サブクエスト
7月23日
「この前の魔物の襲撃で城壁が崩れて....困ってるんでさ。直してくれたら報酬弾みますぜ」
オゼはクエストを受けるか迷っていた。
今日は各地を回ってスクショをたくさん撮りたいと思っていたから。
「ゴールドちょっと欲しいしな....」
「うん。ゴールド欲しいよな」
オゼが驚いて後ろを見ると、金髪に猫耳ピアスの派手なプレイヤーが頷きながらこちらを見ていた。
「このクエ一緒にやらない!」
オゼは少し躊躇した。オゼはこういうタイプのプレイヤーに苦い思い出がある。
「一緒にやった方が絶対楽しいって。ね!俺はフロー。片手剣のフロー」
フローは片手剣を宙に投げ華麗にキャッチ....しようとしたが足に落としてダメージを喰らってしまった。
オゼはお腹を抱えて笑う。
「....はい。やりましょう!私はオゼと言います」
「繊細な泥を8つ持ってきてくだせい」
二人は沼地に来ていた。
「繊細な泥はここにいるドロフロッグからドロップするみたいだね」
オゼは目を細めながら
「だ、大丈夫かな?私まだレベル4で....」
「大丈夫だよ。俺がサポートするよ」
フローが凄まじい剣捌きでドロフロッグを倒し始めた。
オゼは怖がりながら、フローが瀕死にしたドロフロッグに槍でトドメを刺した。
再び蒼風の街の城壁の下に戻った。
「さあ、城壁に取り掛かろう。スキル浮遊を使って、飛びながら直すよ」
二人はフワッと飛び上がると、壊れた城壁を直し始めた。
「暑い、ですね....」
オゼの顔から汗が滴り落ちる。
自宅のエアコンが心配になった。
「いやー暑い。でも、なんか気持ち良いね!」
「うん。気持ち良い」
フローが汗を拭いながら
「俺さ、リアルで今働いてなくて。でも働きたくて....なんかモヤモヤしてたんだ」
オゼの表情が少し明るくなる。
「その気持ち分かります!なんか....すごーく」
二人を優しい風が包む。
陽が傾いている。
クエストコンプリート
「おつかれ〜」
「お疲れ様です」
二人は修繕が終わった城壁の上で、共に労を労った。
辺りはもう夕陽に包まれている。
「お二方〜、本当にありがとうございやした。
これは報酬ですぜ。弾んどきやした!」
オゼの目は輝き、NPCの手元にあるバケツを見た
「うん....?」
そこには、氷水に浸されたビールがたくさん入っていた。
フローが大きな声で笑う
「クエスト報酬はビール....最高じゃん!」
オゼもクスクス笑う
「最高!ですね」
フローは剣でササっとビールの王冠を開けて
「じゃ、乾杯!」
「かんぱ〜い!」
オゼはスクショを一枚撮った。
夕陽とビール。そして二人の笑顔。
素敵な一枚だった。
その後、夜になり二人は別れた。
夕はログアウトし、シャワーを浴びて氷の入ったキンキンの麦茶を飲み干した。
「なんか、よかった」
窓から入ってくる夜の風が、夕の火照った体を少し冷ました。




