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女魔法聖騎士は復讐とやり直しのため過去と未来に(処刑は自業自得なのだけれど)  作者: 安藤昌益
行動開始

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バカップルめ(過去)

「みんな援護してくれ。俺が、突っ込む。」

と勇者トリスタンは飛び出した。相手は、魔王軍四天王のフェザーとその親衛隊だった。前衛、先鋒、前軍、後軍を撃破む、蹴散らし、本陣に迫ったのだ。追いつめたとも言えるし、そうではないとも言えた。突破した軍の残党の一部は本陣を守ろうと駆けつけてきていたし、予備軍も合流してきていた。

「馬鹿勇者、イノシシ勇者の考えなし。」

とグレイスは心の中で悪態をついていた。一気に突き進むという作戦は、事前に皆でたてたものであるし、それを行ったのは、ほとんど勇者の仕事だった。そのために最善の場所に伏して、チャンスと思った時に飛び出し、隙のある部分をついて進んだ。動揺している魔族軍の将兵達に攻撃魔法を放ち、更なる動揺を誘った。進みながら、トラップをばら撒いた。勇者が提案し、皆が賛成した作戦だった。さらに、崩れた魔王軍に地元の義勇兵や領主の兵達が陽動の攻撃をすることもそうだった。これでかなりの魔族兵が、そちらに夢中で、それでいて義勇軍を追うこともなく、身動きができなくなっていた。

「その前に回復と加護を。」

 いつの間にか勇者のところにきていた聖女マーロが、声をかけた。素早く回復魔法をかけ、加護を与える。

「ご武運を。」

と一礼する。

「ありがとう。絶対一緒に帰って、勝利の酒を呑もうな。」

「はい。」

「フぃエラ。聖女様を頼むぞ。」

「は~い。」

 勇者は、雷と火炎を纏い、聖剣から光の波動を放ち、飛び出した。次々に襲い掛かるフェザー将軍の親衛隊を肉片の黒焦げの山にして、進んだ。

「まーたく。戦場でイチャイチャしやがってよ。」

とグレイスは、手近の魔族兵の1人、また1人を倒しながら文句を言った。


「勇者・・・何人目かな?ここでお前は終わる。楽しみだな、また悔し涙で無念そうに死ぬ姿を。」

と四天王フェザーの言葉を最後まで言わさなかった、トリスタンは。

「確か、お前に倒された勇者はいなかったはずだぞ。虚言癖、他人の功績を騙るものは、魔族でも嫌われ者ではないか?」

 そう言いながら、彼女の横っ面を殴りつけた。人間型の顔が崩れ、下からアブの顔が現れるのが見えると同時に、蹴りを入れられ蹴り飛ばされ、地面に叩きつけられた。拳にも脚にも衝撃魔法と雷魔法が纏わせられていたから、単なる殴る、蹴るのレベルのダメージではなかった。ただ、単なるそれでもトリスタンのそれでは、骨まで折れるものではあったが。

「どぁれか・・・。」

と助けを求めて、手を差し伸べた。その手を、トリスタンは無慈悲に踏みつぶした。

「ぎゃあ。」

「状況を把握できない指揮官は、失格だよ。既に、お前の親衛隊は私が全滅させていただろう?」

と言いながら、聖剣でフェザーの体を切り裂いた。回復、再生は不可能だった。聖剣と勇者の力と纏っている高熱魔法が合わさっては、四天王でもそれから再生することはできなかった。

 残党はまだ戦う意欲がある者達がいた。すぐに、手助けに、彼は駆けだした。


「ああ、勇者様。ご無事で・・・。危ない所ありがとうございました。」

「君が無事で安心したよ。本当によかった。」

「勇者様~。」

 勇者と聖女が抱き合っている姿を遠目で見ながら、大地に座り込んで水を飲むグレイスは、

「全く、戦場で・・・バカップルかよ。淫乱聖女が・・・さっきまで、後方に下ろうともせず、嬉々として、戦う聖女を馬鹿におしでないわよ、と叫んで魔族兵を殺しまくっていたくせに・・・お淑やかを装って・・・むもともとそういう奴か。どちらでもいいから、回復魔法をかけまくれ、負傷者がいっぱいいるんだからさ。」

とぶつぶつと悪態をついていた。既に四天王フェザー率いた魔王軍は総崩れ、算を乱して撤退してゆき、周囲は危険もなくなっていた。

 何人魔族兵、騎士を倒したかな、と考えながら、聖女と立ったままで抱き合い、口付けをしている勇者を見ながら、あいつあの時よりも強いようなのだが?とも感じていた。


「あ、申し訳ありません。直ぐに回復の。」

と慌てて聖女が離れると、

「これでも勇者だから、僕は大丈夫だよ。僕よりも、他のメンバー達を先に頼むよ。僕は、最後でいいよ。僕は、周囲を見回っているから。」

と言って聖女の両肩を軽く掴んで微笑んでから、

「じゃあ、あとで。みんなを頼んだよ。でも、くれぐれも君が無理しないでくれよ。」

と歩み去った。聖女は彼の後ろ姿を見送っていたが、力強く頷くと、

「傷の深い人から治療、回復を始めます。誰ですか?」

と声を張り上げた。

「ふん。そんなことを当人が言えるかよ。」

 グレイスは心の中でぶつくさ言ったが、

「聖女様。彼女をお願いします。」

という声があがった。


「ふん。」

と思ったが、

「あの時、こんな形でスムーズに動いたか?屑勇者も結構、血を流していて、馬鹿聖女がオロオロして・・・ああ、周囲を見回した奴が、僕はいいから彼女を先にして、とか言ったか?」 

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