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女魔法聖騎士は復讐とやり直しのため過去と未来に(処刑は自業自得なのだけれど)  作者: 安藤昌益
行動開始

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11/22

覚えている?(未来)

 ハブス神聖帝国ウイン。

「久しぶりね。」

とエスペランサは心の中で呟いた。

「どうもありがとうな。別嬪さんよ。」

と声をかけてきたのは、途中で出会い、帝都までの護衛の仕事を依頼した商人だった。海千山千のところがある、表面は愛想のいい小柄な初老の商人である。そういう男だから、約束や契約、義理は守れる男である。

「帰りも、あんたが一緒に来てくれると心強いんだがな・・・。仕方がないな。ここに用事があるのだから。」

と未練がましい言い方だったが、当人は当に割り切っていて、これはリップサービス、感謝、評価を現わしたつもりだった。

「これからどうするんだい?」

「まずは、冒険者ギルドに登録して、その後に宿を探すわ。」

「それなら、このどれかの宿にするといい。悪くないところだ。待ってろ、紹介状を書いてやる。」

 そう言うと、紙を取り出してさらさらと書いて、封筒にそれをいれ。さらに宿の名前を3軒書いた紙と一諸に手渡してくれた。それは、結構役に立つ。

「ありがとう。感謝するわ。」

「いいってことさ。お互い様だ。また、会ったら、その時仕事がなかったら頼むぜ。」

「ああ、分かったわ。じゃあね。」

と言って分かれたが、彼の使用人達が寂しそうに見送っていた。

「全く、糞勇者の言ったとおりだったわね。」


 結構な商品を運ぶ商人の一行。護衛の冒険者のパーティーを雇ってはいたが、たまたま出会った彼女に護衛に加わるように頼んだ。帝都行きということで応じたが、どうして自分を追加したのか、と尋ねると、雇った連中が胡散臭いからだという。確かにそんな連中だと感じた。

 途中までは、魔獣に何度か遭遇したが、彼女が難なく倒してしまい、それ以外はわりと平穏無事に進んでいた。後半に差し掛かった時、彼らは本性を現した。盗賊に変貌した、というより盗賊の片棒を担いでいたのだ。

 ベアトリーチェを手籠めにして、商人達を皆殺しにして、商品を根こそぎ奪う。単純明快な考えだった。まずは、正面と後ろから盗賊団が姿を見せる。護衛が対峙すると見せかけて、180度向きを変えて、共に商人の一行に襲い掛かる。これまた、単純な作戦だった。ただ、失敗のしようがない・・・はずだった。だが、そうはならなかった。

「キャー。」

とまず回復役の女が叫び声をあげた。

「ひぃー。」

 続いて女魔導士が声をあげた。

「え?」

と振り返った冒険者パーティーのメンバーは、血を吹き出して倒れた2人と、返り血を浴び、血を滴らせた剣を持つエスペランサを見た。

「なに・・・何をする?盗賊の回し者だっか?」

との声が上がる。

「それはお前達だろう。さっさと死んでくれないか。そっちの山賊を始末しないといけないからね。」

とエスペランサがあざ笑うように言った。戦いは、先手必勝である。

「こ、こいつ。」

と言って怒りの剣を振るおうとしたが、もうその時には目の前に迫っていたエスペランサに、3人は瞬く間に倒された、血を流しながら。そして、固まっていた10人ほどの前後の山賊は、我にかえって彼女に襲い掛かろうとしたが、商人達からイシツブテが投げられて戸惑っている隙に、剣と魔法攻撃で何人かが倒れると、一方的に彼女に殺された。さらに、彼女を助ける商人の使用人と冒険者パーティーの荷物持ちの男女が加わっていた。ひそかに接触し、冷遇されていたことが分かったため、彼らとの戦闘に加わることとなったのである。

「全く、屑勇者の通りになりやがる。」

と彼女は少し腹立たしかったが、皆に感謝され、その後いろいろと相談をされ、それに応えたり、ともに問題なりを解決して、さらに信頼が増すのは嬉しかった。

「?」

 その感情を今まで感じたか?とふと思った。自分の性格も、知恵も、力も、特に大きく変わったとは思わない。過去も自分は勇者パーティーでもどこでも、大いに貢献していたはずだ。なんなのか?と思い、それがわからないことが、もやもやしてならなかった。

 帝都の冒険者ギルドでの登録が終わり、紹介のあった宿の一つ、馬の飼葉店に行くと、紹介状でど~んと態度がよくなり、可能な限り便宜を図ってくれた。

 ついでに、ふと思いついたというふうに、

「私の旧い知り合いがトルシド・ハリングトンという貴族のところで働いていると聞いたんだが、そういう貴族様はいるのかい?」

に宿の主人、中年の小太りの昔は器量よしだったかもしれない元気な女だった、に尋ねると、彼女は周囲を少しきょろきょろ見回してから、耳もとに口を近づけて小声で説明した。

「ありがとう。関係しないことにするわ。古い付き合いたせけど、まだいるかどうかわからないし、第一自分の身が大事だからね。」

と小声で答えて意味ありげにウインクしてみせた。

「それがいいよ。」

と安心したように彼女は言った。


「あの唐変木。私のことを覚えているわよね。」

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