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完結「死亡フラグが立ちすぎてる彼女を何とか救いたい」というゲームの世界に転生してしまったので彼女を救おうと思います?。(連載版)  作者: おすし
真章

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F1

今回の主役は一条京華です。

 過去の世界


 そこは内乱で惨状が広がっていた。


 一人の少女がその戦火の中逃げ惑う。


「お嬢様!」


 彼女の側役だった男が叫ぶ。


 あたりは反政府勢力の兵に囲まれていた。


 側役の男も敵対勢力の兵に屈し地面をなめる。


「いや!っ、来ないで!」


 じりじりと少女との距離を詰めてくる反政府勢力の兵士。


 少女はへたり込み、涙を流しながらその先の未来を想像し絶望に打ちひしがれていた。


 もう駄目だ。誰もがそう思うだろう。


 しかしそうはならなかった。


 突然その反乱兵が何の前触れも無く煙りとなって消えてしまった。


「・・・・えっ?」


 何が起こったのか解らない。呆然とする少女に後ろから声が掛られる。


「大丈夫か?。このあたりの兵は制圧した。もう心配はいらない」


 少女は恐る恐る声をした方を振り向く。


 そこには凜々しき貫禄のある男が立っていた。




 そこで目が覚める。


 一条京華は今日も幾度と見た夢を見ていた。


『九条輝・・・。』


 この人生の記憶では無い。何度も転生を繰り返し、そして情報を共有する。それが一条京華として生まれてきた人間の特権だった。




 約三十年前、事故直後の国家官邸。


 九条睦月は事の顛末を報告した後、一条京華の部屋に呼ばれていた。


 その表情は今にも崩れ落ちそうな程、疲弊していた。


「今回の事は非常に残念でした。貴方も疲れているでしょう。」


「いえ、そのような事は・・・」


「無理はいけないわ。貴方の心は耐えがたい負荷が架かっている。そのままでは壊れてしまうわ。いえ、もう壊れてるかもしれないわね。私は貴方が必要なの。ここで失う訳にはいかないわ」


「・・・恐れ入ります」


「貴方には私がカウンセリングをする事にしたの。こう見えても私の適性はそれにむいているのよ」


「そ、そんな、そうだとしても貴方の様な方に・・・」


 〔遠慮はいらないわ〕


 その声は睦月の頭脳に響き渡った。そして睦月は素直に頷く。まるで何かに取り憑かれた様に。


「貴方にはやって貰いたい事があるの。まずはこれを」


 そう言って京華は小さな器の様な物を睦月の前に差し出す。


「これは?」


 睦月のその疑問に冷笑を浮かべながら京華は答える。


「ハートホルダーよ。九条真月の」


 その言葉に睦月は衝撃を受ける。


「なぜ貴方がそれを!、もう真月は手遅れだったはず!」


 〔貴方が知る必要はないわ。貴方が考える事では無いの〕


 また美月の頭脳にその声が響き渡る。さっきとは段違いな揺さぶり。睦月はもうその事は考えられなくなった。もうこの時には一条京華の手中に睦月は落ちていた。


「それでホムンクルスを作りなさい。いいわね。そしてあの研究も」


「・・・承知しました」


「研究期間は三十年よ。そこまでに完成させ真月を再生させなさい。世界のために。貴方の望みはかなえてあげる」


「・・・承知しました」


『ふふふ・・。これで九条真月の転生時期がずれるわ。来世では九条輝のそばにはもういない・・・。真月を再生?。させるはずが無い。貴方を縛り付ける為の口実。あの子は三十年後、再生期に入るの。本当はあのまま殺したかったけど。後は・・・』


 一条京華の目的は九条輝を手に入れる事だった。これまでの時代何度も失敗し今回に至っては、老婆と子供程の年が離れてしまった。しかしそれでも京華は諦めない。成人した輝ならば絶対に真月を守り切りそして京華の思惑を破り続けてきた。しかし今回はまだ子供。そして京華の力はほぼ最高値。真月を殺害する好機は今までの時代で最も高かった。そして成功した。しかし転生の周期はいくら早く生涯を終えても変わらない。幽体期が伸びるだけだ。生命力を残して生涯を終えた魂の根源はその生命力を使い切る為の幽体期に移行する。生命力を使い切って初めて生命力を補充する再生期に移行するのだ。これをあの世界では成仏という。


 その為、真月をホムンクルスにする必要があった。ホムンクルスに生命力を使い切らせ、再生期を早め約百四十年転生時期をずらす。それが一条京華の目的だった。


 一条京華の根源の生命力は人よりも多い。通常の人間が百八十年。京華は二百五十年。再生期にかかる時間はほぼ同じ。だから何時の時代も寄り添う根源がいなかった。だからだ。あの研究で自身の生命力を輝に合わせ、最終的に真月の変わりに成り代わる。それが彼女の思惑だった。もう幾度と転生を繰り返してきたが、その執着は消えなかった。異常な狂気が彼女を形作っていた。


 今回は次の為の伏線でもある。


 次こそは輝と添い遂げる。望んで手に入らない物は無かった。輝以外は。


 あの日、彼から救われた。その時から京華の心は輝に奪われていた。あの強く優しい彼のものになりたい。そして愛して貰いたい。何人が死のうが不幸になろうがかまわない。その狂おしい思い。それが全てだった。




 そしてそれからは、事は順調に進むかの様に思われた。あの研究は目処がたち、そして根源の数がそろえば転生時期を変える事ができる。


 だがやはり成人した輝は京華の思惑を潰しに来た。


 あの世界のパンデモミックで根源の数がそろうはずだったが失敗。


 そして自分が黒幕であることも感づかれた。


 だが問題は無い。逆に次を考えれば成功とも言える。輝の根源に京華の存在を憎しみといえど植え付けさせたからだ。転生したら記憶は無くなる。そして憎しみも軽い嫌悪となるだけだ。全くの無関心では無くなった。そこに付け入る事が出来る。嫌悪を愛情に変える。その適正が京華にはあるからだ。


 そしてあの天災。


 本来京華はこの天災には手を出すつもりは無かった。根源をそろえるのはまだ時間があるからだ。


 しかし研究を成功させる為の口実が裏目に出た。


 何度事象予測しても睦月は必ずあの天災に手を出してしまう。リモートも完全では無い。その人間自身が受け入れなければ精神支配は解かれてしまう。そして輝の手に落ちてしまう。


 ならば成功させる事象を見つけるほうが合理的。


 あの男は一条京華の事象予測を今まで何度も破ってきた。


 しかし、全てが完全に破れた訳では無い。


 すでに真月の転生時期をずらすのは成功している。そして研究も手に入れている。そして()()()()も私を失う訳にはいかないはず。


 ここで成功すれば次は初めか生きる時間を合わせる事が出来る。


 失敗しても一度早死にして転生を早めれば良いだけ。輝が居ない間に根源を集めるのはたやすい。


 ならば覚悟を決めるだけ。


 さあ、最後のゲームをしましょう。




 その結果、私は勝つことが出来なかった。


 もう目の前にあの女を抱えた九条輝がいる。


『この人生もこれで終わり。でも次は失敗しないわ』


 私は彼を受け入れる様に、席を立ち両手を広げる。愛する人に痛みも無く消されるのなら悪くは無い。


 そして彼にデバイスを向けられる。私は最後言葉を誰にも聞こえない様にささやいた。


「ふふふ。また、来世で、逢いましょう。その時は」


読んでもらえてありがとうございます。

次が本当に最後です。

内容は多分わかると思います。

今週中には上がります。

※1つ設定を書き忘れていました。ハートホルダーの保存期限は1年程度です。それを過ぎると根源は逃げます。中間期の待機状態でないと保存は不可能です。

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