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11. はじめての野営

現在、仲間になった神獣と幼子を連れた冒険者たちは、

魔物を倒しながら、”銀翼のフェンリル”のパーティーホームがある街”フォレット”に

帰る途中である。


銀翼のフェンリルは、アレクとヒナを囲むようにして歩き始めた。

その中心には――

大型犬サイズのリオン。

白銀の毛並みは月光を受けて淡く輝き、

歩くだけで森の空気が澄んでいくようだった。


そして、銀翼達は思う。


(((((こんな毛並みがきれいで光る犬なんていないよな。

街に入れるかなー)))))


そして、声には決して出さない。


アレクとヒナはリオンの背に乗って移動している。


「疲れたら言うんだぞ。」


「だいじょぶ……!

おれ……にいちゃ…だから…!」


「りおんおにいちゃ……だいじょうぶ…りおんおにいちゃ…あったかい…」


「「「尊い……!!」」」


(((((疲れもたまってきているだろうに。

その頑張る姿にほっこり癒される……)))))


アレクがヒナの頭をなでる。

(ヒナ、それ、ただの感想…)


変異個体を倒してから、他の変異個体は見つかっていない。


現在出てくるのは、通常の魔物のみ。

魔物を倒し、休憩を入れながら森を歩き続け、

少し早いが野営の準備をはじめた。


***


日が暮れ、森の中に野営地を作ることになった。

オルガが小枝を探して薪にし、

ジークが火魔法で火を起こし、

エルミーがその間に薬草や野草を集め、

フリードが結界を張り、

クロムが回復の力でアレクとヒナの回復をする。


***


アレクとヒナは、歩き続けて疲れたようで、

リオンのふわさら毛布(本体)に包まれて寝そべっていた。


「寒くはないか?」


「りおんにいちゃ……だいじょうぶだ…あったかい……」


「あったか~い…ねむ~~……」


リオンは、尻尾を掛け布団替わりに2人の体に乗せる。


「夕飯ができるまで、少しやすむがいい」

「「うん……」」


2人は喜び、一瞬で眠りに落ちた。


銀翼がそ〜っと2人を覗き込む。

「「「「「かわいい~~~~!!!!」」」」」


***


焚き火の光が揺れる中――

ふわり、と小さな光が舞い降りた。


「あ、……精霊です……」


光の粒は、

アレクとヒナの周りをくるくると飛び回り、

まるで“遊ぼう”と言っているようだった。


「きらきら……!」


「……ちいさくて…かわいい……!」


そんな2人にリオンは微笑む。


「精霊たちは、純粋な心に惹かれる。

この子たちが好きなのだろうな」


「精霊が……自分から寄ってくるなんて……

すごいなー!」


「祝福……されてる……尊い…」


エルミーはそっと手を伸ばし、

自分の肩にも来てくれた精霊を見て微笑んだ。


「……こんなに精霊が集まるなんて…

この子たち、ほんとに特別なんですね……」


アレクとヒナがスープを飲み終え、

リオンの胸元で寝ようとしているヒナを

オルガが止める。


「ヒナ、口のまわり拭いてから、抱きつこうな。

口のまわりがスープでいっぱいついてるぞ。」


(あ、ほんとだ、ひなの口のまわりびちゃびちゃだ!)


「ん?うーん……んっ!」


ヒナがオルガに顔を向けて口を尖らす。


「ん?なんだ?拭けってか?

この甘ったれめーー!」


そう言って、オルガがかいがいしく

『しょうがねえなぁ』とか言って拭いてやる。


ヒナはそれが嬉しかったのか

「きゃぁ〜〜〜」とかいってはしゃいでいる。


「オルガってさ、実はすげー面倒見いいよな」


「うんうん。僕もどう思う」


「お前ら、なんか言ったか?」


「「なんにもいってませーん」」


そうしてアレクとヒナは

リオンの毛に埋もれて眠りに落ちた。


***


――気づけば、森の仲間が増えていた


「……ん?

なんか増えてないか?」


「増えてるな。

ちっこいのにちっこいのがひっついてる…」


「増えてるますね」


「増えてるな……!」


「……かわいい……」


気づけば――

リオンの周りに、

小さな動物たちが集まっていた。

・丸まった子ウサギ

・アレクの足元にくっつく子リス

・ヒナの髪に顔をうずめる小鳥

・リオンの背に乗って寝ている子鹿(小さめ)


「……もふ〜……」


「……あったかい……」


リオンは動物たちを驚かせないよう、

ゆっくりと尻尾を揺らした。


「……この子たちも、安心しているようだ」


「いや、神獣様のまわり……平和すぎだな……」


「野営っていうか……楽園ですね……」


「オレ、絵に描きたい……!」


「僕、見てるだけで幸せ……!」



――神獣の胸で眠る幼子と、寄り添う精霊と動物たち

アレクとヒナは、

リオンの胸元で静かに眠っていた。


その周りには、

精霊の光と小動物たち。


まるで――

神話の一場面。


「……よし、交代で見張りだ。

この子たちを絶対に守るぞ」


「当たり前だ」


「……寝顔、ずっと見てたいですが……」


「オレも……」


「僕も……」


リオンは顔を上げて言う。

「……ありがとう。

そなたたちとなら、この子たちは幸せになれそうだな」


焚き火の光が揺れ、

星空の下で――

神獣と幼子と冒険者たちの、

初めての夜が静かに更けていった。

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