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False;World  作者: 川犬
22/32

○●の世界-2

●●●●●



 聞こえるのは、小鳥のさえずえとセットで、ドアをカチャカチャといじる音。

 目が覚めた。目がさめてしまった。実に切りの悪いシーンで、目がさめてしまった。

 僕は勢い良く、起き上がった。

 目を覚ましたばかりなのに、全然眠さを感じない。僕の脳は覚醒しているみたいだ。

 それにしても。

 なんであんな中途半端で夢が終わるんだ。意味が分からない。まあ夢だから、いつ途切れても仕方が無いんだけどね。でもね。

 そうか。これはたぶん、嫌がらせだな。誰だ僕にこんな嫌がらせをやっている奴は。おいこら。

「あわわわっ」

 ドア方向で声がした。

 僕は、ドキリとしながら、とかそういうことはなく、普通に声のした方向を向いた。

 見る方向は、ドア。やっぱりドア。

「しんちゃんびっくりさせないでよー」

「…………」

 パジャマ姿の咲だった。360度どこからどう見ても、おそらく咲だと思う。

「咲」

「なにー?」

 僕はニコッと微笑む。

「嫌がらせしないでね」

「い、いやがらせー? なんのことー?」

 咲は、頭上にクエスチョンマークを浮かべている。

 僕は、満面の笑みを浮かべながら、時計を確認した。

 5時40分。起床時間より若干早い。

「僕は、もう少し寝ていたかったんだ」

「早起きは三メートルの得ー」

「何を三メートル得するんだッ」

 普通は『早起きは三文の得』だよね。常識だよね。2週間前に授業で習った。

「といれっとぺーぱーかなー?」

「いらねえッ」

 三メートルのトイレットペーパーをどうしろと言うんだ。ミイラ男になれって? ジョーダンキツイね!

 って、よくよく考えてみたら、三メートルのトイレットペーパーじゃ短すぎて、ミイラ男にすらなれないじゃないか。

「じゃあ、身長?」

「身長3メートルも伸びたら、一発でギネス更新だねッ!」

「そうなのー? なら、明日はもっと早くに起こしに――」

「やめてください本当にやめてくださいお願いしますやめて」

 僕の睡眠時間は、これ以上減らさせない。


 もっと身長を伸ばすためにも!


 とか言ってみたけれど、実際は睡眠をよく取ることも大事だけれど、バランスの良い食事をする方が、身長は伸びるって聞いたことがある。

 僕は、こういうことだけは詳しい。こういう事なら僕に何でも聞いてね。

 一応言っておくけど、僕の目標は、身長を170㎝超えにすることだから。まだまだだ……。

 僕は座った状態で、大きく背伸びをした。

「あー、もう目が覚めちゃったなー。まあいいや……それじゃあ、咲。少し早いけど、朝食作るよ」

「わーい。それで、今日の朝食は何ー?」

 僕は一時的に考えこむ。

 昨日、買い物をしていなかったし、家にある食べ物も殆どなくなっているはず。あるのは、食パンぐらいかな……。

「家にあるものー……うーん……パンぐらいしかないね」

「フライパン?」

「食べられるのなら、食べてみやがれッ」

「えー、無理だよー。しんちゃんこそ食べてみてよ」

「僕も無理だよ?! ……というか、普通に食べられるパンだって……」

 咲は、柔らかそうな唇をへの字に曲げて、唸っている。咲なりに、あれこれ考えているみたいだ。咲なりに。

「あっ」

 咲は手をポンっと打つ。そして、僕を指さした。

「パンダ!」

「違うなぁッ!」

「パン粉!」

「惜しいッ」

「パンツー!!」

「…………」

 ここはスルースキルを使うべきところだよね。


僕:ちなみにパンはパンでも食べられないパンは何か知ってる?

咲:知ってるよー

僕:答えてみてよ

咲:フラ――

僕:(さすがの咲でもこの問題は簡単すぎたね……)


咲:フラクタル構造

僕:パンですら無いだとッ

咲:ふぇ? ちがうのー??

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