バカップルめ➁(過去)
勇者フレブレ・トリスタンが聖女オスクラ・マーロに求婚して、互いに将来を誓い合ったとパーティーメンバーを前に告げた時は、流石に「このような時期に・・・。」
と眉を顰める者もいた。だが、勇者の戦いぶりが更なる高みに上がったとしかいいようがない感があり、聖女がますます戦う聖女として際立ち、癒しも治癒もその効果が上がるのを見て、
「ははは・・・、愛の力は流石だよ。」
などという転向者が続出することになった。さらには、それなら自分達もと告白、そして恋人関係、婚約者となる面々が何組も出て来た。
これに対して、原因である勇者に苦情を言い立てた者もいたが、
「こういう明日のことがわからない時、言っておけばよかったと後悔することの方が耐えがたいのではないか?そのことがその後に影響するかもしれない。愛する者ができた時、より強くなる者もいるし、その玉の者もいる。僕は、パーティーのみんなを信じているよ。」
とフレブレはさの者を説得したし、
「私は愛する、私を愛してくれる勇者様のために、何時でも死を恐れず前にでる覚悟です。」
とオスクラは言い放ったので、問題にする者はいなくなった。
そのことを聞いたグレイスはというと、
「ふん。屑勇者と淫乱聖女が。」
と悪態をついた、誰にも聞かれない場所でだが。
実際、あれから勇者と聖女は宿では、時には王宮、諸侯貴族の館でも同室となり、夜中、部屋の前を通ると、聖女の喘ぎ声や絶叫、そしてベッドの軋む音が聞こえるのである。勇者と聖女は、それで朝ぐったり、疲れ切って、ということはなく、2人ともすっきりした目覚め、体調、肌艶最高という姿だった。朝から食欲もあり、
「聖女の加護と勇者の聖なる力が、好循環しているんじゃないか?」
などと言う者が現れる次第だった。
それに2人とも、そこそこの貴族の家柄で、そちらでも釣り合った関係でもあった。
「まーったく、勇者様は聖女様とベタベタで見ていられないわ。」
と文句を言うのはフィエラだった。勇者に戦場で瀕死の状態で倒れていたところを拾われた金髪のケモ耳の奴隷の少女だった。狐系獣人だ。ケイ身よりもなく、所有者も見つからなかったこともあり、勇者が引き取り手続きをして、もちろん代価も支払った、しばらくの間ということで従者として連れていたが、魔法の才もあり、小柄なだけに素早く、挌闘戦士としての実力が認められ、勇者パーティーのメンバーとして認められたのである。グレイスからみれば、勇者の要請ということで認められたということで、パーティー中の最底辺の地位、戦力だった。他人がどう自分を見ているかには敏感で、グレイスとはそりが合わないという態度であったものの、争うと不利なので距離を取って、愛想がないだけの関係を保っていた。それでも今までは、勇者に一番近い位置にいたのが、それわ盗られたせいか、人の見ていない所ではいつも不機嫌だった。ただし、勇者や聖女の前では以前とおり、従順な態度を崩していないし、可愛い美少女、一応、を演じている。
「勇者様は?」
その日は少しグレイスもフィエラも油断していたというか、だったので、グレイスは話しかけ、フィエラは、
「向うで長~いキスをしているよ。」
と答えてしまった。お互いにハットして視線を交えてしまったが、その日を境に時々は声をかけあうことになった。
その様子を見て、勇者は、
「二人ともいつから仲良くなったんだ?まあ、いいことだけど。」
と嬉しそうな表情で言った。
最後の魔王軍四天王、ラザー将軍を倒し、その軍を撃退した後での宴会のことだった。
勇者フレブレ・トリスタンのパーティーは30人を超えていた。行く先々で出会った、その地の実力者を加えたことも度々あったし、他の勇者パーティー、魔王軍との戦いで敗れて勇者が死んだりした、のメンバーを加えたこともあったからだ。戦いである。戦いで死ぬ者も、重傷を負いリタイヤするものが当然いるのだが、それを差し引いた結果である。加わる者の方が多いという結果である。
ただ、その過程で他の勇者を殺すことになっている。フレブレにとっては完全な正当防衛である。
急遽の呼び出し、魔獣が多数現れて近くの村が危ないという急報が届いた。フレブレは周囲に誰もいなかったので、単身で、急報を告げに来た女について行った。が、それが罠だった。
他の勇者とそのパーティーが待ち構えていた。理由は単純である。魔王軍四天王全員を倒し、各国、各部族の期待と支援を一身に背負うことになったフレブレに対して、少し前に魔王軍に敗れ、信頼が赤丸急降下で失墜した勇者が嫉妬、逆恨み、彼を亡き者にすれば自分が取って替われるなどと考えた、短絡的発想なのだが、結果である。
「まあ、話を聞いてくれないか?」
と彼は一応説得を試みた。
「時間稼ぎのつもりか?」
と相手はせせら笑った。実際にそうだった。彼は、パーティーのメンバーに招集をかけていた。あの場で素早く、しかも密かに。
「あれ?あの時はフィエラだったな、皆に告げに来たのは。あいつが一番そばにいたから。でも、今回は聖女とフぃエラだったな。確かに、聖女は同室だから当然だか・・・ここでも変わっているか。」
とグレイスはここでも首を捻った。
「ばれたか。今、仲間達が駆け付けているところだよ。でも、話し合いで解決しようというのは本心からだよ。」
と勇者は時間稼ぎを認めた上で、自分の手の内まで相手にばらした。ここで彼は相手の動揺、焦りを誘おうとしたのである。
そして、相手の後ろから、
「あのう、悪いな。やっぱりこれは不味いよ。俺、抜けるわ。」
「ごめん、あたいも。」
という声がした。フレブレは、そのパーティー敗北の見舞いに行ったが、その何人かと接触していたのだ。彼は事態を予測していて、念のため手を打っていたのだ。
これで、全員半分腰が退けた状態になった彼らは、フレブレによって一掃された。聖女やグレイス達が到着前にその勇者とパーティーメンバーを全員打ち倒していた。
「う~ん。もっとボロボロになって、1人か2人、残った、と対峙していたはず?」




