15. ギルドマスター室にて2
話がひと段落したギルドマスター室。
話し合いで男気をみせたギルドマスターを
興味津々で視線をおくるアレクとヒナ。
ギルドマスターも視線は気づいているものの、
どうしていいかわからず、
ジークに目線で助けを求める。
気になって、アレクとヒナをちらっとみる。
「…………」
アレクとヒナは、
今はリオンの後ろに隠れながらも、
ちらりとギルマスを見上げる。
「……おおきい……」
「……つよそう……」
キラキラした目線で見られ戸惑うギルドマスター
「…………………」
でもなんとなく優しい目で見てる。
(あ、これ完全にやられてる)
銀翼のメンバーたちにはビビッときたのだった。
***
ジークが2人を安心させるように言う。
「アレク、ヒナ。この人は大丈夫だ。
この人は、ギルドの“みんなのお父さん”のような存在だ」
「お、お父さん……?」
そんな事初めて言われたという感じに戸惑うギルドマスター。
アレクはヒナの手をぎゅっと握り、
ヒナもアレクの袖を掴んだ。
そして、ギルドマスターの目の前にくる。
アレク&ヒナ
「……おとうさん…」
必殺、無意識上目遣い、炸裂!
オルガが面白そうにみる。
(背が小せぇから、上目遣いになるのは…しょうがねぇな…。
でも、あれを正面から受けたらやばいって‥…)
ギルドマスターが固まってる。
「…………」
「………………」
「………………かわいい(小声)」
(((((聞こえてますよマスター!!!)))))
***
――ギルドマスターとしての威厳?
そんなものは吹き飛んだ
ギルドマスターは咳払いをして、
なんとか威厳を取り戻そうとする。
「こ、こほん……
アレク、ヒナ……だったな」
「……うん……!」
「……ひな……!」
「よく来たな。
ここは危険な場所だが……
お前たちが安心して過ごせるよう、
ギルド全体で守る」
「……まもる……?」
「……ひな……まもる……?」
「そうだ。
お前たちは、もう“ギルドの子”だ!」
アレクとヒナは顔を見合わせ、
ぱぁっと笑った。
そして――
とてとてとてっ
2人はギルドマスターの足元へ駆け寄り、
そのまま両足にぎゅっと抱きついた。
2人の精一杯のお礼である。
「……ありがと……!」
「……すき……!」
ギルドマスターまたも固まった。
「………………っ!!?」
「「「「「ギルマス陥落~~~~!!!!」」」」」
***
その後、ギルドマスターの秘書のような人が
アレクとひなにはクッキーとジュースを、残り大人組はにはコーヒーも持ってきた。
銀翼のファンのようだ。
冷静を保ちつつも、顔もほのかに赤い。
キラキラした目で銀翼のメンバーを眺めた。
アレクとヒナは、
この世界ではじめて食べる”おかし”である。
わくわくがとまらないという顔で秘書さんを見つめる。
「あ…なんてかわいい子達でしょう。
おとなしく座っているなんて、とてもいい子だわ〜」
と、言ってくれているが、
今は、ジークのひざにアレクが
オルガのひざにヒナが確保されていた。
ガッチリと。
「またもや、でおくれたーーーー」
クロムが悔しがる。
二人はもらったおやつを
ひとくち食べて、笑顔になる。
「ひな、おいしいね」
「うん!おねえさ…ありがと」
「……!!いいのよ〜」
秘書も顔を隠して見つめている。じっくり。
そんな時、
アレクがあることに気づいた。
「ねえ、ジーク
みんなのくっきーないのに、おれ、たべちゃった…」
(なんと健気な…。そんなの気にしないでいいのに。)
「そんなこと、気にしなくていい。
ゆっくりいただきなさい」
アレクは、「うん」とうなずきながら、じっとクッキーを見る。
そして、クッキーを半分に割り、
ジークの口元にかざす。
「じーく、あ~ん!」
(…………)
ジーク固まる。
まわりはコーヒーを
「ぶーっ!」と噴き出して、
むせている。
「じーく!はい!あ~~~ん!」
「お、おぉ。あーーーん」
クッキーが口の中に入れられる。
(うん。普通にうまい。)
「ひひっ!おいしいねっ!」
いたずらっこな笑いするアレク。
(((((アレク、可愛いすぎるだろう!それ!)))))
(……アレクは目を輝かせる。
返事を待っているようだ。
返事をせねば……)
「…このクッキーうまいな。アレク、ありがとな!!」
アレクは嬉しそうに笑い、座りなおした。
そして、当然……
それ見ていたヒナも動き出す……
オルガが危険を察知する!
(やばい!にげなければ!!
あ!ひざに乗せてるから、にげられなかったーー!!)
そして、
ひなが…ゆっくりと笑顔で振り返る……
手には、半分どころ、綺麗に割れなかった、ぼろぼろになったクッキー…
オルガ
「!!」
(こ?これを食べろと?)
「おるが……はい!……あーーーん!」
((((笑いすぎて、腹が痛い…))))
「ヒナ…あ、ありがとうな……あ、あ~ん」
(た、食べてやろうじゃないか。
ヒナがせっかくくれると言うんだ……)
ぼろぼろのクッキーが、オルガの口に入る。
そして、ヒナの手も……
「ぐえっ」
まわりはみんな突っ伏して震えている。
「おいちい…ねぇ~」
ほっぺに手をあてて、嬉しそうに笑いかける。
オルガは震えながら、笑わないように努めて答える。
「あぁ、ヒナがくれたクッキーはとてもおいしいよ。ありがとうな」
その言葉で、ヒナは満足したように前を向いた。
ミッションコンプリートである。
そして、お菓子タイムも終わり、
ギルドマスター室を出た。
***
銀翼一行を見送り、控室に駆け込む秘書。
「今日の銀翼様たち、最高だったわ」
(……今日の銀翼様たち、尊すぎたて、心臓が止まるかと思ったわ。
今日は仕事が手につかなそう……)
顔を赤くして、両手でほっぺをむにゅみゅに揉む。
奇怪な行動しだす秘書。
銀翼一行が、ギルドマスター室を出たことを確認し、
再度ソファに腰かけるギルドマスター。
「すごい台風のようだった」
(……俺、こんなに笑ったの何年ぶりだ……)
「笑い過ぎて腹が痛い……)
笑いつかれて、へとへとなギルドマスターだった。




