○●の世界-7
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気がついたら、僕はモノクロの廊下を歩いていた。いや、正確には僕じゃない。
じゃあ、誰だろう。
「それにしても、この世界は腹が減らないから便利っちゃ、便利だな」
この声に聞き覚えはある。でも、思い出せない。
誰だっけ?
とりあえず、その人を仮にGとしよう。
Gの周囲には誰もいなかった。左右両サイドは壁、もしくは扉でさっきから一本道だ。
Gはちらりと教室側を見る。そこには音楽室と書かれている札が取り付けられていた。
「……」
さっきの一言以降、Gは何も喋らなかった。もくもくと、ただもくもくと歩みを続ける。
たまに、教室の中を見たりしているから、たぶん誰かいないか探しているところなんだろうね。
10分ぐらい歩いた後、Gはあくびをした。
それから、
「神治は……今頃何をしてるんだろう」
僕の心は静止した。
なんで、この人……いや、Gは僕の名前を知ってるんだ? 知り合いだったっけ。
知り合い? 知り合いだったっけ?
僕が必死になって、脳内をグルグルと冒険しているけど、どうしても、Gに関する記憶は見つからなかった。でも、何だろう。
なんだろう。この気持は。
分からない。わからないけど、でもなんか胸が痛む。
僕の記憶には、Gはいないはずだ。
でも、なぜか僕はGを知っている。
……ってさっきから、自問ばっかりだね僕。少し自重しよう。
暫くGが歩いていると、曲がり角が見えた。Gは曲がろうとしたけど、動きをピタッと止めた。
曲がり角の向こうが明るい。淡い青色のやさしい光。
Gは息を殺して、慎重に忍び足で前進する。
そして、曲がり角に到着し、そろーっと角の向こう側を見た。
そこには。
そこには、人がいた。
「お、お前は……誰だ」
衣装は、まるで死神の様。顔はフードを被っていて、よく見えなかった。
その人は、ゆっくりとGの方を向く。でも、やっぱり顔は見えなかった。
「教えないよ」
冷徹な否定だった。声は金属音のような……死神のような声だった。
「……まあお前が誰かってのは、この際置いておくとして、だ。いくつか質問していいか?」
「…………」
「その沈黙を肯定とみなした。じゃあ、質問するぞ」
ひとつ間を開けて、
「お前は、この世界を創ったのか?」
「…………」
「俺はお前に会ったことはあるか?」
「…………」
「なんでこの世界は創られた?」
「……ごめんね」
その人は、唐突に謝り、それから、
「この世界は私が創ったよ。理由は――」
その人は右手を真横にまっすぐかざした。その手から、何かが生成される。
鎌だった。
「――由愛がそれを望んだから」
鎌は振りかざされた。
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G:どうもGでーっす
神治:何の略称だよ……
G:神治が命名したんだろ。何の略称かなんて、こっちが聞きたい
咲:んー……あ~! もしかして、ごきぶ
神治:そこまでだッ! 咲ッ!
咲:むぐぅぅぅぅうううう~!




