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女魔法聖騎士は復讐とやり直しのため過去と未来に(処刑は自業自得なのだけれど)  作者: 安藤昌益
行動開始

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勇者は危険だ(過去)

「どうして、あいつは私に声わかけてきたのだろうか?」

 かつてはそんなことは気にはしなかったが、あらためてそろそろ来るなと思っていると、そんなことが急に気になるように、グレイスには思われた。

 ハブス神聖帝国の高官トルシド・ハリングトンが、やはり高官であるソンブリオ・フェアファックスとともに勇者フレブレ・トリスタンとそのパーティーのもとを訪れたのは、彼らが本格的な魔王討伐の旅、魔族領というか魔界に入る直前、その境界の城塞都市に滞在していた時だった。少し前に、ほとんど正当防衛的に他の勇者を殺したことについての事情徴収聴取と今後の戦略の確認、必要な物の手配、そして、支援活動についての打ち合わせのためだった。


 前回も同様であったが、勇者は彼らの事情聴取に根気よく、真摯に対応したし、自分のことよりも、パーティーメンバーへの評価、成功報酬をしっかりと要請していた。もちろんその中にグレイスの名もあったし、その上位グループに属していた。

 だが、彼女は不満だった。

 地方の上位騎士の家の二女に生まれた。かなり広い領地を持ち、裕福ではあった。魔法と剣等の才を幼少の頃から認められ、一時騎士団に入りもし、武者修行も兼ねて冒険者となった。決められた相手と結婚、そして・・・というのから逃れたかったことも理由だった。ただ、当然女だから結婚して、とか女性としての生き方、女性らしい・・・に反発するという模範的?な考えではなかった。結婚するだろう相手は同格か、それと大して変わらない前後の家格の相手であり、よしんば玉の輿にのっても、たかがしれていると同時に抑えられる、夫の実家に頭の上がらない人生となると踏んだからだ。どういう形にせよ、現在の自分の立ち位置よりもずっと上に行きたい、登りたいというのが、彼女の考えだった。

 そして、魔族の脅威が叫ばれるようになり、勇者が現れると、彼女はフレブレ・トリスタンという勇者のパーティーに真っ先に馳せ参じた。彼が年少グループにいて、まだ実績があまりなく、注目がまだあまり当たっていない事がない第一の理由だった。それだけに、まだパーティーに参加する者は少ないし、実績のある者は来ない、真っ先に加入すれば最古参となりメンバーの上位にいられると踏んだからだ。第二には、彼の実力を高く評価したからだ。当時、彼の実力はあまり高く評価されていなかった。だが、実際に見て、さらに集めた情報から彼こそが最終的に真の勇者となりうると判断したのだ。結果としては、彼女の目論見、予想、賭けは勝利したわけだ。彼女も、勇者の片腕となる妻の座を想った時期もある。しかし、彼女は彼に大きく失望した。それは、彼が女にだらしない男だったからではなく、上を目指す男ではないことが分かったからだ。

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