表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女魔法聖騎士は復讐とやり直しのため過去と未来に(処刑は自業自得なのだけれど)  作者: 安藤昌益
行動開始

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/35

賢者は脆い(過去)

「ぼ、僕は・・・勇者・・・すまない・・・。」

と涙を流す賢者。小柄な体から、これだけ涙が出たら干からびるんじゃないかと思うくらいに涙を流した。

「前回と同じだな、こいつも。」

 利益や報酬ではとても釣れないと感じたので、ハリングトンも交えての正攻法でグレイスは、賢者トルポ・モートンを説得した。正攻法とは、勇者の危険性でもって彼を殺さざるを得ない、世界のためならば彼を殺す必要がある、世界のために勇者を殺さなければならない、と説得するということだ。

 彼も、古参のパーティーメンバーである。勇者のことは、その言動はよく知っている。賢者のスキルを持っているだけに、頭が切れる男である。常識も正義感も、理性も、良心もある。頭の良さは、小柄で童顔な彼からは考えられないほどいい。だが、彼女達の説得を了解してしまった。頭はいいが、グレイスよりも若い。パーティーメンバーの古参に属するとは言え、魔法力が幼少期より高く、神童として教育されたのだが、パーティーでは一番若かった。現実の裏が分からない。経験が不足していた。若すぎたのだ、一言でいえば。だから、同意してしまったのである。


 彼は勇者との友情に悩んだし、彼の言動に対する信頼感は強かった。彼が99%、世界の害になることはないと思っていたし、周囲がどうあろうと正しい行動を取ると確信はしていた。しかし、1%の可能性は残る。また、人というものは分からない、豹変することも多いということも、その歴史知識からよく知っていた、あまりにも知り過ぎていた。そして同時に、国々から脅威に感じられている以上、彼を弁護するのは自分も危うくなるということを理解してしまったし、もともと自分のことが彼の影に隠れてしまうことにいら立ちも、嫉妬も、悔しさもあった、心の奥底には少しばかりだが。

「ふん。賢者といっても所詮は欲に動くのが人間よ。まあ、亜人達も同じだけどね。」

 グレイスは、前回と同じことを泣き崩れる賢者を見て思った、同情している顔を装いながら。

「分かっているわよ、あなたの苦しむ気持ちは。私も同じだから。本当は勇者を信じたい・・・。」

と哀し気な顔をして言った。その顔を、捨てられた犬が拾い主が現れたのを見ているような、見て

「私の言葉で救われた?そうでしょうね。私の言葉を利用して・・・自分をだましているのよね、賢者ちゃん。ずるい奴。」

 心の中ではいいつつ、

「でも、私達はどんな汚名を受けても、世界をすくわなければならないのよ。わかるでしょう?賢者様?」

 慈愛のこもった女神のような顔をして、そのつもりだったが、グレイスは賢者にかたりかけた。すると、彼は彼女にすがりついて号泣した。

「ご、ごめん。勇者・・・僕は・・・。」

と言いながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ