村長
すみません。体調崩して二日休んでしまいました。今日からはまた毎日投稿です。
玲二が村から去って少し後、クゥはリーダーらしき男に連れられて村で一番大きな屋敷の客間に居た。
「お前にはまず村長にあったことを報告してもらう。」
「分かっていますよ・・・トルグスさん」
「黙れ。お前は「はい。」とだけ答えればいい。」
トルグスさんは私に対していつも必要以上に厳しいですね。まぁ、彼は私の身体的こと気味悪がっていますから仕方がないのかもしれませんが。
「大体お前は————」
「やかましいぞトルグス。人の家で大声を出すな!」
トルグスの声を遮り白い髭、白髪のエルフの初老男性が不機嫌そうに奥から出てきた。
「ただでさえお前さんの声はうるさいんだから・・・」
「すみません。ノールス村長」
流石に村長には、トルグスも逆らえないようで平謝りをしていた。
まぁ、村長は若い頃は一人で異形を何百体と倒していたらしいし、歳をとった今でも野生の異形ぐらいなら負けはしないだろうから、村の皆からは、尊敬されていますからね。
「それで、ここに来たのはさっき来た人語を話す人型異形の件か?」
「その件もですが、三日前の連合国との取引の失敗についてのことを。」
「そうか・・・」
ノールス村長は僅かに目を伏せた。
「そうか・・・失敗したか。」
「クゥが言うには、そのようで・・・」
「分かった。まずは私が話を聞こう。お前は下がっていてくれないか。」
「分かりました。失礼します。」
村長が退出するように言うと、一礼し屋敷から出ていった。
「はぁ・・・トルグスがすまんな。」
トルグスが出ていったのを確認すると村長はにクゥに謝罪をした。
「いえ・・・慣れていますから・・・」
物心ついたころから私には親がいませんでした。村長のノールスさんはそんな私の親代わりとして、十五歳になるこの年まで育ててくれました。
「そうか、お前には苦労かけるな。」
「いえ、そんなこと・・・それより、今は・・・」
「あぁ。そうだな。」
村長は私の対面に座った。
「聞かせてくれるか?何があったのか。」
「はい。一から説明しますと私たちは、三日前にこの村を出発し、隣村の方達と合流し、連合国を目指していたのですが、途中で休憩に立ち寄った川縁で崖から突然複合型異形が現れまして、私たちは分断されました。」
村長は私の話をただ黙って聞いていた。
「それから・・・最初に・・・リックさんとベガさんが捕まりました。同行していた隣村女性が助けようとしましたが、複合型異形から助ける術はありませんでした。ですから・・・」
「二人を囮にして逃げた・・・か?」
「はい・・・」
「いや、正しい判断だ。儂らでも助けられん。」
村長は私たちの判断を責めはしませんでした。
「それから・・・リゼフさんと隣村の女性、そして私は、どうにか複合型異形を巻くことができました。ですが、まだうろついている危険性も考慮して旧文明の遺跡に隠れることを提案しました。
しかし・・・突然二体目の複合型異形が姿を現しまして、リゼフさんと女性は一瞬で食べられてしまいました。私も攻撃を回避しながら逃げましたが、私も木に躓きました。そしたらそこに・・・レイジさんが助けに来てくれたんです。」
「それが、村の入り口に居た人型異形か?」
「そうなんです。レイジさんは、私を見ても食べようとしないどころか、『困っている女の子をたすけるのに理由はいらないだろ?』なんてカッコイイこと言って、無償で助けてくれたんです!!それから——————」
クゥはとてもうれしそうに、共闘をしたこと、行くとこがないなら村にきてほし来て欲しいと伝えたこと、道中見た景色や初めて見る川のこと、木の実をとってもらったこと、夜に村の名物とか特産品の話などそのほとんどが、たわいもない話だった。
そんな嬉しそうに人型異形、もとい玲二のこと話すクゥの姿に村長は微笑ましく感じながら静かに聞いていた。
「そしたら、レイジさんが————」
「嬉しそうだな。」
「あっ・・・すみません。」
レイジさんのことを語っていたら、余計な事ばかり言ってしまった気がします。それに、なんででしょうか・・・顔がニヤニヤしてしまいます。今はそんなこと話しに来たわけじゃないのに。
「いや、構わんよ。それより、よかったじゃないか。お前がそんな風に笑う姿は初めてだな。」
「うぇ!?しゅ、すみません。」
そんなに顔に出ていただろうか、なんだか恥ずかしい。思わず俯いてしまった。
「儂はうれしいんじゃよ。小さい頃から友達出来ずに、同世代の子とも遊ぶこともなく、大人に気味悪がられて、寂しい思いさせたな。と思っていたからな。」
村長はそう静かに、優しく語ってくれた。
「お前にそんな顔をさせられるような相手に出会えたようで安心したよ。」
「おじいちゃん・・・」
思わず幼い頃の呼び方が出てしまった。
「そうかぁ・・・お前がそんなにも褒めるんなら、儂もそのレイジに会ってみたくなったな。」
と言って冗談めかして小さく笑った。
「はい。ですが・・・」
「まぁ、仕方がないじゃろうな。彼は異形が人間にとってどういう存在か理解しているがゆえに、去ったのだろう。」
「そう・・・ですよね。」
「こればっかりは、時間がかかるからのう・・・」
そう言うと村長は突然椅子から立ち上がり窓を見た。
「どうかしましたか?」
穏やかな顔から一変、険しい表情で窓を見る村長に私はつられた立ち上がった。
「お前は奥の部屋に行け。」
「え?!」
突然の事に私が戸惑っていると、ダンダンダンと乱暴に入口の扉が叩かれた。
「村長、いますよね!!お話中すみませんけど、クゥに話を聞きたいって人がいっぱいいるんですよね。本人出してくれませんかねぇ?」
それは、トルグスの声だった。
しかし何故だろう、やけに威圧的な声だ。
それに一人じゃない、軽く見積もっても二十人ぐらい居るようだ。しかもみんな手に何かを持ってるみたい。
「亡くなった、リゼフさんの嫁さんやリックとベガの親御さんに、クロウの彼女、ルリィの姉もいるですよ。詳しい話を聞きたいんで開けて貰えないですかねぇ?」
半ば半ギレ状態のトルグスの声がドアの前から聞こえる。
これは、ただ事では無さそうですね。
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