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False;World  作者: 川犬
17/32

〇〇の世界-16

●●●●●



 がばっと僕は体を起こした。目覚めたばかりなのに、呼吸は乱れていて、背中の汗がびっしょりだった。

 さっきのが夢だとは、思えないぐらい鮮明に覚えている。

 初めて、あの少女と少し長めの会話をした。

 でも、僕はなぜだか、その少女の顔と声を思い出せなかった。会話内容は覚えている。だけれど、それは文章として。

 とりあえず、呼吸を整える。

 それから、僕は、時計で時間を確認した。

 6時ジャスト。

 いつもの起床時間は6時30分なので、まだ30分の猶予がある。

 もうちょっとだけ横になろう。

 と思ったところで、扉がガチャリと開いた。

 誰だろう。誰だろう。誰だろう! まあ誰だか何となく分かるんだけれどね……。

「しんちゃんおこさないように、そぉーっと……あ」

「……」

 僕と咲の視線がいい感じにぶつかった。いや、全然よくないけど。

「しんちゃんおはよー」

「……」

「し、しんちゃんー?」

 どうしよう。このまま、無理やりにでも横になって寝てしまおうかな。いや、そうしたほうがいいなやっぱり。

 僕は、横になった。そして、目を閉じる。おやすみモードオン。

「し、しんちゃん?! お、起きてよー! なんで寝ちゃうのー!?」

「……ぐぅ」

「しんちゃん~!」

 僕の体がゆっさゆさ揺らされる。もちろんスルー。

 このまま30分間ずっとこうしていようと思う。

「むぅ……こうなったら……」

 咲が何かしようとしているけど、無駄だ。おやすみモードの僕は何があっても絶対に起きない。まあ、この設定は今作ったんだけどね。

「ふぅ~」

 僕の耳に甘い息がかかった。

「ギャッ!」

 一瞬何がどうなったのか理解できなかった。

 やばかった。とにかくやばかった。精神的に。

 僕は勢い良く起き上がった。耳だけでなく、顔全体が熱い。やばいなんて破壊力。

 僕は、心臓をバクバクさせながら、咲の方を見た。

 咲はにこりと可愛らしげに笑っている。

 僕と5センチメートル先の空間で。咲の息遣いが僕にも伝わってくる。

「うわッッ!!」

 咲から一気に距離を取る。

 距離をとったときに、バコッと壁におもいっきり頭をぶつけたけれど、そんなもの気にしちゃいられない。

 僕の熱はさらに上昇した。

「咲ッ! ななな何の真似だよよよよよッ」

 僕の声が上ずりまくってた。最上級。

 咲は、なおもにこりと笑って、

「何って、今みたいなしんちゃんのかわいい顔が見たかったからー」

「ききききききさまッッ」

 心臓が大忙し。とにかく落ち着け僕! とでも心のなかで僕自身に言い聞かせない限り、間違いなく吐血する。吐血レベルだよこれ。

 ……ここは、一旦落ち着こう。

 僕は、目を閉じて、大きくゆっくり深呼吸をする。

 それから、目をゆっくりと開けた。少し落ち着いてきた。

「しんちゃんの慌てる顔かわいいー!」

「とりあえず、朝食にしようか」

「ふぇ? あ、うんー」

 持ち前のスルースキルを無事に発動して、僕はベッドから立ち上がった。

 朝から大ダメージだ。



咲:あ、悟朗君だー

悟朗:お、咲ちゃんじゃないか。なんだ?

咲:この前は、はちみつの話聞いてくれてありがとうねー

悟朗:あー、別にいいぞ! 楽しかったしな!

咲:じゃあ、この前の続きできたんだけど、聞きたいー?

悟朗:もちろんだ!

咲:じゃあ話すねー。


……女王蜂さんは部下たちに命じました。

「この前のはちみつをもう一度食べたいわ」

部下たちは頭を下げました。

「「「了解っすボスッ」」」

「期限は明日までよ」

「「「イエスボスッ」」」

 次の日ー。


なんと女王蜂は謎の失踪を遂げた! 犯人……いや犯蜂は、この蜂蜜集めをしていた部下たちの誰かだッ!

コ○ン「犯人はお前だ!」

部下S「何で俺なんだよ!? 何か証拠はあんのかよ!?」


おしまい。


咲:どうだったー?

悟朗:……なんていい話なんだ。感動した……

咲:でしょでしょー?



僕:(何も聞かなかったことにしよう……)

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