処刑された魔法聖騎士(未来)
「援護するわよ。一気にやって頂戴。あんたは援護よ。」
と女魔導士が叫び、火球を連発する中、エスペランサは、身体強化を目いっぱいかけて、かつ防御結界を張って青ドラゴンに向って突進した。真一文字に駆けているようで、微妙に動きの軸をずらしていた。ドラゴンの火炎が微妙に外れる。
「我が剣に宿れ、雷撃の怒り。」
電撃を纏わせた剣が、彼女を阻止しようと叩きつけて来るドラゴンの足、尻尾に深い傷をつける。その度に苦痛の叫びをあげるドラゴンの隙をついて下腹部の魔力溜まりを切り裂いた。かなり堅いうろこでおおわれて守られているものの、彼女の剣は魔力溜まりともども切り裂いた。大きな苦痛を上げて身悶えて、のたうつドラゴンの傷をさらに斬りつけ広げる。夥しい血を流しドラゴンは・・・。
「流石に、あっという間に金級になっちゃう女だねえ。」
とドローレスがブレンダの治癒魔法を受けながら、笑った。
「ドローレスの姐さん。治癒が進まないから、黙っててよ。」
とブレンダが窘めると、
「はいはい。分かりましたよ。」
とドローレスは素直に従った。
「でも、ドローレスの姉さんもエスペランサの姉さんもすごいですよ。ドラゴンをこんなに簡単にやっつけちゃうなんて。」
と手当の順番を待ちながら、ガダルーペが羨望の眼差しを交互に送ったが、
「青ドラゴンの小さい奴だったし、1体だけだったからね。治癒士も盾もしっかりしていたからね。」
とつまらないことをと思いながらも、ここは照れ隠しを装った、エスペランサだった。
「全く素直じゃないねえ。」
とドローレスはニヤリとした。
女だけ4人のパーティー、「荒野の戦乙女」、そうでないのが約2名、強いけれど、と陰口をたたかれているが、騒がれる活躍はをしていた。鉄等級、下から3番目から始まり2か月弱で銀等級まで行ってしまった。
「どうだい、俺達のパーティーに合流しないか?」
と言ってきた男がいた。4人で仕事を終え、ギルドから報酬を受け取り、その待合所兼食堂・居酒屋で夕食を食べ、酒を呑んでいた時だった。チフンという名の金等級パーティー「炎の虎」のリーダーだった。自らも金等級の冒険者だった。「炎の虎」は20人近くの人数で、規模の大きいパーティーだった。規模が大きければいい、というものではないが、受ける仕事の幅も広がるし、大規模で報酬が高い仕事ができる。時には、パーティー内で個々のグループを作って独自に仕事を受け、仕事の内容を見て、パーティー内から自分達に不足する力を持つメンバーの応援を得るということも容易である。何としても、人間が多いと言うことは能力が多彩だということである。
「格下とか、見習いとか、新入りということなんか言わないからよ。」
と言った。冷遇はしないということだ。
「ちょっと考えさせて頂戴。」
エスペランサは、取り合えずそう言って彼を帰した。
「私は、あの30男のイケメンモドキとは、組みたくないわね。信用できない・・・私の勘では。」
とエスペランサは彼がいなくなると言い放った。
「そうですか?」
「そうかな・・・。」
とブレンダとガダルーペ。
「一番あてにならないもので、よく言うわね。でも、私も賛成。女の勘よ。」
とドローレスは最後の自分の言葉に笑った。3人は苦笑した。翌日、返答したが、チフンは顔を歪めて、黙って去って行った。
その後、「荒野の乙女」は、剣士マルガリータ、弓手マルタ、挌闘家ソユンを加入させた。全員女である。ソユンは23歳、後の2人は20歳になったばかりだった。




