表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/82

51. 魔の森での戦闘(エルミー編)

今回も戦闘シーンです。苦手な方はスルーしてください。

エルミーは森の中を走っていた。


(森の中は、私にとって、とても落ち着ける場所です。

草花の香り、土の香り、葉の擦れる音、鳥や動物たちの鳴き声。

最近は、街のにぎやかさも好きになってきたが、やはり森にはかないません。


しかし、その森が、最近騒がしいのです。

最近は精霊の数も減っていて……森が苦しんでいるように感じるたび、胸が締めつけられます)


エルミーは、精霊たちに事情を話し、

討伐対象や、若い冒険者を見つけてほしいとお願いする。


精霊たちは、きゃっきゃと喜びながら、「まかせて~!」とやる気満々だ!


風の精霊は「行ってくるねー!!うきゃーー!」と言って、もう飛んで行った。

土の精霊は「まーかーせーてー」と、いいつつ、のんびり私の足元でころんころんと遊んでいる。

(早く行ってほしいのですが……)


エルミーは、エルフと人間のハーフ。

エルフの血が濃いせいか、森の気配がよく分かる。


森との親和性も高いせいか、

精霊との親和性も高い為か、精霊が見え、会話もできる。

力を借りて戦うこともできた。


精霊の力を借りて戦える者は、精霊との親和性が、ある一定値まで高まると、

精霊が契約してくれるという。


(契約精霊って……自分だけの相棒みたいで、ずっと憧れているのです。

私にはまだ、契約精霊はいませんが、いずれは出会いたいものですね)


森の中を見ると、多くの精霊がいる。


(まわりにはこんなに精霊がいるというのに、

一人くらい私の契約精霊になってくれても、

よいのではないかと思うのですが……。

しかしそれは私がまだ未熟だからなのでしょう。

精進しなければ)


そんなことを思いながら森を走っていると、急に精霊の声が聞こえてきた。

「エル!あっちに魔物の群れがいるよ!」

「ありがとう!案内お願い!」

「いいよー!こっち!こっち!」


精霊の後を走ってついて行き、

気配が濃くなってきたので、私は枝へ軽く跳び乗った。


魔物の種類はこの浅い場所でもよく見る魔物だ。

ただ……。群れになっていた。

「アサルトボア。

突進力が強く、群れになると被害が出やすい魔物です。

……数が多いですね。20匹ほどでしょうか。

……3分の1以下には減らしたいですね……」


距離を確認し、弓を構える。

ここからならあの魔物も、私のことを感知できないでしょう。


風の精霊たちが、葉っぱのようにひらひら舞いながら、

エルミーからのお願いを期待して周りを飛び回っていたり、

私の弓にまとわりつきながら『さーいくぞー!突撃だー!』と今か今かと騒いでいる。


「風の精霊よ、力を貸して!」


エルミーが弓を引き絞った瞬間、

風の精霊たちが『待ってました!』とばかりに一斉に動き出す。


「まかせてーっ!」

「いっくぞー!」

「エルの矢、速くするよーっ!」

「あはははははっ!!」


矢にはりついていた風精霊たちが、きらきらと光をまとわせる。


エルミーは息を整え、静かに放つ。


「――風矢・穿通(ふうし・せんつう)ッ!」


矢が放たれた瞬間、空気が裂ける音が響き、 風の軌跡が一直線に残る。


放たれた矢は、風を裂き、アサルトボアの額へ一直線。

命中した瞬間、風精霊たちが「ひゅんっ!」と加速をかけ、

矢はそのまま二体目のボアの肩まで貫通した。


「やったー!二匹いっぺんに倒したー!」

2人の風の精霊が「いえーい!」と両手を挙げてハイタッチする。


精霊たちが嬉しそうに跳ね回る。


風矢・連閃(ふうし・れんせん)ッ! 風矢・連閃(ふうし・れんせん)ッ!」


高速で複数の矢を連射し、

風の刃をまとった矢が、空へと吸い込まれるように舞い上がる。


風の妖精が空でくるくる踊っている。


すると、次々に矢が重力と風魔法による加速により、

雨のように降り注ぎ、アサルトボアたちは次々と倒れていき、

ふいに進路を変え、魔物に襲い掛かる。


風精霊たちは楽しそうに矢の軌道を補助し、

土の精霊たちは足元で「がんばれー」と跳ねて応援している。


「いっけーっ!」「そこだっ!」「ひゅるるるっ!」


……なぜか精霊たちの掛け声が一番元気だ。


数十秒後――


「……よし、3分の1以下まで減りましたね」


エルミーは弓を下ろし、息を整える。


「精霊のみんな、ありがとう。助かりました」


「えへへー!」「もっとやるー!」「次いこー!」


精霊たちはまだ元気いっぱいだ。


(精霊たちといると、元気が出るな)


エルミーは再び森を走り出す。

突如、風の精霊が肩の上に乗ってきて、

頬をつんつんしながら「こっちこっち!」と指さす。


その先で――


若い冒険者が、

グローウルフの群れに飛びつかれそうになっていた。


(あの牙で噛みつかれたら、若い冒険者ではひとたまりもない)


「どうか間に合って……!」


エルミーは木の上へ跳び乗り、

弓を構え、矢を連続で放つ。


風矢・連閃(ふうし・れんせん)ッ!」


矢が連続で地面へ突き刺さり、

若い冒険者とグローウルフの間にいくつもの矢が突き刺さった。


グローウルフたちは驚き、後ろへ飛び退き、周囲を警戒している。


若い冒険者は、いくつもの矢が刺さる音と、

グローウルフが静かになったことで振り返り、誰かが助けてくれたことに気づく。


エルミーは木の上から声をかける。


「大丈夫ですか!

私はA級冒険者パーティー『銀翼のフェンリル』のエルミーです。

加勢しますか?それとも私に任せますか?」


「か、加勢をお願いします!!」


「分かりました。風の精霊、手伝って!」


「はーい!」「いっちゃうよー!」「まかせてー!」


風精霊たちがエルミーの周りに集まり、

髪がふわりと揺れ、光がきらきらと舞う。


エルミーは木から飛び降り、走りながら矢を放つ。


風矢・連閃(ふうし・れんせん)ッ!」

風矢・穿通(ふうし・せんつう)ッ!」


木の上へ跳び移り、

枝の上から角度を変えて射抜く。


風精霊たちは矢を押し、

土の精霊は足元で「がんばれー!」と跳ねている。


グローウルフたちは次々と倒れ、

最後の一匹が逃げようとした瞬間――


「逃がしませんよ!」


エルミーは、弓を引き絞り、矢を放つ。


「風矢・穿通ふうし・せんつうッ!」


矢が放たれた瞬間、

空気が裂ける音が森に響き、 風の軌跡を一直線に残しつつ、

グローウルフの背に深く突き刺さり、動きが止まり、崩れ落ちた。


戦闘が終わると、若い冒険者たちは呆然とエルミーを見つめていた。


森の木漏れ日がエルミーに当たり、

風精霊が楽しそうに髪をもて遊んでいる。

見えぬものには、風が髪を遊ばせているように見えた。

髪が光にあたり、きらきらと舞う。


その中性的な容姿、

細身だが、弓を力強く引く時に見られるしなやかな腕の筋肉、

高身長で、穏やかな話し方。

それなのに、戦闘は強くて、何者からも守ってくれそうな安心感。


その姿はまるで――絵画のようだった。


「……すごい……」

「……美しい……」

「精霊魔法なんて初めて見た……。でも精霊は見えなかった……」

「弓が……速すぎて見えなかった……!」

「……素敵……」


一人の冒険者は涙を流しながら、


「助けていただいて……本当に……ありがとうございます……!」


別の冒険者は震える声で、


「弓の……弓の練習、教えてください……!」


エルミーは優しく微笑む。


「皆さんが無事でよかったです。

魔石と死骸は持てるだけ持って帰ってください。

私はまだ依頼遂行中ですので、少しでも収納袋の容量は開けておきたいのです。」


「あ、ありがとうございます!」


「帰り道も危険ですから、回復ポーションを飲んでから帰ってくださいね」


『ありがとうございます!』


冒険者たちは深く頭を下げ、森の入口へと走っていった。



エルミーは再び森を走り出す。


途中、浅い場所にはいないはずの巨大な蜘蛛の魔物を風精霊が発見。

ちなみに土精霊が服の裾にぶら下がって揺れながら喜んでいる。が、気にしない。


「……あなたは、ここにいていい魔物ではありませんよ」


木の上へ跳び、矢を引き絞る。

風精霊たちの中から、一人「今度はぼくがいく!」と意気込んでいる子が出てきて、

矢に触れて力を込めてくれる。


エルミーは矢を放つ。


風矢・穿通(ふうし・せんつう)ッ! 風矢・穿通(ふうし・せんつう)ッ!」


蜘蛛は糸を吐き反撃するが、

エルミーは風精霊の加速でひらりと避ける。


最後に、

蒼風・断ち矢(そうふう・たちや)ッ!」

矢が“蒼い刃”のように変質し、

蜘蛛の魔物の硬い外皮も一撃で切断した。


「やったー!」

「エルすごいー!」

「やっつけたー!」


エルミーは息を整え、森を見渡す。


「……まだまだ、森を守らないといけませんね」


風精霊たちが肩に乗り、

土の精霊が裾からぽとりと落ち、足元でころんと転がる。


「エル、次いこー!」

「まだまだ暴れたりないよー!」

「次も、まかせてー!」


風精霊の一人が勢い余って木にぶつかり、ぽすんと落ちた。

「いたた……でもいくー!」

「慌て過ぎだー」「あはは~!」


エルミーは落ちた風精霊を両手ですくい肩に乗せる。

他の風精霊が引っ張って肩に乗せてあげている。かわいい……。


土の精霊たちは、ポケットに入ってご満悦。


「ふふっ。一緒に行きましょう」


エルミーは精霊たちの力強い言葉と可愛さに微笑み、再び走り出した。


「はい。行きましょう。

森を守るために、人々を守るために――」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ