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28. 魔物殲滅作戦5 -神獣フェンリル・リオン-

今回で魔物殲滅作戦は一段落です。

戦闘シーンがあるので、苦手な方はスルーしてください。

砦の前線。

土煙と血の匂いが混ざり合う戦場に、

ひときわ眩い白銀の影が駆け抜けた。


神獣フェンリル・リオン。


その姿を見た兵士たちが、

思わず息を呑む。


「し、神獣様だ……!」

「本物の……神獣フェンリル様……!」

「味方だ……!助けに来てくださった!!」


兵士や冒険者の中には、

リオンを見て神に対するように涙を流しながら拝む者、

伝説の神獣フェンリルに会えたことに興奮する者、

何度も何度もお礼をいう者もいた。


リオンの白銀の毛並みは、

戦場の汚れを一切寄せつけず、

光を受けて神々しく輝いていた。


その美しさは、

戦場の混沌の中で異質なほどだった。


だが――

次の瞬間、その美しさは“荒々しい破壊”へと変わる。


リオンは前方の魔物の群れに向かって、

喉の奥で低く唸り声を響かせた。


「――グルルルル……」


空気が震える。


そして――


「ガアアアアアアアアッ!!!」


神獣の咆哮が戦場に轟いた。


その瞬間、

リオンの全身から雷が弾け飛ぶ。


バリバリバリバリッ!!


「ひっ……!」

「雷が……走ってる……!」

「す、すげぇ……!」


リオンは雷を纏ったまま、

地を蹴った。


ドンッ!!


白銀の閃光が戦場を駆け抜ける。


魔物の一体に飛びかかり、

雷を纏った爪で薙ぎ払う。


ズバァッ!!バリバリッ!


魔物の巨体が、

雷光とともに吹き飛んだ。


兵士や冒険者は、

その、神々しいまでの美しさと、凶悪なまでの強さに

物語の神話を目の当たりにしているようだった。


大地を操る神獣の一撃

別方向から魔物の群れが迫る。


リオンは振り返り、

地面に爪を突き立てた。


「――ガウッ!」


大地が震え、

リオンの足元から土の柱が一斉に立ち上がる。


ゴゴゴゴゴッ!!


(《土牙・隆起(どが・りゅうき)》)


土の牙のような柱が魔物を貫き、

次々と地面へ叩きつけた。


「う、うそだろ……」

「大地が……神獣様に従ってる……!」


兵士たちの声が震える。



リオンの縦横無尽の遊撃は止まらない。


雷を纏って駆け、

土を操って道を作り、

戦場を縦横無尽に走り抜ける。


その動きは、

まるで白銀の輝く流星。


魔物の群れの中をすり抜け、

一体、また一体と切り裂いていく。


バシュッ!

ズガンッ!

バリバリバリッ!!


「すげぇ……!」

「神獣様が……戦場を駆けてる……!」

「押されてたのに……一気に形勢が……!」


兵士たちの士気が、一気に跳ね上がる!!


かなり魔物の数は減ったものの、

まだ残っている。油断はならない。


リオンは魔物の群れを見据え、

大きく息を吸い込んだ。


そして――


「オオオオオオオオオオオオッ!!!」


空気が裂け、鼓膜を震わせるほどの圧が走り、

魔物たちが一斉に怯んだ。


「ひっ……!」

「魔物が……後ずさってる……!」

「神獣様の咆哮……すげぇ……!」


その咆哮は、

ただの威嚇ではない。


“戦場の支配者の宣言” だった。


怯んだ魔物の中から、

一体の大型魔物が吠え返してきた。


リオンの瞳が細くなる。


(ほぉ……われに挑むか。…よかろう )


「……ガウッ」


次の瞬間、

リオンの全身が雷光に包まれた。


バチバチバチッ!!


地面を蹴る。


ドンッ!!


雷の軌跡を引きながら、

一直線に大型魔物へ突進する。


雷牙・瞬閃(らいが・しゅんせん)


ズガァァァァァンッ!!


雷の閃光が魔物を貫き、

巨体が爆ぜるように吹き飛んだ。


「(なんぞ……この程度か。つまらぬ)」


兵士たちが興奮して大騒ぎする。

「うおおおおおおおお!!!」

「神獣様ーーー!!!」

「勝てる!!勝てるぞ!!!」


士気は最高潮に達した。


リオンは静かに息を吐き、

雷を収める。


気づくと、”銀翼のフェンリル”たちの活躍や、

士気の上がった騎士、兵士、冒険者達によって、

魔物のほとんどが討伐されていた。


白銀の毛並みは、

戦闘の最中でも一切乱れず、

むしろ戦いの熱でさらに輝きを増していた。


その姿は、

まさに“神話の一頁”。


兵士たちは涙ぐみながら叫ぶ。


「神獣様が……味方に……!」

「こんな心強いことがあるか……!」

「まだ戦える!!」


もう少しで完全勝利だ!


リオンは兵士たちの声に耳を傾け、

静かに、誇らしげに吠えた。


「――ウォオオオオオオオッ!!!」


その声は、

戦場全体に響き渡り、

味方の心を奮い立たせた。


そして、士気を上げまくった騎士、戦士、冒険者達により、

その後すぐに魔物殲滅は成し遂げられたのであった。


***


銀翼メンバーは、指揮官室に呼ばれた。


「銀翼のフェンリルの皆様。神獣フェンリル様。

この度は、駆けつけていただき、ありがとうございました。

感謝しても感謝しきれません。

この砦を死守出来て、本当によかった。

民が傷つかず、守り切れてよかった。

すべて、貴方がたのおかげです。」


指揮官が、胸に手をおき、心からの感謝をむけてくれた。


ジークは、そんな指揮官を尊敬した。

本当に危ういところだった。もうダメだと何度も思ったことだろう。

その中で、よく耐えたと思った。


「指揮官殿。こちらこそ、貴方がたにお礼を言いたい。

我々が駆けつけるまで、耐えてくれてありがとう。

おかげで、みなを助けることが出来て、私は嬉しい。」


すると、指揮官がふふっと笑う。

「エルミー様からも同じことを言っていただきました。

まことに……ありがとう……ございました。

これで妻のところに帰れます。」


「皆はとても勇敢に戦っておったぞ。

人間というのは守るものがあると、つよいのだな」


「……はい。そうだと思います。

神獣フェンリル様、戦場で皆の心の支えになっていただいたこと、感謝いたします。

ありがとうございました。」


指揮官たちとの挨拶を終え、

残りの魔物の後片付けは砦の騎士、兵士と、雇われた冒険者がやってくれるとのことで、

銀翼のメンバーとリオンは、早速帰路についた。


リオンはアレクとヒナを思う。

(……帰るか。あのちびたちが待っておる)


銀翼のメンバーも思う。

(泣き虫のおちび2人が待っているからな。

帰って抱きしめて、甘やかしてやろう。)


アレクとヒナの顔が見たい。

みんなの気持ちは一つだった。


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