55. 魔の森での戦闘?(リオン編)
妖精の物騒なセリフがあります。苦手な方はスルーしてください。
リオンが、魔の森の中……
精霊たちにもみくちゃにされ、はりつかれ、団子にされていた。
リオンは、神獣フェンリル。そして創造神の使い。
精霊は神獣フェンリルにいいところを見せたかった。
『神獣フェンリル様!任せてください!
私たちが行きますので、神獣フェンリル様はこちらでおくつろぎください!!』
「いや、そういうわけにもいかぬ!通せっ!!」
『だめです!我々がやります!フェンリル様は、見ていてください!』
『そうです!たまには我々の有能な姿をみて褒めてください!』
『そうそう!フェンリル様がそうしたいなら!頑張るです!』
『もふ~~』
リオンに精霊がいっぱいくっついてきて、前が見えない……。
歩けない……歩いたら潰しそう……ぷちっと……。
「わ、わかった!わかったから離れるのだ!」
『やった!おまかせください!!神獣フェンリル様!』
「私の名はリオンだ。リオンと呼ぶのを許そう。
それで、なぜ急に手伝うと言い出したのだ?」
『私たちは森をいつも見守っております。
でも、むやみやたらに、手を出していいわけではないのです。
しかし、契約したものや、神からのお言葉があれば手を出せます!!
私たちはこの時を待っていたのです!!』
ふんす!とやる気満々の森の精霊たち。
ようは、魔物が増えて、住みづらくなり、不満が増え、やっつけてやりたいと思っても、
精霊の掟により、それが出来なかったと。
そんな時、私が来たから、口実に今までの不満の元凶を
ここぞとばかりに叩きのめしてやりたいと。
そう言うことのようだった。
(しょうがあるまい。口実とやらになってやろうかの)
「あいわかった!精霊どもよ。私の依頼を受けてくれる精霊はどのくらい居る?」
『はい!(×200体くらい)』
顔を出して手を挙げる精霊たち。
どの顔にも、やる気が満ち満ちて溢れている!
(この森にはまだこんなに精霊がいたのか。
しかし、森の奥の方の精霊もこちらに逃げてきているようだの。
追い出された恨みの反撃は怖そうだのぉ)
ぶるぶるッ!
(……なんだ、この寒気は!?)
「わ、わかった!!では、依頼する。森の中ほどまでを範囲として、
”銀翼のフェンリル”のジャマはしないこと。
森の浅い部分の場合は、浅い部分にいつもは見ることがない魔物がいたら殲滅。
浅い所でも見る魔物が、群れを成していたら、また群れを作れないくらいに討伐。
若い冒険者が魔物と戦っていたら、姿は見せないようにして、我を呼べ。一緒に討伐または殲滅する。
若い冒険者がやられそうになったら、姿を見せず、討伐。
倒した魔物は残しておくでないぞ。不死となる恐れがある。黒いオーラのせいでな。
その為、倒した死骸は収納に入れて持ってくるか、森が火事にならないように消せ。
魔石は残ったらもってこい。
よいな!!」
『はい!(×200体くらい)』
「ゆけっ!!」
『いくぞ!!殲滅!殲滅!』
『風で吹っ飛ばす!高い所まで飛ばしておとすっ!!』
『水の刃で刻む!!住処を追い出したお礼しなきゃ……』
『土掘って、壁作ってぶち当てて、土に埋める!』
『つるで吊るし上げる!!』
精霊たちは物騒なことを言いながら森の中に消えていった……。
(こ……こわっ!こわっ!!闇落ちするでないぞっ!)
「あーーーー。やることがなくなったのぉ……。
我も、バシッと討伐したかったのだがのぉ……」
『見つけた!!おりゃっ!!』
『グギャーー!!』
『逃がさない!!』
『ギャーー!!』『グアーーッ!』『グギャ……!』
遠くから精霊たちと魔物たちの声が聞こえる……。
「……。精霊ってこんなんだったかのぉ……」
『討伐完了!』
『死骸は森の土にかえす。土の精霊お願い!』
『わかった、森の栄養にしてあげる!!これぞエコ!!』
「どこで覚えてきたのかのぉ……」
『見つけたぞ!!追うぞ!!』
『らじゃー!隊長!!』
「あっちは傭兵ごっこかのぉ。
こんな妖精の姿を見せたら、人間は引くじゃろうな……」
『木々よ、魔物を倒せ!!』
『あ!木が魔物を弾き飛ばした!!』
『ホームラーン!!』
『空の上で切る!!しーかーえーしーだー!!びゅーん!!』
「楽しそうじゃのぉ……」
その時だった、一人の精霊がすごいスピードで戻ってきた。
『リオン様!!若い冒険者が魔物と戦闘していて、負けそうです!!』
「お!ついにかのぉ!どこだ!すぐに行こう!」
(とうとう出番のようだ!)
『はい!』
そこで見たものは、熊の魔物が冒険者パーティーに迫っているところだった。
4人パーティーで2人が動けず、そのうちの1人が意識がないようだ。
残りの2人が怪我人2人を守りながら、熊の攻撃に耐えていた。
熊は2匹。前後で挟み撃ちで狙っていた。
『ここです!』
「たすかった。では、人間に見られないように隠れておれ」
(おっと、このままでは神獣フェンリルだとばれてしまう。大型犬にならねば)
自分の体をどんどん小さくして、大型犬サイズになる。
※大きさを変えただけで神獣フェンリルです。
『リオン様、それは……』
「大型犬だ。犬にしか見えんだろう?少し前もこれで乗り切ったのだ!(どやっ)」
『……そうなんですね……』
妖精は思った。
(犬はそんな神々しくありません。
犬はそんな毛艶はよくありません。
犬は神聖力をもちません。
犬は蒼い目はしていません。
犬は……もう。いいです。)
「ワン!!」
犬になりきり、熊にとびかかるリオン。
『ワンワンって言った……リオン様が……
人間は、誰も何も言わないんだろうか?……言えないのか』
妖精は自己解決し、納得した。
リオンに飛びつかれた熊は、悲鳴をあげて、遠のいた。
反対側の熊も、リオンの俊足で近づき、爪を出して引き裂いた。
「おい、そこの若い冒険者!落ち着け!我は……大型犬である!」
妖精は思わず心の中で突っ込む。
(犬は、しゃべりませんよ!!リオン様!
……あれ、自分がしゃべってることに気づいていないな……)
突然敵が吹っ飛んだと思ったら、急に声をかけられて、驚いて振り向く。
「…………!」
冒険者たちが驚いて固まる。
「おい!聞いているのか?あの熊、我が討伐するぞ?
おぬしらは、今の状態では無理であろう?」
「……は、はい」
(うむ。返事をするのがやっとか。しかたがない)
そうして、熊にとびかかり、あっという間に討伐してしまう。
冒険者たちは小声で会話する。
「ねえ、あ、あれ、どう見ても犬じゃないよね?」
「でもさ、さっき、自分で犬って言ってたよ……」
「いやいや、まて!そもそも、犬はしゃべらない…‥」
「…………」
「あれ、どう見ても本で見たことがある、伝説の神獣フェンリルだよね」
「そういえば、冒険者ギルドで、
大型犬になりきって冒険者と一緒にいる
変わった神獣フェンリルがいるって噂で聞いたことがある。」
「……それだね」
「でも本人が犬って言ってるから……犬なんだよ……」
「……そうだな……犬だな……」
「会話していても、そこに触れるなよ」
「あぁ!」
リオンが、熊を討伐し、収納袋に収め、
若い冒険者のところに歩いていく。
「あの。助けていただいてありがとうございました!」
「……ワン!」
リオンはそういって、大怪我している冒険者2人の隣に、エルミーの回復ポーションを2つ置く。
「飲ませろ言うことですか?」
「ワン!」
「……あ、ありがとうございます」
そして、立ててはいるが、全身傷だらけの2人にも、
別の回復ポーションを渡す。
「これ、俺たちにですか?いいのですか?」
「ワン!」
「あ、ありがとうございます。もうだめかと思いました。
おかげで生きて街に帰れそうです」
重症だった2人も目が覚め、立ち上がることが出来た。
リオンを見て、何か言いそうになったところを、
他の若い冒険者が小さい声で説明をした。
若い冒険者たちがみんなでお礼を言ってきた。
(礼儀正しい子たちだのぉ。こういう子たちは応援したくなるのぉ)
「ワン!(気をつけて帰るのだぞ)」
そういうと、リオンは森の中へ走って行った。
また、さっきの妖精が出てきた。
そして、リオンももとの姿にもどった。
『リオン様、お帰りなさい!』
「うむ。犬とばれなかったぞ。さすがは、我である」
妖精は口を開いてツッコミを入れたかったが。ぐっとこらえた。
(さっき、しゃべっちゃってましたがーーーー!!
思いっきり、若い冒険者に気を使わせていましたがーーーー!!
でもまあ、リオン様満足そうだし、若い冒険者も察してくれてたみたいだし。いっか)
そうして、森に次にどこに行こうか考えていた時。
『リオン様!終わったよ!!森の中ほどくらいまで終わった!!』
『魔物の群れ、間引きしたー!!すっきりしたー!』
『その場所に普段いない強い魔物は殲滅した!いえやーっ!!』
『若い冒険者も見当たらなかった。よかったーー』
「お前たち、よくやってくれた。ありがとう!さすがは、この森の妖精たちだな」
「「「「きゃー!ほめられたー」」」」
もっと褒めろと言われ、褒めまくったリオンは、疲れたので野営地にもどったのだった。




