3-5 僕は10万円までなら、何とかなる
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デートの次の月曜日。
僕がゲームにログインすると、おこめさんもいた。
昨日はお泊まりデートして、今日は離れ離れ。それでも、いつものゲームで一緒に遊べる。
何だか不思議な感じだった。
皆で日替わりのイベントを遊ぶ。
金箔のせ: とれたとれたー!今日調子良いかも٩(ˊᗜˋ*)و
ソーダ: 僕も!このエリアいい感じ!
おこめ: 皆さん楽しそうですね
金箔のせ: おこめさんも混ざってよー!
おこめ: はーい
ひとしきり遊んだところで、おこめさんが切り出した。
おこめ: 実は、これから11月頭までリアルがすごく忙しくなりそうで、あまりインできないと思います……
ペッパー: え……
金箔のせ: ありゃ
おこめ: ごめんなさい
このことはチラッと聞いていた。
だけど、おこめさんがいない間、僕もできるだけ頑張って、この楽しい場所を守りたい。
ソーダ: 大丈夫。僕も頑張る!
おこめ: 頼りにしてます!
ポテト: リアルは仕方ないでござる
金箔のせ: そうそう!頑張ろーーー٩(ˊᗜˋ*)و
クラッカー: おう
ペッパー: リーダー、今度の宇宙大戦は不参加?
宇宙大戦は3か月に1回開催される一大イベントだ。
前回は、おこめさんと付き合う前だった。今は、恋人だ。それだけで感慨深い。
おこめ: そうなんです……。ごめんなさい。くろねこ☆さんには、このあと連絡しておきます
クラッカー: おけ
ペッパー: リアルは仕方ないですよね……。頑張ってください!
パッタイ: おこめさん、体調気をつけてくださいね。
おこめ: ありがとうございます。今日は楽しかったです!
ソーダ: おこめさん、頑張って!でも無理しないでね
おこめさんが落ちると、今度は忙しくなる理由の予想で盛り上がり始めた。
仕事が忙しいのかな。農家とか? 仕事じゃなくて出産かも。
みんな好き勝手に予想している。
このまま残っていると僕に飛び火しかねない。僕はゲームを閉じた。
おこめさんがどんな仕事をしているのか、僕もまだ詳しく教えてもらってない。「IT関係の会社で何でも屋をしてます」くらいだ。
何でも屋ってなんだ。営業とかなら、まだ分かるんだけど。よく分からない。
おこめさんが仕事の話題を避けているのは分かってる。教えてくれないのは少し淋しい。
でも、おこめさんが話したくなったときに話してくれればいい。急かすつもりはなかった。
僕には僕で、前からやっておきたいことがある。
クリスマスプレゼントだ。
この前、おこめさんがネックレスを試着したときに思った。
安いから駄目なんじゃない。
おこめさん自身に負けてしまう。
だから、もっとちゃんと似合うものを探したい。
予算は最大10万円。
次の土曜日、僕は百貨店のジュエリーフロアへ向かった。
……場違い感がすごい。
おっかなびっくり、最初の宝飾店に入った。
高かった。
宝石つきは最初から話にならない。
宝石のないシンプルなものでも、手取りの1か月分や2か月分をあっさり超えていく。
ショーケースを眺めながら、だんだん不安になってきた。10万円あれば、かなり選べると思っていた。
甘かった。
それでも諦めずに全てのお店を回る。
ひとつだけ、もしかしたら、というものを見つけた。
細いゴールドのチェーンにシンプルなデザインの飾りがついたネックレスだ。
シンプルだけど、静かな存在感と気品があった。
おこめさんが着けている姿を想像する。
似合う。
祈りながら、値札を見た。
……値段は、20万円。




