表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女魔法聖騎士は復讐とやり直しのため過去と未来に(処刑は自業自得なのだけれど)  作者: 安藤昌益
行動開始

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/22

引き受けるが(過去)

「しかし、勇者を抹殺するとしても、どうやってやるのですか?勇者は、不死身に近いほどの存在ですよ。例えば、私の持つ聖剣でもって突き刺しても、殺せませんよ。即死させられないばかりではなく、即座に殺害者はもちろん周囲にいる、パーティー全員が私の仲間であっても、その彼らもろとも殺すことも可能で、その後回復も十分可能ですよ。」

 グレイスは、2回目の話し合いでは、そのように言った。これは前回どうりである。ロンギヌスの槍を受け取る確約をとるために、焦らせていたのだ。簡単に同意してしまったら捨て石にされかねない。そういうことを前回は考えたのだ。

 今回も取りあえずは、これを言ってみたのである。


「いや、勇者が魔王との決戦で疲れ切った、力を消耗しつくしたならば、十分貴方の聖剣で十分倒せる。」

とはハリグトンは言った。

「これも前回通りだな。」

とグレイスは思った。同時に、

「さて、どうしたものかな?今回は?」

と考えていた。 

 ただ、彼女には勇者暗殺を回避する、断るという選択肢は全く念頭にはなかった。あくまでも、ここでよりよい条件を勝ち取るための戦術についての選択だった。その後は、聖女が勇者にはっきりと寄り添うことになってしまったことで、暗殺のタイミングが少し難しくなったことで、どうやって実行するかということだった。

 どうして、勇者を暗殺することを止めないのか?彼女は、そのことについては全く念頭に浮かばなかった。

「ところで、カルタゴは滅ぼされなければならない。」

 古代ローマの大カトーが、どういうときにでも話の最後に、上記の言葉を付け加えたように、グレイスは勇者は自分によって殺されなければならない、ということは絶対だったのだ。それに対しては、全く動かなかった。


「ロンギヌスの槍がある。これなら、勇者が疲れ切っている時なら殺せる。勇者の毒耐性の対象外の毒性を持つ。勇者の生命力が通常であれば、難しくとも、魔王との戦いで消耗しきっている時であれば、勇者を確実に殺すことができるはずだ。ああ、それからそれ以外の戦いでも、お前の聖剣以上の力を発揮してくれるだろう。槍は不得意か?」

 彼女が、どんな状況でも、自分の聖剣と力では勇者は殺せないだろう、と言った後ロンギヌスの槍の話を持ち出した。本当はそれなしでやらせたいのである。それがダメであれば、しかたがないというところなのだろう。これまた、前回と同じパターンだった。

「今回は、もう少し躊躇してみせるか?」

と彼女は考えた。

「しかし、先日も勇者様は魔王を倒した後は、田舎の小さな領主として静かに、聖女様とともに暮らしたいと言っていました。聖女様も、勇者様と、この戦いで死んだ仲間達の霊を弔って過ごしたい、と言っていました。二人の表情からは本心だと思いましたし、長くともに戦っている仲で、彼らの欲のなさ、人の良さはよく知っています。卿のご心配は、杞憂ではないかと思うのですが。」

と迷う風に言ってみたのだった。彼は、大きく何度も首を横に振り、

「杞憂であったとしてもだ、僅かな危険性であっても、事前に、国のために排除しておく必要がある。それに、人というものは変わるものだ。大きな功績を自覚した後には、野心が生まれるものだ。少し時間がたてば、欲が出る、小さな田舎領主では満足できなくなるものだ。栄光の日々、人々の歓呼の声の記憶は、人を増長させるものだし、唆す者達は事欠かぬものだ。それに所詮は、身分の卑しい者は、決して清楚な、清貧な生活に落ち着けるものではなく、野心や欲望を膨らませるものなのだ。」

とまるで勇者の顔を脳裏に浮かべて、苦々しく思っているというような表情だった。

「自分はどうなんだ?勇者や聖女より卑しい身分じゃなかったか?」

 勇者と聖女は、地方貴族とはいえ、男爵とはいえ爵位持ちで、古い家柄の出身である。しかもそこそこに裕福ではあった。一方、ハリングトンは一応貴族か?というところであり、結構貧しい家の末子だとも、庶子だとも伝えられている。実は、はっきりとしてはいないのである。彼自身があまり語らず、それが、その時々で異なっているためだった。

 そう思うグレイスではあったが、やはり2人を下級貴族と見下していた。爵位無しの下級貴族、上級騎士の出であったにもかかわらず。


「どう答えるか?」

 彼女は少し迷った。

「分かりました。ただし、条件があります。」

と彼女が言うと、ハリングトンは、

「?」

という顔になった。

「ロンギヌスの槍をまずいただいてから、勇者が野心に溺れるようであれば、実行いたします。そうでなければ、暗殺はしません。それから、このことについて、命令書を正式な文書でいただきたい。最後に、それ相応の報酬を求めます。それについても、事前に文書でお約束下さい。」

 前回は報酬についてのみだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ