○●の世界-6
お久しぶりです。
パソコン部の活動終了時刻になる15分前だったので、僕は作業を中断し、PCをシャットダウンしてから立ち上がった。
周囲を見ると、もう帰ろうとドアを開いている者がいたり、まだPC画面とにらめっこしている者もいる。
こころ先輩は相変わらずピンク色だった。
「こころ先輩、じゃあ僕はもう帰ります」
こころ先輩は、こっちを見ずに、画面に没頭しながら「じゃあね~」と一言だけ発した。
それを聞いた僕は、パソコン室を出た。
そして、廊下をすたすたと歩く。
窓の外を見ると、雨。雨。雨。それでもって、雷ごろごろ。
台風並みにひどい天気だった。そろそろ梅雨の時期かな。まだ早い気もするけどね。
僕は昇降口まで移動して、靴を履き替え持参の折り畳み傘をさす準備をする。
その準備をしながら、周囲を見渡した。雨があまりにもひどい時、咲との待ち合わせ場所は昇降口になる。
キョロキョロ見渡すと、案の定咲を見つけた。第一村人発見みたいな感じにはならなかった。
咲はずっと昇降口から外を眺めている様で、僕の存在に気づいていない。
そこで僕は、そろーっと咲に近づいて、
「咲!」
咲の両肩を強めにタッチした。
人をおどかすのって楽しいよね。
「ひゃう!」
咲は肩をびくんと揺らしながら、そのまま僕からバッと離れて僕の方を向く。それから、肩をたたいたのが僕だとわかると安心したような表情をして、
「しんちゃんー! おどかさないでよ―!」
「ごめんごめん。さ、じゃあ行こう」
僕は昇降口から外に出て、折り畳み傘を開いた。
「あっ待ってしんちゃん」
「ん?」
咲の声に反応して僕は振り返る。
「傘持ってくるの忘れちゃったー」
「…………」
僕はたまに思う。さっきの財布のこともそうだけど、咲はわざと忘れちゃってきてることがあるんじゃないかって。
僕は自分の折り畳み傘を見た。勿論、小さい。折り畳み傘だしね。
まあでも周囲に人がいないから、今回は仕方がないかな……。
「いいよ入って」
「やったー! しんちゃんありがとー」
「はぁ……どういたしまして」
そうやって僕は咲と相合傘をしながら帰宅するのであった……。
家に帰ってから夕食を作って、それから風呂に入って、それでもってあっという間に就寝時間になった。
特に何もない日の時間の体感速度は異常に早いよね。
とりあえず、なんとか咲を無理やり寝かせてから、僕は自室に戻って鍵を厳重に閉める。まあこれ以上やっても結果は変わらない気がするけど、安眠のためにやってたら習慣化されちゃったから、今も続けている感じ。いや、やっぱりまだ諦めてないけどね。
さてと、それじゃあ僕もそろそろ寝ることにしよう。昨日は不思議なことに例の夢を見なかったわけだし、もううなされるような事はないだろうな!
僕はいそいそとベッドに乗り込み、布団をかぶった。そして電気を消してないことに気が付き、もう一度起き上がって電気を消してからまた横になった。




