二話 謎(笑)の総帥
「姉さん。いい加減機嫌を直してよ」
「ツ――ン」
「姉さん」
「ツ――――――――――――ン」
「最近、ツンツンばかりしているヒロインに愛想をつかした主人公って内容の漫画を読んだっけな~」
「心を入れ替えます!」
「はやっ!?」
高原さんが帰った後、姉さんといつものようにコントじみた会話をしていると姉さんの携帯が鳴った。
「はい、もしもし。高波です。・・・・・。えっ?今すぐ帰って来いだって?」
どうやら姉さんの通っている学校からの連絡らしい。
「どうしてよ。来週からって学校側にも連絡したじゃない。・・・・・。私じゃないと無理な仕事があるの?・・・ええ。・・・うん、分かったわ」
おお!珍しい。
姉さんが即決で戻ると言うなんて。
いつもならあることないこと言って、こっちにいる期間を延ばそうとするのに・・・。
「でも帰るのは明日の朝にしてもらえないかしら。こちらにも事情があるの。・・・・・・・。うん。・・・。ええ。それじゃあね」
姉さんは携帯を閉じるとうるうるした目で僕を見た。
「ナツ~。お姉ちゃん、戻らなくちゃいけなくなっちゃった~」
「そうなんだ。・・・。ってそういえばどうして姉さんが家に帰ってきたのか本当の理由を聞いてなかった」
姉さんはビクッとなる。
「・・・。さ~て、学園に帰る用意をしてこようかな~」
「姉さん」
「うっ!・・・。すみませんでした!」
姉さんが急にその場で深々と頭を下げた。
「最近、家に帰ってもナツがあんまり相手をしてくれなかったから寂しくて学園に私の持っている権限を使って一時帰宅させてもらいました」
「はぁ~。まあ、そんなことだろうとは思っていたけど・・・」
姉さんは学園で学園経営部という姉さんが通っている学園特有の部活の部長で様々な権限を持っている。
その学園経営部は学園の維持、経営、事務などを自分の将来のために手伝う部活である。
本来、経営部ではそういった仕事の十分の一をやらせてもらうのだが、姉さんは仕事の半分を任せられている。
なので、その仕事をしている大人一人よりも格付けは上なのである。
しかし、バイトをしているわけでもなく、学生なので給料をもらうわけもいかず、どうしたものかと学園側も困っていたらしい。
そこで“ある人”が勉学、成長に悪影響を及ばない程度に特定のことをしても許可さえあれば何でも許される権限を姉さんにあげたのである。
その“ある人”は姉さんの上司みたいな人で姉さんにとても感謝している人なんだよね。
まぁ、ぶっちゃけ僕なんだけど。
母さんと父さんが「父さんたちの会社を継ぐんだから慣れといて損はないだろう」と言って部活にちょうど経営部がある姉さんのところで経営について学ぶことに決定。
まあ、この父さんたちの発言は後々変更されるんだけど、それはまたの機会に語ろう。
それはともかく。
この目があるので後は簡単。
交渉から様々な公務まで多大に貢献した。
その結果が経営部の謎の総帥である。
理事長ですら僕にはいつもニコニコ営業スマイルだ。
もちろん、姉さんには内緒だけど。
まあ、他にも秘密があるんだけど、それも追々。
「まあ、今回はいいや」
僕は苦笑いをしながら言う。
「えっ!?許してくれるの?」
「うん。今回は姉さんがいてくれて助かったことも多かったからね」
「ありがと~~。ナツぅ~~」
姉さんがべたべたくっついてくる。
「ベタベタせずにほら。行くよ」
「うん」
満面の笑みで頷き返す。
家族になってからずっと思ってたけど、この満面の笑みだけは身内の贔屓目を差し引いて見ても抜群に可愛いんだよね。
姉じゃなきゃ惚れる勢いだよ。
「ナツぅぅう~~!」
まぁ、こんなにデレデレしているからこんなことは姉さんには絶対に言わないけどね。
調子に乗るし。
「さあ、早く家に入ろうよ」
「うん」
なんか僕の前だけ精神年齢が著しく下がっている気がするけど、気のせいだよね?
仕方ないので手をつないで家に入った。
あ、甘やかしでは・・・・・な、ないよ?
読んでくれて感謝です。
次の話もよろしくお願いします。




