1-8 今度は、僕がおこめさんに会いに行く番だ
◇ソーダの視点
月曜日。僕は仕事を休んだ。
夜、ゲームに入って、闇鍋のチャットをぼんやり眺めていた。
今日は、ほとんど書き込む気になれない。
金箔のせ: ソーダ君、大丈夫ー? 今日ぜんぜん喋らないじゃん。
金箔さんから、個別メッセージが来た。
どうしよう。
少し迷ってから、返信した。
ソーダ: 実は元気じゃない……
金箔のせ: えっ、どしたの!?Σ(゜Д゜)
金箔さんに状況を説明した。
金箔のせ: ヤバッ! 明日は鉄ヘルメット被って出勤しなきゃ(`・ω・´)ゞ
ソーダ: え、なんで?
金箔のせ: 槍が降るから。おこめちゃん、リアルは絶対つなげないと思ってた!でもソーダ君なら、納得だわ(*´∀`)
ソーダ: え?
金箔のせ: ソーダ君、自分がおこめちゃんに何してきたか分かってる?いつもおこめちゃんを優しくフォローしてたじゃん!
ソーダ: ……してたっけ?
サブリーダーとして普通のことをしてただけだ。
金箔のせ: してるよー!リーダーだったお味噌さんが失踪したとき、皆が勝手におこめちゃんに頼ったじゃん?
ソーダ: お味噌さん失踪事件、あったね……
金箔のせ: そう。でさ。おこめちゃんが張り切り過ぎてるところを調整したり、困ったちゃんが暴れたときも間に入って丸く収めたり、何かと助けてたじゃん。で、自然とサブリーダーになった
ソーダ: 僕は別に、おこめさんだけだと大変かなって
金箔のせ: そう!そこ!ただ心配だからって理由だけで動けるのがソーダ君なのよ!私なんか、面倒くさいなって思っちゃうもん( ̄▽ ̄;)
言われてみれば、そうかもしれない。
金箔のせ: だけど、昨日の宇宙大戦で、彼女の凄さに圧倒されて、凹んじゃった?
ソーダ: 彼女じゃない……
金箔のせ: 実質もう付き合ってるようなもんでしょー!毎週テレビ電話してるんだし
確かに……?
定例が普通じゃないのは、さすがに分かってる。
金箔のせ: それが急によそよそしくなったらどう思う?
僕はビックリした。そんなふうに考えたことはなかった。
ソーダ: ……まさか、僕に嫌われたかもって思う?
金箔のせ: そう。不安になるよね。
おこめさんの心配そうな顔を思い出す。
僕の体調のせいだけじゃなかったってこと?
ソーダ: おこめさんに、謝らないと
金箔のせ: お、元気出た٩(ˊᗜˋ*)و
ソーダ: はい。ありがとうございます!
その勢いでおこめさんへのチャットを開く。
ソーダ: 昨日はごめんね。今日は仕事を休んでゆっくりしたら、体調良くなってきた
すぐ返信が返ってきた。
おこめ: 良かったです!しっかり休んで、元気になってくださいね
ソーダ: うん!今度の日曜日、話すの楽しみにしてる
おこめ: はい。私も楽しみです!次の日曜日までには、絶対元気になってくださいね!
ソーダ: 絶対?
おこめ: はい。リーダー命令ですっ!
ソーダ: プレッシャーがすごい……
おこめ: ……じゃあ、なるべく絶対で
吹き出してしまった。
おこめ: そういえば、今日の闇鍋どうでした?
ソーダ: 金箔さんに鉄ヘルメット被れって言われた
おこめ: ……なぜですか?
ソーダ: 槍が降るらしい
おこめ:???
ソーダ: おこめさんが僕と会ったから!
おこめ: ええっ。私ツチノコだったんですか?
ソーダ: 似たようなイメージだった!
やっぱり、おこめさんと話すのは楽しい。
昨日と違って、明るい気持ちで寝られた。
翌朝、目が覚めた。
熱も下がって、だいぶ回復した。
そして、それ以上に気分が晴れやかだった。
カーテンを開けると、梅雨の晴れ間の青空が広がっていた。
暑いけど、風が気持ち良い。
青々とした稲の匂いから、季節を感じる。
僕は、おこめさんが好きだ。
おこめさんは仕事だけど、2回もこっちに来てくれた。今度は、僕が行く番だ。
「母さん、僕、東京に行ってくるよ」
リビングから、母さんの「えっ!? 今から!?」という声が聞こえた。
「いや、今からじゃない! おこめさんと相談してから!」
おこめさん、喜んでくれるかな。
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