二話 交渉決裂
ついにシリアス開始。
それではどうぞ!
体育館に入ると杉山さんがステージの上にいた。
さらにその後ろに見知らぬ男が立っていた。
「待ちくたびれちゃった。それはそうと高波君?隣にいる人は誰かな?何度か学校にも来てたよね?」
ニコニコしながら僕に聞いてくる杉山さん。
僕は見れば分かったけど、あれは苛立ちと焦り、そして若干の不安を隠している。
姉さんという不確定要素が僕にくっ付いてやって来たのだ。
そりゃ不安にもなるわ。
それに、姉さんに容姿で負けていると自覚したのもあるだろう。
学校では自分が一番だと自負していただろうし、この辺じゃ誰にも負けないとも思ってただろうからね。
「僕の姉さんだよ。不良たちのいる場所になんて一人では怖くて行けないんでね。頼んでついて来てもらったんだよ」
僕がそう言うと杉山さんと男は笑い出した。
「さすが、いいところのお坊ちゃんね」
姉さんを連れてきた理由があまりにも情けなかったため、安心したようだ。
杉山さんが笑いを必死に抑えながら言う。
「ホントだぜ。こりゃお笑い種だ。一人で来たらよかったものを。自分の姉をわざわざ巻き込むなんてな」
「一つ聞きたいんだけど」
杉山さんと男の笑いが収まってきたところを見計らって僕はここに入ってきた時からずっと持っていた疑問を聞く。
「杉山さん。さっきからナチュラルに会話に参加しているその男は誰なの?」
姉さんも僕と杉山さんの会話には入ってこないのに、この男はそれが当然とばかりに会話に入ってきていた。
まあ、実際は分かってはいたんだけど、頭が回ると思われると困るから普通の凡人を演じる。
「あらあら。そこまで頭が回らないのかしら」
僕を小馬鹿にしているような言い回しだ。
ここまで簡単に僕の術中に嵌まってくれるなんて。
どっちが頭が回らないんだか。
「俺はコイツがお前を入れようとしているグループのリーダーの多部だよ」
杉山さんと同様に僕を小馬鹿にしながら多部は答えた。
(よし。ここまで馬鹿だとは思わなかったけど、狙い通りだ)
杉山さんと多部は僕をニヤニヤと見ている。
本当にやばいのは僕じゃなくて君たちなのに。
ここまで来ると滑稽だな・・・。
「まあいい。そんなことより返事を早速聞こうじゃないか」
笑いが完全に収まったのか、多部は真顔で僕に返事を聞いてくる。
「まあ、姉さんをここに連れて来ている時点で薄々気づいているとは思うけど、ここではっきり言っておくよ。お・こ・と・わ・り・だ!」
「へぇ~。ここまではっきり断るとは思わなかったわ」
驚く杉山さん。
どうやら僕の答えが予想外だったようだ。
本当に頭が弱いみたいだ。
なんだか、さっきから僕がこいつらをディスってばかりだ。
でも、他に表現が見つからないのだから仕方ない。
「ああ、そうだな。それじゃここからは力づくだな。お前もこのままただで帰れるなんて思ってないよな」
多部がそう言うとステージの裏や僕たちが入ってきた入り口から次々にガラの悪いやつらが出てきた。
「お前ら。この臆病なお坊ちゃんに俺らのことを教えてやりな」
『うーす‼』
その掛け声とともに僕に一斉に襲い掛かる。
姉さんにはイヤらしいことをしようと考えているのか、違う意味で襲い掛かった。
読んでくれて感謝です。
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