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完結「死亡フラグが立ちすぎてる彼女を何とか救いたい」というゲームの世界に転生してしまったので彼女を救おうと思います?。(連載版)  作者: おすし
真章

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F2

お待たせしました。

場面はF1からの続です。

 輝は混乱に乗じ光速移動で国家官邸を後にしていた。いかにこの世界の公安と言えど輝の追跡は不可能。それほどまでに輝の能力は卓越していた。


 着いた先は緑あふれる、山岳地帯だった。


 自然の風が吹く。


 とてものどかな場所だった。


 そしてここは輝と瑠奈が最初に訓練をした場所。


 輝は瑠奈の最後はここでみんなと看取り、見送ると決めていた。しかし輝だけになってしまった。みんなには悪い事をしてしまったと輝は思う。


 瑠奈の生命力残数は0.0016%。


 あと二日程度の残数になっている。


 輝は少し不思議だった。寿命を迎える場合、通常0.005%ほどで待機状態になり体から抜け出してゆく。そして幽体になり何かに宿り再生期を迎えるのだ。


 零になったら霊体化する力は残らない。そのまま何も出来なくなってしまう。


 輝はそれをホムンクルスだからこんな事もあるのだと思って疑わなかった。


「瑠奈・・・」


 腕の中にいる瑠奈に話しかけた。


 瑠奈は薄目を開ける程度の反応を見せるだけだった。


「覚えているか。ここは俺とお前が最初に訓練した場所だ。その時から今までずっと一緒にいたな」


 瑠奈は何も答えない。もうその力は残っていなかった。


「お前が一番この場所を気に入っていたのは知っていた。あの木の上にいたカーバンクルを必死に捕まえようとしていたのには笑ったがな。ホムンクルスでもそんな事するんだって・・・」


 輝は一人でしゃべり続けた。その時の思い出、そして三十年間楽しかった事、面白かった事を。もう動けなくなった瑠奈に優しく語りかけていた。


 そんな話も終わり、あたりが暗くなってきた頃、輝は瑠奈から預かった髪飾りを手に取った。


「最初は思い出せなかったが、これは真月の髪飾りだったな。そしてブレインメモリーでもある。叔母さんも真月の記憶を研究のため保存したかったのだろうな」


 輝は空中寝台を発生させ、瑠奈をそこに寝させる。


 そしてその髪飾りを瑠奈の髪に付けたやった。


「お前のホムンクルスとしてのリミッターを解く。それで少しは動ける様になるはずだ。そして少しだけしゃべれる様になる。真月の記憶も返すよ。その方がしゃべり易い。そのまま最後を迎えるよりも寿命は縮まるがずっと良いはずだ」


 瑠奈は薄く開けていた目を閉じた。


 輝はデバイスを瑠奈に向けた。リミッターを解くため。真月の記憶を返す為。只、それは瑠奈がしゃべり易いからという理由で他意はなかった。


 引き金は引かれ瑠奈の体は光に包まれた。


 その光が収まる。


 そこにはいつもと変わらぬ瑠奈の姿、そして髪飾りはアップロードのサインが出いてた。


 その周りに浮かぶ根源がやけに光り輝いているように見えた。


 瑠奈が目を開けた。そして輝を見て微笑む。それはもうホムンクルスの表情では無かった。


 輝の手を伸ばしてくる。


 それを輝は自然に両手で包むように握っていた。


 瑠奈の眼からは止め止めの無い涙があふれてくる。


「ご・・・・しゅ・・・・じ・・・・ん・・・さ・・・・・ま・・・・」


 初めて輝は瑠奈の声を聞いた。しかしそれは聞き覚えのある声だった。かすれて耳を澄まさないと聞き漏らす程の声。その声を全神経を耳に集中させて聞いた。


「うん」


「わ・・・た・・・し・・・・は・・・・」


「ああ」


「い・・・・つ・・・・・ま・・・・・で・・・・・・も・・・・・」


「・・・」


「そ・・・・ば・・・・・・に・・・・・・・・・・・」


 そこまでだった。


 瑠奈の目にはもう何も写ってはいなかった。


 生命力カウンターの数字は零を指してた。


 静かな風が瑠奈の髪を揺らした。


 握っていた手はもう握り返す力は無い。


 瑠奈はもう動かない。


 それはこの世界の人間でもけしてあがらう事の出来ない定め。


 運命。因果律の終着点である事象。


 瑠奈は今、そこにたどり着いたのだ。


 輝は瑠奈の手を握ったまま何も言わなかった。


 涙は出なかった。


 もうあの時、流し尽くしていたから。


 輝はそっと手を離し、瑠奈の瞼を下ろした。


「今までありがとう、瑠奈。そして安らかに眠れ。俺はお前を愛していたよ・・・・」













 どれぐらい時間が流れただろう。


 あたりはすっかり暗くなっていた。


 輝は瑠奈の側を離れられなかった。


 三十年、長いようで、短かった。


 瑠奈は確かにその命を全うした。


 瑠奈の姿は今も変わらず美しい。


 とても死んでるように見えなかった。


 それを見続けるのはおかしな事では無い。愛する者から離れたく無い気持ち。それはけしておかしな事ではない。


「?」


 輝は何かの違和感を覚えた。


 真月の時は周りの根源が姿を見せてなかった。そのおかげであの時は認識出来なかった。


 でも、今も瑠奈の周りには根源が飛び交っていた。


 もうとっくに中間期を終え再生期入っているはずだ。


 でも瑠奈から真月の根源は離れない。


 零では肉体から離れられない根源。


 確かに利にはかなっている。


 しかしそれは輝にとっても経験の無い事象。


 何かが起こる。


 そんな気がした。


 そして不意にその内の一つの根源が瑠奈の胸部に吸い込まれるように侵入してゆく。


 そして、また一つ、また一つとそれを繰り返していた。


 輝は何が起こっているのか解っていない。


 でも何かが起こっている。


 不意に生命力カウンターの数字が目に入ってきた。


 零を示していた数字が回復してゆく。


 そして気づけば()()()()()()()()()()()になっていた。あり得ない事が起こっている。しかし輝はある人の言葉を思い出した。消耗した根源は若い根源から生命力を計測出来ない程だが、わずかながら与えられる。老人が孫の顔を見て元気になるのはその為だと。それを応用し、突き詰めたあの研究。しかも飛び交っているのは再生後の根源、そして生命力を使い果たした根源。その生命力の差は幼児と老人の比では無かった。


 慌てて瑠奈の顔を見るが、生気は無い。


 が、確かにまだ死亡状態では無いと言うことだけが解った。まだ待機状態が続いているのだ。


 輝は慌ててデバイスを構えた。


 もし、この状態で瑠奈の体の時間を遡れば、あるいは。


 手が震える。


 あの彗星を前にしてもそんな事にはならなかった。


 たった数刻、戻せばどうなる?


 もし考えが正しければ・・・・・。


 輝は祈るように引き金を引いた。


 そして、光が瑠奈を包んだ。輝にはその一瞬がものすごく長く感じられた。そして光が収まる。


 慌てて、瑠奈の脈を測る。


 確かにぬくもりが感じられ、鼓動が感じ取れた。


「瑠奈!」


 輝は叫んだ。そして期待する。瑠奈の蘇生を。


 それは現実の物となる。


 瑠奈はゆっくりと瞼を開いた。


「お・・・に・・・い・・・ちゃ・・・ん?」


 それが第一声だった。


 輝は()()()()()()を抱きしめる。悲しみからでは無く歓喜を感じて。


「っ、真月?・・・真月なのか!?」


 確かに真月は生きていた。それはこの世界の技術でも解明されないだろう。幾重の偶然や特殊な環境、真月に集まる根源。それが重なりそれに至った。そう、()()が起きたのだ。


 輝は我を忘れていた。遂に枯れたと思っていた涙があふれ出す。生涯二度目の涙だった。今度は悲しみでは無く喜びで。


「あ・・・れ・・・?、・・・ど・・・う・・・し・・・て・・・?」


 真月となった、いや正確には真月に戻ったと言った方この場合正しい。その目からは涙があふれ出ていた。


 二人は一時の間、抱きしめ合った。そしてお互いのぬくもりを噛みしめていた。


 言葉はいらなかった。


 夜空は月の無い新月だった。


 そして時間だけが過ぎていった。




 それからしばらくして。


「お・・兄・・ちゃん」


 沈黙を破ったのは真月だった。まだ声が辿々しいが大分慣れてきたようだ。


「あ・・のと・・き・・いっ・・た」


「あの時?」


()・・()・・()()・・()()・・()()・・()()・・()()・・って」


「ああ、確かに言った。俺は新月でもお前のを間違えない」


「きょ・・う・・し・・んげ・・つ・・だね」


「ああ。」


「あの・・時・・から・・知って・・・たの?」


「ああ、悪かったか?」


「た・・ぶん・・う・・れし・・かった」


「そうか」


「お・・ひ・・さま(輝)から・・みたら・・・わたし(真円の月、真月)・・だから」


「そうだな・・・・よく解ったな・・・」


「おにい・・ちゃん」


「ん?」


「大・・好き」


「ああ、俺も愛している」




 そして夜が明けた。


 輝の傍らで真月はまだ眠っていた。


 輝は連絡を取るべくデバイスを使用する。


 空中に映し出された画面には美月が写し出されていた。


「そろそろ連絡が来る頃だと思ってた。心配した。」


 美月のその声が第一声だった。少し機嫌が悪そうだ。


「怒ってるのか?」


「あたりまえでしょ!っ、もう!」


「あまり怒るな・・・体に響く」


「誰のせいだと!」


「すまん・・・」


「でっ?、何が知りたいの?」


「状況と今後の事象予測からの行動を頼む」


「状況は大混乱よ。多分兄さんの予想通りと思うけど凄いことになってるんだから!。もうっ」


「そうか・・・」


 そこで真月が目を覚ました。目をこすりながら画面を覗き込もうとしている。美月はその姿を見て言葉を失った。姿は瑠奈だが明らかに表情が違う。人間くさいのだ。


「あ、美月ちゃん。おはよう。子供は大丈夫?。怪我してない?」


 少しかすれ気味だが、昨日のたどたどしさが無くなっていた。一晩でかなり回復したようだ。


「え?・・瑠奈・・何でしゃべって!?、どういう事?」


「美月、瑠奈だけど瑠奈じゃない。真月だ」


「ええっ!?」


 それから美月に昨日あった事を説明した。その途中、涙ぐんでいた。姉が生きているのだから。


 説明を済ませてから今後の事を話す。美月はデバイスを操り難しい顔をしながらしゃべり出す。


「う~ん。三年は姿を現さないのが良いみたい。軍は事件の全容をもう把握してるみたいだし、兄さんと事を構える度胸もないみたい。一言連絡入れたら問題無いわね。後の権力が事件を沈静化させるのにそれぐらいかかるわ」


「そうか、ありがとう」


「兄さん、必ず帰ってきて」


「解った。子供の顔も見たいしな」


「姉さん、兄さんをお願い」


「うん!」


「またね。兄さん。連絡はこまめにするわね」


「ああ、頼む。またな」


 そこで通信は終了した。そして輝は真月に向かい合う。


「真月、一応確認だ。」


「何?、お兄ちゃん」


「俺はどうやら世界の敵になったみたいだ。三年間雲隠れしなければならない。楽じゃ無いかもしれない。今なら美月の所に送ってやれるがどうする?」


「そんなの決まってるよ。お兄ちゃんが世界の敵になっても、何をしても、どんなな事があっても、ずっと私は側にいるよ。ずっと」


「そうか」


「そう!」


「じゃあ、いくぞ。時空移動を頼む」


「うん!」


 嬉しそうに真月は輝から与えられたデバイスを操作する。そして空間がゆがみ二人その場から姿を消した。


 あたりは優しい風が吹いていた。


 まるで二人の行く末の幸福を祈願するように。




 ー「死亡フラグが立ちすぎてる彼女を何とか救いたい」というゲームの世界に転生してしまったので彼女を救おうと思います?。ー 真章 完


今まで読んでもらえてありがとうございました。

この作品は最初は思いつきで書きました。

その頃の作品の設定があまりにも無かったので、覧てもらえた方に読者はこう思ってるんだよって。まあ私だけかもしれませんが(笑)。

その為、後から設定を考えるのに苦労しました。

最初の方は今読んでみるとあまりにも雑で申し分けのしようがありません。

そのうち修正し、色々書き加えてまた投稿するかもしれません。その時は生暖かく見守ってください。

最後なので評価などつけて貰うとありがたいです。今後の足しにしたいと思います。

F3は読者を「えっ!、何で!?」と思わせる為に先に投稿しました。この方が印象に残る為です。

本当はF1、F2はいらなかったと思ってます。

まあF1は続を匂わせる為です。今回は京華が言っているあの子達は登場していません。それは印象に残すためです。もしかしたらサイドストーリーは書くかもしれません。

F2はやはり締め為に投稿しています。

やはり私はハーレムもバットエンドも駄目なのでこういう形になりました。

奇跡は最後に起すものです。

最近はいきなり転生という奇跡を当たり前の様に使った作品が多かったので少し抗議のためです。

次作は少し落ち着いたら書こうかなって思ってます。

その間に寝取られらしからぬ何かを書くかもしれませんが(笑)


後お詫びですが、途中時間がとれなくて一年以上も間が開いてしまいました。

本当に申し分けありませんでした。


素人の作品ですが最後まで読んでもらえてありがとうございました。





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