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一話 家出騒動終了

二章に入ります!

どうぞ!



僕の説得のおかげで一件落着?した高原さんの家出事件。


一般的な小説のように延々と続くわけでもない。


それはともかく今、僕は困っていた。


その理由は二つある。


一つは今朝の事件に乗り出し、見事に解決まで導いたことで、それはそれで良かったん だけど・・・。


結構精神面的にきつい。


 ものすごい疲れた。


くるものがある。


だが、こんなことはいつも起こっているので微ダメージ。


問題は二つ目だ。


「お~い、ナツ~。お迎えに来たよ~」


そう、これだ。


これが校門前や帰り道ならいい。


いや、よくはないが。まだいい方だ。


だが、今僕がいるのは自分のクラスだ。


ご理解頂けるであろう。


僕がせっせ、せっせと作り上げた普通という名の地盤がぐらぐらと揺れ出したのだ。


「ナツ~」


猫撫で声で僕に抱きつき、自分の頬と僕の頬をくっつけてすりすりしてくる。


おかげで 僕は男子から羨まし三割、憎しみ七割で睨まれ続けている。


「ちょっと!どうして迎えに来たの!?」


姉さんはへへっと笑いながら言った。


「高原さんが一度家に帰って許婚の人に会って来るって」


「え?」


「ナツの説得のおかげで決める権利を櫻嘉さんからもらえたらしいわよ」


「そっか。それは何よりだ」


実際は少し心配だった。


説得したにはしたが、完全に言い包めたわけではない。


だからもしやと考えていたのである。


まあ、杞憂で終わったけど。


「だから一緒にお見送りに行こうよ」


「そういうことか。仕方ないな。それじゃあ許してあげる」


「それじゃあ行こうか」


「うん」


僕はクラスメイトが何かし出す前にそそくさと教室を出た。


「姉さん」


僕は姉さんに呼びかける。


「何~~?」


「僕の身元のことは先生たち以外は知らせていないんだから気を付けてよ」

 

本気のトーンで言う僕。


「ごめんなさい。今後気をつけます」


「それならよし」


それから後は雑談をしながら家に高原さんの家の使用人が運転する車で帰った。


めちゃくちゃ目立っていたが・・・。


仕方ない。


後で学校に頼んで僕の話に合わせてもらうか。


クラスメイト達にも話さないとな~。


はあ~、ちょっと憂鬱。




              ・・・




「ただいま~」


僕は玄関の扉を開ける。


「おかえりなさ~い」


高原さんがお出迎えしてくれた。


「高原さん。よかったね」


「ええ。本当にありがとう」


本当に嬉しそうに笑う高原さん。


「あなたのおかげで知らない人との婚約を無効にすることが出来たわ」


「いやいや。力になれてよかったよ」


姉さんが嬉しそうに言った。


「好きでもない相手との婚約なんて嫌だもんね~」


「はい。今回は高波君のおかげで何とかお父様も分かっていただけたようで助かったわ」


 よかった。


 ・・・でも、なんかしゃべり方に違和感を感じるな。


 あ、そっか。


「夏月」


「へっ?」


高原さんはよく分からないといった顔をしている。


「夏月でいいよ。姉さんとかとかぶるでしょ?」


「そ、そう?」


「うん。だから夏月でいいよ」


「そう。分かったわ。夏月」


「姉さんのことも名前で呼べばいいから」


「いいのかな?」


「いいと思うよ?っていうか、もう呼んでたでしょ?」


「そういえば・・・」


「ね?」


そう話していると隣から何だか殺気めいたものを感じた。


僕が横を見ると、


「ナツのファーストネームを許可されるなんて・・・」


ぷるぷると震え出す姉さん。


「私の名前は別にいいけど・・・」


「ね、姉さん?」


「今までだって私たち家族だけしか夏月の名前を呼ばなかったのに」


「あ、あの・・・。美香さん?」


「ずるいずるいずるい~~!!!」


姉さんが玄関で転んでだだっ子のようにじたばたし出した。


「ど、どうしたんですか!?美香さん」


高原さんが心配そうに声をかける。


「あ~。心配しなくてもいいよ。高原さん」


「へ?どう言うこと?」


僕は困ったものを見る目で姉さんを見る。


「僕が家族以外で女の子と親しそうにしているとこんなのになっちゃうんだ」


毎度毎度世話の焼ける困った姉さんである。


僕はため息をしながら言う。


「まあ、気にしなくてもいいよ」


「でも・・・」


ちらちら姉さんを見て心配をしている。


まったくもって根はやっぱりいい子だな~。


「確かに、これは僕の目を使わなくても分かるくらい本気でこうなってんだけど」


「ならなおさら!」


「ここで僕が甘やかすと後々面倒なんだよ」


「それはどう言うこと?」


「想像してごらんよ。僕がここで『姉さん、元気出して!僕は姉さんが元気な方がいいよ』 っていう感じのことをいったら・・・」


高原さんは苦笑いしながら、


「十中八九、美香さんのブラコンに拍車がかかるわね」


と言う。


どうやら高原さんも真実にたどり着いたらしい。


「うん。その通り」


少し暗い気持ちになりながらも何とか持ち直し気持ちを切り替える。


「姉さんはとりあえずこのまま放置してっと」


「放置しちゃうの!?」


「うん。このままじゃ埒が開かないからね」


「まあ、そうだけど。でも、ここで姉をこのまま放置する方がきつくない?」


「それは言わないで」


僕は少し、ダメージを負いながらも続ける。


「これから会いに行って嫌なら断わりに行くんでしょ?」


「ええ」


「何かあったら言って。僕と姉さんでよければ相談または助けるから」


まあ、僕が頼んだら姉さんは断わらないだろうからな。


「ありがとう。それじゃあ行くとするわ」


「うん。頑張ってね」


「ええ」


庭の門まで姉さんを置いて見送りに出る。


「この許婚騒動が完全に終わったらまたここに遊びに来てもいいかしら?」


「もちろんだよ」


僕はニッコリしながら言う。


「今度は友達として遊びに来てね~」


「ええ。もちろん」


高原さんもニッコリと笑顔で答えてくれた。


「それじゃまた」


「ええ。また来るわ」


そう言って車に乗って高原さんは帰っていった。


「さてと、さっさと帰って拗ねた姉さんのお守りでもしますか~」


僕は急いで家に入った。


               ・・・


―高波家周辺―

 

夏月が家に入るところを見ている女がいた。


「ふふっ。やっぱり思った通りね」


女は携帯を取り出しどこかへ電話をかけた。


「もしもし?私よ。・・・。そうよ。・・・・・・。ええ。もう少し様子を見てから実行しましょう。・・・。ええ。それじゃあね」


携帯を閉じると女は嬉しそうに、そのときを待ち望むかのように微笑んだ。





読んでくれて感謝です。

次の話もよろしくお願いします。

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