誰からにすべきか?(未来)
エスペランサは、ハリングトンから渡されたリストを見て、抜けがないか確認していた。
「おい、あの・・・勇者が拾ったケモ耳女はどうした?リストにないぞ。」
「ああ、あれか。お前以外助命、それぞれに功績は功績として、色々与えられたんだが、こいつは勇者に拾われたでろう?その恩義がありながら裏切って、暗殺に加担して、自分から告白しなかったということで、かなり問題になってな。しかも、元が浮浪児のような奴だからな、殺してしまえという空気も強かったんだ。その時も聖女が自分が引き取って、ともに勇者の霊を弔いたいと言い出したもんだから、聖女に任せることになったんだよ。だが、こういう出自の女だから、聖女の下を飛び出して行方不明だ。どこかで野垂れ死んだか、盗賊の類にでもなっているんじゃないか?まあ、想像だけどな。分からない、行方不明だ。噂らも上がってこないから、勇者パーティ―の一員だったとか吹聴はしていないようだぞ。」
彼は、さも醜い奴だ、下賤のやつらはこの始末だと言いたいようだった。
「あとは全員入っているな。」
と呟いた。
「で、どうするんだ?」
「ゆっくり考えてみるさ。」
「殺すのか?裏切り者達を?」
「それも含めて、これから考える。言っておくが、捕まったらお前に頼まれたと正直に自供するからな。」
「く・・・そんなことするわけはないだろう。」
「それならいいさ。じゃあ・・・またな。」
とエスペランサは、そう言うと背を向けて歩みだし、部屋の外に出た。その後は、駆けた。
「ふん。疫病神が。」
と彼は吐き捨てるように言っただけだった。
「誰にすべきかな?」
とリストを見ながら呟いたのは、宿に戻ってからのことだった。粗末なベットま端に座り、弱いランプの光の下でリストを見ていた。
誰からがいいか?順番はどうするか?全員殺すかどうか。聖女が一番遠い。魔界に近い、辺境の修道院にいる。彼女を一番先にするか?真っ先に、そして、絶対殺したいのは彼女である。彼女を最初というのは、いかにも効率が悪い、悪すぎる。
「いや、それもいいか?」
と考え直した。途中で、ちょっと足を延ばせば訪れる?ことができるような連中もいる。しかし、そいつらを殺していったら聖女に警戒されるか、とも考えた。だが、考えてみれば誰を先に殺しても同じだろうということになった。それなら・・・ということで、しばらく堂々巡りになった。
「何人かを、南でやるか?そして取って返して、北に向って聖女を・・・途中で寄りながら殺して行くか?これで進めるか?次は自分かと、怯えさせるのもいいかもな。」
と思わず口に出して、そして笑いがこみ上げていた。
「それでいくか。」
と心の中で呟いた。聖女オスクラ・マーロ以下6人を取り合えず選び、マーロを最後に順番を決めた。
「糞淫乱聖女、待っていろよ。裏切った代償を絶対に支払わせてやるからな。」
と心の中で叫んでいた。
「何かいいことでもあっのかい?」
宿の食堂で朝食を頼むと、宿の女主人がいかにも肝っ玉母さんの朗らかな笑顔で尋ねてきた。
「そう見える?」
とわざと、何をいっているのかわからないわよ、という風な顔を見せた。
「分かるさ。だてにこの歳になるまで、この仕事をしているわけではないよ。なんかすっきりして、希望に満ちたような顔しているよ。恋人でもできたような顔だね。」
と言って笑った。
「恋人じゃないけど、捜している奴が・・・大切な奴の消息が分かったんだよ。」
と自然と穏やかな顔になっていた。これで、あいつらを殺せる、復讐ができる、という嬉しさからなのだが。
「これから会いに行くのかい?男かい?女かい?恋人かい?」
と畳みかけて来た。
「さあ、どれかしらねえ。」
「もったいぶって・・・。まあ、あんまり追及しても悪いわね。会えるといいわね。さあ、朝食ができたから持っていくよ。たんと食べていきな。」
と朝食を盆にのせて持って来た。パン、ハム、チーズ、スープと水だった。単純ながら量はそこそこある。エスペランサは、微笑みながらパンを手に取った。それが、聖女の顔に感じられた。
「待っていろよ。淫乱屑聖女。」
心の中で言った。
「まずは一人・・・。こいつのことは、誰も問題にしないだろうからな・・・。」
エスペランサは、路地裏で倒れている女から足早に立ち去った。その女については、酔っ払いが誰かに殺された、程度の話ですまされることになった。




