を卑下する」
僕は一呼吸置いて言い放つ‼
「だからこれから見せてあげるよ。これが上司と部下の関係だ!本当の仲間というものだ!これから先を共にする友人というものだ!」
僕はそう言い終えると「頼むよ、みんな!」と叫ぶ。
変化はすぐに訪れた。
僕の後ろに四人の人影があった。
身長もバラバラでそれぞれ一番小さい人影にはウサギのお面、次に小さい人影にネコのお面、三番目に小さい人影にキツネのお面、一番大きい人影にサルのお面が付けてあった。
「なんだっ⁉こいつらどこから出てきやがった⁉」
四人の姿を見て慌てふためく不良たち。
そんな不良たちを無視して僕は彼らと会話する。
「夏月様~。急に呼び出すとか勘弁してくださいよ~。せっかくの休日なのに~」
とウサギが高い声で文句を言う。
まあ、高い声は当たり前か。
女の子だし。
それは兎も角。
ウサギの文句を聞いたキツネが凛としたアルトボイスでウサギを注意する。
「夏月様に呼ばれたのなら駆けつけるのは当たり前のことだ。文句など言うな」
「そうだそうだ~」
無気力に相槌を打つのはネコだ。
「まあまあ、落ち着けよお前ら」
そう言って渋い声でなだめるのはサルだ。
「サルの言う通りだよ。一旦落ち着こう。ウサギもごめんね?せっかくの休日にわざわざ来てもらって。今度から休日には出来るだけ呼ばないように気をつけるからさ」
「・・・。別に呼ぶなって言ってるわけじゃないし・・・」
としょげるウサギ。
「ウサギは夏月様になかなか呼んでもらえなくて拗ねてるだけだもんねー?」
ネコがそう言ってウサギをからかう。
「ばっ、ちっ、違うし!」
ウサギはネコのからかいで慌てふためく。
と、そこに
「夏月様。こちらは完了しました」
そう言ってさらにもう一人出てきた。
イヌのお面を被っている長身でイケメンボイスな男。
「お疲れさま、イヌ」
イヌの両脇には高原さんと気絶した姉さんが抱えられていた。
「あっ!イヌのリーダー!リーダーからも言ってくださいよ~。私、今日は久しぶりに発売の大人気シリーズのゲームを買いに行くつもりだったのに、護衛で丸一日潰れたんですよ!発売当日に買いに行かなければ品切れは確実!なのに。決して夏月様になかなか呼んでもらえなくて不機嫌なわけではなく」
ウサギがイヌに訴えかける。
「我々は夏月様に大恩のある身だぞ。その夏月様に文句を言うなどとはな。ウサギ、お前は帰ったら特別メニューをこなしてもらう。覚悟しておけ」
「それだけはご勘弁を!」
素早く土下座するウサギ。
「ハハハッ、イヌ。そこまでにしてあげてよ。ウサギ、そのゲームならいくつかサンプル用に確保しているから、それを一つあげるよ」
「ホントですか⁉あ、ありがとうございます‼」
嬉しそうにその場を飛び回るウサギ。
まさしく兎だ。
と、そこで
「いつまでも俺達を空気にしてんじゃねぇー‼」
僕らの仲のいいやり取りを見せつけられ、ついにキレた多部が大声をあげる。
「いつまでも放置して悪かったね。それじゃあ皆」
僕は五人を見る。
「殲滅だ」
『了解!』
読んでくれて感謝です。
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