26. 魔物殲滅戦3 -フリード-
今回も戦闘のシーンですので、苦手な方はスルーしてください。
フリードは別の戦線で、
複数の冒険者を援護していた。
「はいはい、そっちのグループ援護するよー!」
彼の杖は、とてもコンパクトだ。
持ち歩きやすい、軽い、走りやすい、振りやすい杖。
杖の先端には、自分の髪の色と同じ、濃くて赤い魔石がついている。
この魔石は、赤いからといって、火魔法特化というわけではない。
彼は珍しい5属性持ち。
そのどれにも対応できる魔石が、たまたまこの色だった。
それでも、この色は自分がとても気に入っている。
どんな魔法でも力を貸してくれる、頼れる相棒だ。
その自慢の杖を振ると、雷の球がいくつも生まれ、空中で不規則に跳ね回る。
「《雷球・散弾》!」
バチバチバチバチッ!!
雷球が一斉に炸裂し、
魔物たちの動きを止める。
「今だ!やっちゃって!」
冒険者たちが一斉に飛びかかり、
魔物を討伐していく。
「助かった!ありがとう銀翼の方!」
「フリードだよ。いいってことよ!
じゃーね!」
(かるっ!フリードさんって”魔妖精フリード”だよな。
確かにつかみどころ無くて魔妖精って感じだな!)
(ああ、だけど、さっきの見たか?魔法、すごい高度なやつだよな!
実力は本物ってことだな。あの年で銀翼メンバーだもんな!)
後ろでひそひそ冒険者が話しているが、
もう走り出しているフリードには聞こえていない。
「さーて、次はどこいこっかなー」
フリードは笑いながら、次の援護へ走る。
***
フリードは走りながら、
戦場の空気を肌で感じ取っていた。
彼の視線の先では、
冒険者たちが複数の魔物に囲まれ、押され始めていた。
「はいはい、銀翼です。今、助けますね!」
「「「「え?」」」」
フリードは軽く杖を回す。
赤い魔石が光り、空気が震えた。
「《雷嵐・乱舞陣》!」
バチバチバチバチッ!!
雷球が空中に十数個生まれ、
まるで意思を持つように跳ね回る。
「うわっ!?なんだこれ!?」
「雷が勝手に動いてる!?」
「魔法だよね?生き物じゃないよね?」
冒険者たちが驚く中、
雷球は魔物の足元へ潜り込み――
ドガァァァァンッ!!
一斉に炸裂した。
魔物たちが痙攣し、動きが止まる。
「今だ!やっちゃえ!」
「「「「え?………あっ!!」」」」
冒険者たちは一斉に飛びかかり、
魔物を討伐していく。
「助かりました!ありがとうございます!銀翼の方!」
「フリードだよー。いいってことよ。じゃーね!!
砦に行って、ちゃんと回復してもらうんだよー!」
軽く手を振りながら、
フリードはまた走り出す。
「「「「はい………」」」」
***
「おーっと、こっちは数が多いなぁ。
じゃあ……ちょっと出来たばかりのあれ!いっちょ使ってみますか!」
「おつかれさまー。銀翼です!手伝いまーす」
フリードは元気よく手をあげて挨拶をする。
「え?はい!!ありがとうございます。」
「数が多くて大変だったんです。ありがたい!」
「銀翼さん、感謝します!」
フリードは一度うなずくと、杖を地面にトンとつく。
「《火風・爆裂旋華》!」
ゴォォォォッ!!
火と風が混ざり合い、
巨大な火花の花が咲いた。
花びらのような火の粒が舞い、
風がそれを巻き上げて――
ドォォォォォンッ!!
爆風が戦場を薙ぎ払う。
魔物たちがまとめて吹き飛び、
地面に転がった。
「なっ!あっ!えっ?……なんだ…あれ…すごい…」
「複合魔法?それにしても手が込んでいたというか‥」
「銀翼の魔法使いって、あんなの撃てるのか……」
兵士たちが呆然とする中、
フリードは肩をすくめる。
「えー?今のは軽めだよ?
もっとすごいのもあるけど、ここじゃ危ないしねぇ」
「じゃーねー!オレ行くねー!
砦に行って回復してもらってねー」
軽く手を振りながら、
フリードはまた走り出す。
「「「あ、はい………」」」
***
「おっと、あれは……巨大だ!!ちょっと硬そうだねぇ!!」
巨大な岩のような魔物が、
冒険者たちを押し潰そうとしていた。
「はいはい、そこの君たち、下がって下がってー。
銀翼だよー手伝いに来たよー。オレが相手するから!ちょっと危ないよー」
「「「「「え?………え~~~!?」」」」」
危機的状況の中、どこか力の抜ける声が聞こえて、
困惑する兵士と冒険者の混合チーム。
フリードは杖を構え、
魔力を一気に練り上げる。
「さて……こいつなら、あれ、使っていいよね!!
とっておきの見せちゃうよ!」
風が渦を巻き、
地面が震え、
空気がビリビリと震動する。
「《熾雷・穿ち槍》!!」
ズガァァァァァァァンッ!!
火の熱と雷の貫通力を融合させた“雷炎の槍”が、
一直線に走り、
巨大魔物の胸に突き刺さる。
次の瞬間――
ドッッッッッッッッッ!!!
内部で雷と火が同時に爆発し、
魔物の巨体が吹き飛んだ!!
「あんな硬いのが……吹き飛んじゃったんだが……!?」
「な、なんだ今の……!?」
「槍……?いや、魔法……?」
「いやいやいや、あれ人間が撃つもんじゃないだろ……!」
兵士と冒険者の混合チームがフリードを見て呆然とする。
「アーハッハッハッハッハ!爽快だね!
魔法はこうじゃなきゃだよね!」
フリードは笑いながら杖を肩に担ぎ、うんうん頷く。
「ふぅー、やっぱり融合魔法は最高だねぇ」
「またクロムと魔法研究したいぜー。
今度はどんな魔法作ってみようかなー」
「「「「「………」」」」」
冒険者の魔法使いは、一人こっそり思う。
(魔法って、そんなに簡単につくれたっけ?
いや、むりだよね。なんなの、あれ。あの破壊力。
あんなの、どうやって作るんだよー!!)
「じゃーねー!砦に行って回復してもらってねー」
軽く手を振りながら、
フリードはまた走り出す。
***
さらに別の方向で悲鳴が上がる
「おっと、まだいるの?
はいはい、行きますよー」
フリードは軽く伸びをして、
また走り出す。
「さーて、次はどこでぶっ放そうかなぁ!」
その背中を、
兵士や冒険者たちが呆然と見送った。
「……あれが銀翼の魔法使い……」
「軽いのに……強すぎる……」
「魔妖精って噂、あながち間違いじゃねぇな……」
フリードはそんな声など気にも留めず、
楽しそうに戦場を駆けていった。




