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完結「死亡フラグが立ちすぎてる彼女を何とか救いたい」というゲームの世界に転生してしまったので彼女を救おうと思います?。(連載版)  作者: おすし
真章

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30

 彗星狙撃実行日。


 この惑星の公転速度は約十万km/h、彗星は約四十万km/h。


 惑星が彗星に追いつかれた様な形で衝突となる。


 約六百万km上空で打ち落とす形になるので、衝突の二十日前に処理する事になる。


 それ以上近づけると多大な影響が出る事が解っている。


 すでに海上には数個だが隕石が飛来している。陸地にはまだ落ちてはいないので人的被害はない。


 こういった彗星自体にはフォトンイレイサーなどの光子兵器は有効では無い。


 彗星自体が数兆年も個体として存在しているからだ。


 それを結晶化させるまで、時を遡らせるにはかなりの出力を消費していまう。


 今回は物理的な処理となる。


 処理に当たるのは最高物理適正をもつ勅旨河原(テシガワラ)浩一郎(コウイチロウ)。明の二つ上で今年二十二歳となる。


 階級は前線の大隊長で輝と同じ少佐だ。


 但し違うのは処遇だ。輝の処遇は将軍クラス。単に前線に出るため階級なのだ。


 海上はまだ暗い早朝。


 あたりを眩い光で照ら船の上に勅旨河原はいた。


「少佐、まもなく目標が射程圏内に入ります」


 勅旨河原は部下の声に応じると、天を見上げる。


「これより目標を狙撃する。各員配備に付け!」


「ハッ!」


 勅旨河原が操るデバイス、重級ヘレナの砲塔を空に向ける。


 ヘレナは単純な砲撃デバイスだ。


 しかし威力は惑星をも破壊する事が出来る。


 射程は八百万km程度。速度は光速に迫る。弾道は物質を除去するので周りに影響が出ない。


 放つ弾は遠隔操作で爆発可能。その威力は圧巻だ。


 今回は彗星の核まで貫通させ爆発させる手筈担っている。


 距離があるので砲撃から約二十時間後の着弾となる。


 狙いをさざめ、勅旨河原はトリガーを構える。


「第一射目、打て!」


 ヘレナの弾道はくっきりとする。薄い雲が無くなったのだ。


 そしてヘレナの砲塔が一瞬光り輝いた。砲撃を行ったのだ。


 普通の人が見ても何が起こったか解らない。完全に無音だった。


「これより二十時間後、着弾観測。後に飛来する対象物の一部の破片に警戒せよ!」


「ハッ!」


 その時は誰もが着弾を信じて疑わなかった。只、海から聞こえてくる波の音と照明に照らされる海面が不気味に光り輝いていた。




 二十時間後、管制にいた勅旨河原は着弾の知らせを待っていた。


 しかし観測からの反応は思わしくなかった。


「第一射目、一時方向にそれます。その距離目標から約四百万km!」


「何!」


 その声を聞いて勅旨河原は一瞬動揺したが、直ぐに冷静に務めた。


「それた原因は?」


「詳しくは解りませんが、単純に照準ミスかと」


「そうか・・・・。第二射目を狙撃ポイントに入る三時間後に行う。総員配置に就くよう伝達!」


「ハ!」


「それと先行する破片の警戒を各員に伝達せよ!」


「ハ!」


 平静を装いながら、勅旨河原はかなりショックを受けていた。こんなことは今まで一度も無かった。


『単純に俺のミスみたいだな。あいつに会ったら何言われるか・・・』


 勅旨河原は自分の遺伝子提供の候補者の一人の少女の顔を頭に浮かべながら流弾の爆破を起動させ項垂れるのだった。




 次の日も同じ事を繰り返した。


 憤る勅旨河原は第二射目を実行する。


『今度は外さん!』


 編成された部隊の動きが活発になる。


 飛来する隕石の対応に追われていた。


 勅旨河原は少し焦っていた。


 本来は役目を終え、迎撃に回るはずだった。


 しかし結果は失敗。


 ヘレナの砲撃はクールタイムがかなりあるのだ。


 星を穿つ事の出来るデバイス。


 簡単に準備が整う訳では無い。


 その準備に勅旨河原は拘束されるのだ。


『早く迎撃の指揮を執らないといけないのに・・・・』


 そう思いながら放たれた二射目は・・・・。


 無情にも目標物を射止める事は出来なかった。




 そしてそれを繰り返す事十回。


 それでも勅旨河原は諦めていなかった。


 報告を繰り返すたびに精神的に沈んでゆく。


 今日失敗すれば後が無い。


 星民の避難に十日ほどかかるからだ。しかもそれは全星民では無い。一部の人間達は被害を受けることになる。


 報告では暴動も起きている様でその鎮圧にも人出が掛かっていた。


 そして部隊の指揮もかなり下がっている。


 予定外の隕石の飛来に疲弊していたのだ。


『なぜ!、なぜ当たらないんだ!』


 勅旨河原の精神状態は最悪だった。


『それにしてもどうして援軍が来ない!?。デバイスの整備員も最低限の人員はおかしい!?。なぜ外れる原因が特定できない!?。本星はこの世界を見捨てるのか!?。なんなのだ一体!?』


 当然の思考だった。


 騒ぐ星民、指揮がお落ちる隊員。動かない本星。


 まるで自分は見捨てられたかのように錯覚してしまう。


「隊長、準備が整いました」


「解った」


 勅旨河原は配置につこうとする。


「あの、隊長・・・・」


 一人の部下が不安そうに勅旨河原を呼び止める。


「・・・言いたい事は解っている。これが失敗したらお前達は撤退の準備に努めろ。俺だけが残る」


「そ、それは・・・・」


「命令だ。いいな」


 そういった時だった。


 背後から急に人の気配が現れた。


 時空移動。


「何やってんの?。あなたらしく無いわね。いつもみたいな高慢さは何処にいったの?」


 勅旨河原はその声に心臓が跳ね上がる。


 いつもは一番聞きたい声だが、今は一番聞きたくない声。


 焦燥して振り向いた先には可憐な少女が一人の男と共に立っていた。


 その少女は自分の遺伝子提供候補の九条明だった。


読んで貰えてありがとうございます。

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