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星降る丘




降り立ったそこは、清らかな風が吹く草原だった。

空には大きな入道雲が広がっていて、太陽が眩しく照りつけている。


「ここが....ステラ」


夕はただただ呆然としている。ログインから1時間以上経っていた。

他のプレイヤーは我先にと近くの街に入り、冒険の準備をしていた。


「い....行かなきゃ」



蒼風の街


夕は最初の街に着いた。

西洋風な家屋が立ち並んでいて、その他に露店やワープポイントの大きな女神像がある。


「レベリング行かない?あと2人〜」

「洞窟見つけたから行こうよ」

「宝箱あそこにあったぞ!」

街の中はプレイヤーの声で少し賑やかだが、落ち着いた雰囲気がある田舎街といった所だ。



「まず....武器と防具買わないと」

すると

「あ、そこで買わない方がいいよー」

夕の隣にはライオンの顔をした獣人のプレイヤーが立っていた。

「え!あ、こんにちは!ありがとうございます、すみません、失礼します」

夕は恥ずかしくなって逃げようとしたが、転んだ。

「ハハハ、そうだよね。なんか恥ずかしいの分かる」

獣人が手を差し伸べる

「俺、サンク。見たところサーバーの不具合でログイン遅れた勢?」

「いえ、そう言う訳じゃ....あっ私オゼです」

サンクが近くの大きな鏡を指差しながら

「あそこの鏡の前に立ってごらん」


オゼは鏡の前に立った。

そこには、長い白髪に青い瞳、リアルの自分より少し大人びた顔の自分が写っていた。

すると

全身が光って、手には槍、胸には頼りなさそうな皮でできた、胸当てが装着された。

「わ!初期装備だけどなんか嬉しい」

「でしょ。どう、レベリングでも行く?」

サンクからパーティメンバーに誘われた。

「レベリング、必要だと思います。でも私には必要じゃなくて....」

オゼは遠くを見つめた。

サンクはクスッと笑うと

「じゃあ、星降る丘に行こうよ。夜に行くと星が降り注いでいて綺麗なんだ」

オゼの瞳が輝く

「行きます」




夜になった。

街の中は冷んやりとした風が吹いていて、プレイヤーの賑わいも少し静かになった。

サンクとは街の入り口で待ち合わせした。



「あ、オゼちゃん待たせてごめん。あるクエストに手間取って....」

「大丈夫です。行きましょう」

二人は街から北西に少し離れた星降る丘にむかった。


「夜は好き?」

「好きです。日中の喧騒から離れて心が落ち着いて、すごく好きです....」

「俺も好き。ずっと夜でいいよね」

「似てますね」

「うん....」

話しをしていると二人は星降る丘にたどり着いた。




丘からは遠くの海や灯台、朽ち果てた女神像などが見えた。少し強い風が吹いていて、肌寒いが心地良い。



「?星は....降ってないですね」

「ちょっと待ってて....」

サンクはアイテムを取り出した。

それは小さな星の着いたネックレスだった。

「これ、付けてみて」

オゼはネックレスをゆっくり付けた。


すると、ネックレスが輝き夜空から無数の星が降り出した。

赤や青の星々が煌めきながら、海に落ちていく。

オゼはその光景に息を飲んだ。




「これが....ステラ」





その後、サンクとは別れログアウトした。プレイ開始から6時間が経っていた。

ゴーグルを外すとカーテンから朝日が漏れていた。




夕の頬には涙が伝っていた。


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