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第五十四世界
新しい記憶では大地震が発生した世界。
その時は一切事前対策を行わなかったにかかわらず、死者を一人出さず一週間程度で復旧まで行った星団国家、佳宵月虹の先進技術と国力を全併合世界に轟かせた世界だ。
そして今回もこの世界に災害が降りかかる。
約一兆年に一度の災害。
巨大彗星の衝突が起こる災害だ。
彗星の質量は第五十四世界の星の六分の一。
あの世界の月並の質量だ。
それが彗星の速度で衝突する。
衝突すればその衝撃により光源である恒星の公転軌道を外れ、光源が失われ死の世界となってしまうのだ。そして超新星爆発の影響外になりもう世界を繰り返す事は無い。次の恒星の公転軌道に乗るまでは。
もちろんこの衝突を回避すべく星団国家、佳宵月虹は第五十四世界を併合し、災害対策を立てた。
今回の対策の規模は人員こそ地震の時とは断然に少ないが、戦力としては比較にならない。
使用するデバイスが全く違う。
常時装備している防衛用一般デバイスとは違い、戦時用のデバイスが使われる。クラスとしては上から二番目。一機で文明レベルの低い世界を壊滅させる事の出来るデバイスだ。
被害が広範囲になると予測され、そして万全を期して約百機ものデバイスが使われる。
それでも作戦という程でも無く、だだの災害対策作業になっている。単純に飛来する彗星を星の海上から高度数百万㎞位置で狙撃し、飛来すると予想される隕石、破片を広範囲で被害が出ない様に打ち落とすだけだ。
その時はそれで事足りると誰もが疑わなかった。
美月の腹部が目立ってきた。
座る美月の隣に瑠奈が居る。
二人はまるで親子のように見える。見た目がそっくりなのでそう言われても全く違和感が無い。
瑠奈は目を閉じ美月の腹部に耳を当てていた。
美月のお腹の子供を自分の子供の様に思っているのだろう。
まあ、瑠奈も俺たちと同じ遺伝子情報から作られてるので自分の子供と思っても完全な見当違いな訳では無いかもしれない。
微笑ましい光景を目にしながら輝は第五十四世界の情報を見ていた。
今のところおかしな点は無い。
『順当に行けば全く周りに影響は無いだろうが・・・・』
輝が考え込んでるとそこにAIが飲み物を運んできた。
京華から贈られた物なので少し警戒したが、これまで何事も無いので取り越し苦労だったようだ。
輝もそう思ってしまった。
暗い部屋。
九条睦月は端末を見ていた。
「ふふっ、今回はうまくいくわ・・・。」
その表情、その言葉は普段の睦月とは違う全く別人の様に見えた。そう誰かに乗り移られている様な。
「あの子達は今回も見てるだけ。もしあの男が介入してきたとしても全ての人を守るなんて出来はしないわ。もうすぐ私の願いを一つ叶える事が出来る。私は手に入れる。そしてあの子達を黙らせる」
狂喜とも言える表情。
「私は願いを叶える。たとえ後何億年かかったとしても。必ず。ふふふふふっ・・・・」
その声は不気味に部屋に響くのだった。
第五十四世界海上。
一人の男が船上から空を見上げていた。
すでにいくつものデバイスが空に浮かんでいる。
「少佐、デバイスの配置が完了しました」
そこにその男の部下らしき男がその男に声をかける」
「ご苦労」
男はそのままそう告げる。
「後一日ほどで目標が射程に入ります」
「解った」
そう言って男は船内に踵を返した。
その空には他の恒星よりも何倍も大きく見える帯を引いた彗星が一際光り輝いていた。
読んで貰えてありがとうございます。
今回は切りが悪くて文字数が少なくてすみません。




