もう一つのスト―キング その②
夏月様が次にやって来たのは友人の家がやっているレストランだ。
雰囲気もなかなかいい。
リーダーと私も変装して中に入る。
まあ、私たちのことは夏月様しか知らないからこんなことしても意味はあまりないけど。
待ち合わせしてますとウェイターに言って店の奥に行く。
奥の席にはさっきの話で出てきたサルがいた。
「お疲れさま」
「遅れてすまない」
私とリーダーがそれぞれサルに一言入れて席に着く。
注文を聞きに来たウェイターにはリーダーがコーヒーを、私がココアを頼む。
子どもっぽくて悪かったわね‼
「いえいえ」
「それで?なにか変わったことはあったの?」
「特に何もないですよ」
「そうか」
「それはそうと、ネコさんは相変わらずのようですね」
「まあ、あいつもなんだかんだ言って夏月様のこと大好きだからな」
「えっ!」
「おいおい、ウサギ。そんな反応すれば誰にでもバレバレだぞ」
「う~。はい」
と、私たちが会話していると急に殺気が夏月様のいる方向から放たれた。
「「「っ!」」」
それを受けていつでも動けるように身構える私たち。
が、それは杞憂に終わった。
「なんだ。美香様か。脅かさないでよ」
「ハハハッ。どうやら周りのウェイトレスに反応して出しているようだ」
「そんな素人相手に出されてもこっちが困ります」
まあ、その通りだ。
殺気が分かる私たちではついつい身構えてしまう。
と、そこでちょうどウェイトレスが注文したコーヒーとココアを持ってきた。
サルはすでに紅茶を注文しているのでそれを飲んでいる。
「まあ、しかし、ここも異常はなさそうだな」
「ええ。それと、別行動で情報を集めているキツネからですが、どうやら我々の内部に今回の関係者がいるようです」
「偶然か?」
「偶然ではありますが、その関係者はどうも最近やりたい放題のようです」
「よし。そちらも同時進行で処理を進めろ」
「了解」
「ねえ、サル?それにリーダー?真面目な話をするのはいいんだけど、夏月様たちもう店を出ちゃったよ?」
シリアスなのはいいけど、ちょっと抜けてるのよね。この二人。
「急いで追うぞ!」
慌てて店を出るリーダー。
ちなみに会計は二人がシリアスになっている間に私が済ませた。
コレ、経費でおちるかしら?
・・・
この後の移動先には異常はなさそうなので一旦集合した。
情報収集していたキツネも来た。
「これより、この後に起こるだろうことに対しての割り振りをする」
リーダーがその場を仕切りながら言う。
ちなみに現在、私たちは大型ショッピングセンター内の喫茶店にいた。
「最終的には全員で体育館に向かうが、それまでは別行動だ」
リーダーの言葉に頷く私たち。
「夏月様には変更なしでウサギが」
「了解」
「美香様にはキツネに付いてもらう」
「了解です」
「実咲さんにはサルにお願いする」
「はい」
「ネコには今川さんと夏月様の学校の協力者を連れて来てもらう。まあ、協力を要請したらこちらに合流してくれ」
「お~まかせ~」
「俺は先行して体育館内に潜入する。それとどうやら夏月様のお宅の周りに不良が数人確認されている。特に実咲さんを担当するサルは注意すること」
「了解。ただ、何かあっても怪我がない限りは放置します」
「何か考えが?」
「いえ、どうやらここまで一人で夏月様を助けようと奮闘なされているようですので少しお灸を。驕りはもっとも忌避されるものの一つですから」
「分かった。そこはお前に任せる」
リーダーはそう言い終えると私たちを見渡す。
「よし!それでは行動開始!」
「「「「了解!」」」」
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