↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/72

3-20 彼女は、僕の親友たちに相談した

◇


おこめさんと一緒にソファの上でくつろぎながら、僕達は闇鍋にログインした。


金箔のせ: おこめちゃんだーー!ヽ(★´▽`★)ノ

パッタイ: お久しぶりです。

おこめ: ちょっとログインできる時間ができたので

ポテト: ソーダ殿と一緒にログインでござるな!あちちっ!


おこめ:ペアのミニゲーム、カイザーさんから1位を奪おうかなって

金箔のせ: お、がんばれー!٩(ˊᗜˋ*)و

ポテト:天下取りでござるな!

ソーダ: いっくよー!


二人でミニゲームに挑戦する。

何回か頑張った。


「やった! 1位!」

「取れましたね」


金箔のせ:はやっ!二人の息はピッタリだね(≧▽≦)

パッタイ:おめでとうございます

ポテト:おめでとうでござる!


ソーダ: ありがとう!

おこめ: ありがとうございます


「やっぱり、闇鍋は楽しいですね」

おこめさんが、僕の肩にコロンと顎をのせた。

「うん。皆、おこめさんを待ってる!」

「あとちょっとです。来月になれば余裕ができるはずなので」

僕は、おこめさんをギュッと抱きしめた。


「お疲れ様」

そのまま、キスをする。

甘かった。



昼前になってから、ゆっくりと外に出る。

近くのカフェで軽めのランチを食べ、商店街をブラブラした。


肩を寄せ合いながら、恋人つなぎで歩く。


おこめさんがふらっと洋服屋に入った。

「颯太さんが良いと思って選んでくれたものは、買っちゃおうかな、と思ってます」

「う、うん……?」

いいのかな。


店員さんは、なぜか引きつった顔でおこめさんに服を勧めていた。


おこめさんは試着室に消えては、サッと出てくる。


「颯太さん、この青いワンピース、さっきの白いのと、どっちがいいですか?」


「うーん……青かな。でも白も似合ってた!」

「では、青がおすすめですか?」

「おすすめって言われると、うーん……」

「違うんですか?」

「いや、似合ってる。すごく似合ってるんだけど……」


おこめさんが、ちょっとだけ首を傾げた。


おこめさんが着ると、どんな服も素敵だ。

だけど、おこめさんが普段着ているものに比べると、どれも数段、見劣りしてしまう。


自信を持って勧められる服はなかったけど、色々試着するおこめさんは楽しそうだったし、僕もなんだかんだ楽しめた。



やがて暗くなり、おこめさんが帰る時間になった。良い雰囲気のまま、おこめさんを新幹線ホームで見送った。


「行ってらっしゃい」

そう言って抱きしめる。


「行ってきます!」

おこめさんがハグをしてくれる。


今朝、僕の大声に驚いたおこめさんの顔を思い出した。

二度と繰り返すまい。固く心に誓う。



そして、おこめさんの胸元のネックレスが、僕がプレゼントしたい例のネックレスだったらどうか想像した。


悪くなかった。

今日のおこめさんのネックレスに負けてない。

よく似合ってる。


貯まったプレゼント代は8万5千円。

まだ半分もいってない。


◆◆◆


◎


新幹線の席に座った。暗くなった窓の外、流れだした街の光をぼんやりと見る。


デートの終わりは、いつも淋しい。

シートに背をあずけて目を閉じる。


瞼の裏に今朝の颯太さんの顔が浮かぶ。

耳の後ろに、あの大きな声が残っている。


「無理なんかしてない!」

怒鳴られたのは初めてだった。


ショックだったのは確かだ。

でも、怒りより心配の方がずっと大きかった。


分かってる。あれは私への怒りじゃない。


あれは、颯太さんが自分自身に言い聞かせていた言葉だと思う。つまり、颯太さんが想像よりも無理していたということだ。


それだけに胸が痛かった。


颯太さんは、少し細くなってた。

もしかすると趣味だった筋トレも、最近はできていないのかもしれない。


颯太さんのことが心配だ。

自分もシンガポールに戻らないといけないけど、何も対策しないまま、信じて待つのは性に合わない。



昨晩、颯太さんの親友の皆さんと連絡先を交換できた。皆さんなら、心配を共有してくれるかもしれない。


スマホを取り出してグループトークを立てる。


細川彩夏: 昨日は、ありがとうございました。今日のデートでも思ったのですが、颯太さんは最近かなりお疲れのようです。無理してそうで心配です


少し待つと、返信が来た。


藤田大輝: こちらこそ、ありがとうございました。昨日も眠そうだったしね

細川彩夏: はい。私には大丈夫としか言わないんですけど……


藤田翠: わかる。颯太、抱え込むしね

藤田大輝: 昔から自分のことは二の次にしちゃう


宮田遥香: 颯太のご両親やお姉ちゃんとも、ちょっと連絡しとく!

鈴原浩太郎: 前回みたいなことになるとヤバいしな


読んで、胸が温かくなった。颯太さんの周りにも、ちゃんと心配している人がいる。

連絡してよかった。


お礼を言ってからスマホを膝の上に置いて、また窓の外を見た。


街の灯りが、だんだんと少なくなっていく。

暗い田んぼの向こうに山の稜線が夜空に溶けていた。


次に会うのは、プロダクトをリリースして、カンファレンスが終わった後、東京デートだ。


それまで、どうか元気にいてほしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。