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もう一つのスト―キング その①

この話は裏話のそのさらに裏の話みたいな感じです。

ややこしいと感じた場合は特に気にする必要はありません。

夏月がデートしていたときにこういうことが裏であったと認識してもらえればそれでOKです。



 夏月が家を出発したとき、何故か近所の屋根の上に乗って夏月を見ている者がいた。

 

 夏月は一瞬その屋根の方に、つまりこちらに視線を向ける。


(ちゃんといるな)

 

 夏月は自分が手配しておいたことがしっかりと出来ていることを確認するとそのままその場を後にした。


(相変わらず鋭い。こっちはプロなのに、こうもあっさりとこちらの居場所を見つけ出すなんて)

 

 やってられないといった風に首をやれやれと振る。


(しかし、やってくれた。この大事な日に仕事を私たちに回してくるなんて。私がリーダーだったら即断ってる)

 

 決して、ここのところ全然呼ばれてないことに対する不満から来ているわけではない。


(そもそも、私以外の四人も行動してんだから私がこんなことしなくてもいいじゃん)

 

 決して、偶然を装ってばったり会おうとなんてしてない。


(まあ、そんなことをすれば、私たちのことを知らない美香様は絶対キレちゃうし、私たちの所のことを美香様に話していない夏月様は困ってしまうけど)

 

 この業界、念には念を入れておいて損はない。


(まあ、戦いで美香様に勝てるわけないしね)

 

 そうこうしているうちに夏月様は待ち合わせの場所に向かってどんどん先に行ってしまう。


(おおっと。考え事は後にしないと置いて行かれる。恨み言は後で言えばいいや。多分、今日は呼んでもらえるだろうし)

 

 そう考えて夏月を追いかけて、屋根から姿を消した。




                ・・・




(あーあー。嬉しそうにしちゃって。幸せそうだな、美香様)

 

 待ち合わせ場所の商店街で夏月様と美香様のやり取りを見ながら少し羨ましそうにしている。


「夏月様の方に異常はなさそうだな」

 

 そう言って話しかけてきたのはイケメンボイスの長身男。


「あ、リーダー。こっちは問題ないですよ」


「まあ、問題があっても困るんだかな」


「まあ、その通りですけど」

 

 こうして話している間も夏月様たちから視線を外さない。


「それにしても、やっぱりリーダーを美香様の方に当てましたか」


「ああ。そうだな」


「大切なのは分かるんだけど、いい加減過保護だな~」


「それだけ美香様が大事なのだ」


「まあ、いろんなことを美香様にされて嫌がっているの、表面上だけですからね~」


「見ているこちらの方が面白く感じてしまう」

 

 微笑ましそうに夏月様を見るリーダー。


「ご~りゅ~」

 

 そう話していると間の抜けた声が聞こえてきた。


「間の抜けた声を出すな」


「すみませ~ん。とりあえず、実咲さんも商店街に入りました~」


「そうか。まあ、全体を見ている我々からすると完全にストーカーだよな」


「実咲さんね~」

 

 今現在、私たちは車の中だ。


 まあ、ただの車ではなく、商店街の監視カメラをこちらでも見れるようにしたモニター付きのものだが。


「まあ、私たちも同じようなものだけど~」


「まあ、何も言い返せないな」


「ちょっ!ち、違うし!これは夏月様に頼まれたことだから違うし!」

 

 リーダーはあっさり認めて他意のないことを証明したのに、うっかり失敗してしまった私。


「ニヤニヤ」


「声に出してニヤニヤすんな!」

 

 ニヤニヤする馬鹿に抗議する私。


 わ、私にだって他意はないもん!


「いや~。反応が相変わらず面白いね~。やめらんないわ~」


「う~」


「そこら辺にしておけ。夏月様たちの方に動きがあったぞ」

 

 モニターを見ると夏月様たち・・・というか美香様が絡まれていた。


「ホントだ。まあ、アレくらいなら美香様に瞬殺だろうし、傍観してても大丈夫でしょ?いざとなったらそばにアイツも控えているし」


「そ~だね~。おかげで私たちは楽ちんだし~」


「あんまりサルを酷使してやるなよ?真面目なんだから、あいつは」


「分かってまーす」


「ま~す」


「ならばよし」

 

 そして再びモニターを見る。


 どうやらもう騒動は終わっていたらしい。


 騒がしいから商店街を出るらしい。


 休憩もここまでのようだ。


「じゃ~、私はちょっとさっきのふりょ~たちに軽くお仕置きしてくるから。あとよろしく~」


「あんまりやりすぎるなよ」


「わかってま~す」


「任せたって言ってもちゃんと戻ってくるのよ!サボって帰るんじゃないわよ!」


「わかってま~す」


「ホントに分かってんのかしら?」

 

 リーダーと私がそれぞれ注意して、それぞれ車を後にする。





読んでくれて感謝です。

次の話もよろしくお願いします。

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