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023「ハイド&ハイド」

何卒、ポイントを……星を……くださいまし……(絶命)

作者のモチベに繋がります(復活)

〈二〇二五年 七月二十四日 御加実市 Dekopoモール 深海区域(マリンエリア) 三階〉


「──────私は……」

 目を覚ますと、私は通路のような空間に横たわっていました。

 並ぶのはいくつもの柱、奇抜な天井の文様……先ほどの場所とは、違った様相です。


 そして、私の口には何やら透明なマスクが付けられており、まるで病人のようです。


「…………ふぅ、どうにか回復したか。アタシの能力がなけりゃ死んでたかもな」

「あの戦闘の後、クアリはずっと気絶しててな。んで、俺たちでここまで背負ってきたんだ。キキョウの能力に助けられたな…………俺の作戦の落ち度だ、本当に申し訳ない」

 キキョウ様はナギト様を責める視線を送り、ナギト様は私に頭を下げ、誠意を込め謝罪をしました。

 むしろ、ナギト様のおかげで結界が保ったのですから、そう気に病まなくてもいいんです。


「背負って来たのもアタシなんだがな?あの戦闘で、お前は散々クアリに触れたがったから…………」

「──う、すまん。下心とかはないぞ?けど、ここまでやってもらった恩人なんだ……心配してとうぜんだろ」

「大丈夫です、いくらでも触ってもらって構いませんよ?抱きつかれて手も握られましたし」

 キキョウ様にも、どうやら私たちの逢瀬…………を見られていたようです。

 気恥ずかしいですが、むしろキキョウ様にはナギト様の素晴らしさを知ってほしいんです。

 あの戦いでの、彼の冷静な判断と豪胆な行動を思い出すように、頬を染めながら私は言いました。


「──────は?」

「おおい!?まてまて、あくまで足しになるかと思って、一緒に祈っただけだぞ!?断じて、そういう意図は、ない!!」

 その言葉を聞き、即座に銃を眉間に押し付けるキキョウ様、ナギト様も慌てて言い訳をしています。

 まあ、もっとすごいこともナギト様としていますけど、まあ秘密、ですから。


「チッ、次は事前に言え。そうすりゃイチ殺しで勘弁してやる」

「それは自ら死にに行くみたいなもんじゃね?」

 キキョウ様とナギト様の殺伐だけど、どこかズレたやり取りとその光景が少しおかしくて…………

 大変でしたけど、それでも二人を守れたなら本当に良かったです。


「──────ふ、あはは……!ナギト様も真面目に受け取りすぎです、もうキキョウ様も言い過ぎですよ!」

 こぼれるように笑みが自然と出ました。

 孤児院に閉じこもっていては味わえなかった冒険を、ナギト様、キキョウ様(好きな人)と出来てよかった。

 今の幸せをかみしめるように、私は心の底から笑います。


「…………そうだな。()()()も得られたし、情報を共有したい……とりあえず一旦休息ってことで」

「っち、まあ、怪我人が居ちゃ、進むわけにはいかねぇか。小休止だ」


 そして、ナギト様は何やら意味深な顔でそう提案され、キキョウ様もそれに賛同なさいました。

 私たちは休憩し、少し経った後、子供たちの元へまた進み出しました。。


◆◇◆◇◆


〈Dekopoモール 深海区域(マリンエリア) ???〉


 一方、番犬の役割として配置されたケルベルスがレイたちの行く手を阻んでいた。

  流石に鍵と人形兵だけが警備ではないと思っていたが、まさかケルベロスを置いているとはおもわなかった。


「うむ、あやつは流石に倒せないのでは?」

「ん、でも寝てる。近くで音を出さなければ、起きないはず」

 少し遠くでうずくまる巨躯の番犬は、サボりなのか鼻提灯を浮かべていた。

 とりあえず、様子を伺い、思案するレイだが、目下の問題は一つだけだった。


「妾は闇を統べる高貴なる姫だから大丈夫だが、他の奴らはどうだろうか?」

 レイも思っていたことがノワ子は口からも出た。

 確かに、ケルベロスの覇気は睡眠中とはいえ幼い者には耐えられない。

 もし仮に、何かしらの大きな音を立ててしまえば、気づかれてしまう。

 それがこの幼い集団に出来るだろうか、だが既に監禁場所から抜け出してしまっていて後戻りはできない。

 そう、この面子で、ここを越えなければならないのだ。


「────────っ」

 ここで、何かを言わなければ、彼らはついてこない。

 自分なのだ……自分が彼らをそそのかし、連れ出した。

 だからこそ、責任を取らねばならない。

 彼らが静かにここを通る、気の利いた言葉を出さなければ…………


 しかし、レイは口を塞いでしまう。


────だが、レイの中にそれらの〝言葉〟はなかったのだ。


「うむ、そうだのぅ?みんなここから出てやりたいことはあるか?」

 ノワ子がそうおもむろに口にした。

 何を言うのか、成り行きを見守るように、レイと子供たちは沈黙している。


「………………わ、私は、お婆様にもっと親孝行したい!」

 ふと、堰を切ったようにカルネがそう口を開く。

 流石年上組だ、とノワ子は感心する。

 彼女とて、ここで口を開かねば他の子らが付いてこないと思ったのだろう。

 だからこそ、率先して自ら声を上げた。


「お、俺ももっといろんな場所を見てみたい!」

「クアリちゃんとおままごとしたい」

「河原で綺麗な石見つけたい!」

「勉強して立派な大人になりたい!」

「綺麗なおねぃさんと遊びたい!!」


「そうかそうか、いいじゃないか…………いや、この中にク〇しん居ない?」

 なんなら前の発言もその仲間っぽい発言だったような…………気のせいか、とノワ子は空気を乱すまいと咳をする。


 すでに、子供たちの抑圧された感情は、とめどない。

 そう、彼女のつけた火は少しづつ、燃え広がっていくのだ。

 そして、収拾がつかなくなる直前にノワ子が手を叩いてこう言った。


「じゃ、おねーさんと一緒にだるまさんが転んだしよっか?声出したら負け、振り向いても駄目だよ?」

 ノワ子が、その柔和そうな笑みで、彼らの心を掴んだ。

 レイは、ただ成り行きを見守る。

 ただ付け足すなら、レイは自身のやりたいこと──ナギトともう一度あうということを思い浮かべていた。

 

「いや、俺らとあんま変わらないんじゃねーの?」

「あれ、そっかー……て、誰が小学生以下じゃ!!」

 ルートとノワ子の応酬に少しの笑いが起き、そして場の空気が和む。

 レイは少し驚いていた。

 そう、元から彼女は場の空気を和ます才能はあったのだ。

 それが、子供の心を掴むという点において発揮されただけだった。


「ん、ありがとうノワ子……さすがナギトの盟友」

「ふ、時には道化を演じるのも姫の役割よ…………んじゃ、おねーさんが先頭、レイちゃんが一番うしろね。ついてこい!あ、声出したら駄目だよ?絶対だよ?」

 そう、もはや子供がいたのではと疑いたくなる程、上手な先導でノワ子は静かに階段を下りて行った。

 姫が道化を演じるかどうかはともかく、ノワ子が先頭なら、子供たちもその真似をするし、一番最初に危険地帯に突っ込む役もノワ子ができる。どれだけ考えているかはわからないが、それでもレイにノワ子が頼もしく見えた。



「(それに、私が後方なのも、何があっても子供たち全体が見渡せるから対処しやすい)」

 ナギトの隣には、妙にとんでもない逸材がいる。

 おそらくケルベロスの脅威にあまり気づいていないノワ子は、気軽に危険地帯に突入していくのであった。


 そして、レイは最後尾で、最大限の警戒と、殺気を気取られないように気配を消しつつ、ゆっくりと音を殺して行くのであった。



◆◇◆◇◆



────ほどなくして、子供たちの列の中盤にケルベロスのいるという地点までついた。



 あと少し、というには少し遠い位置。

 前方に見えるケルベロス用の入り口はとても大きく、さっきみたいにこじ開ける心配はなさそうだ。

 そんなことはともかく、レイは周囲に気を配る。


「(子供たちも、ケルベロスに怖がって静かにしている。順調だけど問題は軍服男が脱走に気づいてここに来ること)」

 そう、ここで軍服男に帰ってこられれば、元も子もない。

 そうなれば、すべてが瓦解する。

 しかし、ケルベロスが寝てることも加味すれば、軍服男がここを出て行ったのはだいぶ前だろう。

 最初は起きているように言われたケルベロスが、飽きて寝るようになる時間が経っているのだろう。

 少なくとも、彼らの体力を加味すればこれぐらいの歩みでも丁度良い。

 むしろ、子供らが泣き出さないのが凄いくらい。


「(【空想現界人】だから、以外と耐性がある?)」

 そんな予測をしつつ、ケルベロスに気取られない程度に、レイは辺りに気を散らす。

 無論、探っても罠も何もありはしない。

 時間はあるので、ついでにレイは状況の分析を行う。


「(〝イベント〟だったらそこかしこにモンスターが湧く。でもそれがないってことは、ここが別の場所ってこと?だとすれば……)」

 そう、予測するが確証はない。

 もし、ここが〝イベント〟外であれば、ナギトとの合流は見込めない。

 レイの再生能力も無いまま、そんな状態で軍服男と相対してもかなり不利だ。

 


 そして、戦闘のノワ子が入り口に到達する。

 後続もぞくぞくと、ゴールする中、ふと一人の子供が焦って、走り出した。


────そして、案の定……その子は足がもつれ、躓いてしまう。


「────────っ」

 レイたちが息を呑む中……後ろにいたルートとカルネがつまずいた子の服を引っ張り、咄嗟に走ってきたノワ子が頭を支えて、こけるのを防いでいた。


 ほっ、と息を吐いて一同は胸を撫でおろす。

 そして、その後は何事も無いまま子供たちは着々とゴールしていき、そして最後であるレイの番が回ってきた。


 レイもゆっくりとだが着実に、入口へと近づき────



「────────」

 ふと、目の前にある風にたなびく、小さな糸を目にする。

 


 近づいてみないと、見えなかった。

 勘が鋭く、目も良いレイであったから気づいた

 糸が張られているわけではない、ただ物質をすり抜けそこに通ったものを感知する────



 全ての線が、糸のように繋がる。

 レイたちのところへ、ピンポイントで転移してこれたのは…………



────────静かに、むくりとケルベロスが起き上がった。



「────────走ってッ!!!」

 そう、そこには小さい見えない罠が張られていたのだ。

 そして、理解するよりも先に、レイは怒鳴り声をあげ、追い立てるように子供たちを逃がすのであった。




◆◇◆◇◆

 



────────さて、どこから話そうか。


 あれは三年、いや二百年、三分前の出来事だったかもしれない。

 いや、普通にさっきの出来事だったんだが…………俺こと、()()()()の前に三人の空想現界人が通ったんだ。

 男一女二、くはーっ、ハーレムですかー。おらぁ、トライアングラーには弱いんですぞ?


 まあこんなバカ言ってないで、俺はともかく彼らを追うことにしたんだって、ハナシー!

 なぜかって?俺の趣味が〝追跡(ストーキング)〟だからさ。

 染色(ステンド)能力も〈追跡王(ストーキング)〉、追跡すると決めた対象(四人まで)に見えなくなり、概念的に消えることができるってわけ。

 まあ、普通に対象以外の人間からは見えるし、広範囲の攻撃には巻き込まれるけど…………とはいえこの能力を使えば、対象の記憶にからもすべて抹消できるほどの能力。


 強いていえば、俺の存在は抹消できても、俺以外は抹消できないのでバレる可能性はある。

 だが、俺はこの能力で追跡(ストーキング)行為がバレたことはない!

 まあ、悪事に使うこともできるけど、小心者なのでしたことがないだけなんでゲスけどね(謎の語尾)。


 

 ただ、今回だけは違う。

 この世界に来て、〝ゲーム〟に参加して、ここなら何でもできると知った!

 だからこそ、俺はあの〝イベント〟に参加して間もなそうな、弱そ…………いや、ちょうどよさそうな奴を見つけることができた。

 別に幼い子供と、弱そうな青年だから狙うってわけじゃねぇぞ、本当だぞ、嘘じゃないぜ?


 故に、彼らには何も恨みはないが、明日の夕飯(ポイント)にしてやろう。

 具体的に作戦とか決めてないが、とりあえず行動不能にでもしてから考えればいいだろう。

 ついに、俺の名が世界に刻まれちまうってわけか……!



────覚悟を決めた俺様は無敵だぜ?今から後悔したって遅いんだからな!!


◆◇◆◇◆



 そして、俺様は辺りを警戒しつつ、移動するあの三人を〝対象〟として、彼らの能力を暴くために観察を続ける。

 会話もバッチリ、なんならさっきのサメとの戦いもみてるぜぇ?

 めっちゃ熱い戦いだったよなぁ!あの指示飛ばしてるだけの男にはちょっとムカついたが。

 それでも、あの男が仕切ってるのも、案外悪くないよなぁ?って思えてきたかもしれねぇ。


 ま、悪いことするんだけど…………尊厳踏みにじって、見れない顔にしてやるぜ!

 これはいつもの趣味だ。

 〝対象〟を見ながら観戦してるみたいに、物語の中に入った気分になるように見る。

 まあ、単なるデバガメだが、意外と楽しいんだなぁ……これが。



 そんなことを思いつつ、俺はあの一行を追跡(ストーキング)していると……



「────────おい、いるよなぁ。アタシの目が誤魔化せると思ったのか?さっさと出てこいよ、クソ野郎が」

 目つきが悪い栗毛の女の方が、俺の方を向きそう言った。

 バカな、と声に出しそうになるが…………とはいえありえない話ではない。


「(た、確かに、空想現界人の能力は無限……けど無制限じゃない、俺の潜伏を破れるほどの能力持ちがそう都合よくいるか?)」

 否であろう、同格相手でも俺の能力を感知できるのはそうはいない。

 まさか、他の協力者?俺の弱点である索敵系で、何らかの無効能力持ち?


 お、おおおおおお落ち着け!?一旦冷静になれ!?俺よ!


「だんまりは良いが、あまり待たせると…………そこら一帯焼き払えるくらいはできるぞ?あ?」

 うわわわ、キレてらっしゃる!まずい、能力以外は普通なんだよ俺!?


「────最後のカウントダウンだ……3,2,1」


…………わりぃ、おれしんだ。でもやっぱ死ぬのは嫌だ────



「────────どうして、私たちを感知できたんだ?」


 そして、俺の反対側の物陰から、狩人帽をかぶり、黒を基調にした装いの空想現界人が出てくる。


「(うおおい!?ふざけんな、同業者の方いたんかい!?)」

 出ようとして踏みとどまり、変な態勢でのけぞってしまった。

 声を抑え、驚愕し、ギリギリ出て行かない判断ができた。


 様子を見ていると……なんと狩人風の男の後ろからぞろぞろと、他の個性豊かなメンツが出てくる。


「(しかもめっちゃいるし!?なんで俺は気がつかなかったんだよ!!?)」

 そう、目を白黒させ、心中で叫ぶ。

 まあ、たぶん俺のスニーキングスキルが凄まじかったということにしておこう。

 ならこいつらにも気付けてたとか、そういうことは忘れよう!


「(てか、超キャラ濃いメンツなんだが?あ、あの忍者格好いい……俺も真似しようかな)」


 左から、鎖鎌を持った顔が暗くて見えない、絶対目立つ紫の装束の忍者。なんかスパイっぽい格好と装備をしてるトム〇ルーズ似の外人。最初に出てきた狩人。顔が黒い布で隠れ、パペットを両手に装備した黒子みたいなやつ。たぶん世紀末系出身だろう、刺青にどうやって入れたかわからない顔面にピアスを強いてる強面。


 キャラ立ちすぎでしょ…………俺とか普通に母さんに買ってもらった服のおさがりだぞ。


 そういうのどこで売ってるの?ビレバン?ドンキ?まさか手作りか。

 流石にそこまでしてキャラを立てたいとは思わない、空想現界人だから個性がされてるしね?


 ともかく、こいつら、俺の獲物を横取りとは許せん……!


「すまない、こちらも警戒していてな。少々、見定めさせてもらったんだ」

「ああ、随分と肝っ玉小さそうな連中だから仕方ねぇな。ただ、盗み見とは趣味の悪ぃな」


 確かに盗み見なんて、下手に犯罪じゃない分性質が悪いですよ!(※普通に法令違反)

 俺?俺はいいんだよ……そういう能力だしねー?

 ともかく、両陣営とも剣呑な雰囲気だ。


 色々想定外もあったけど……面白い展開になってきたなぁ!



〈Tips!〉

・キキョウの消費電力について

 《機械猟犬(ハウンド)》の能力は維持しているだけでは、電力を消費しないが、何らかの攻撃を放つ場合は消耗していく。

 フル充電で一日分、今のキキョウは半日分減って残り半日ほどとなっている。

染色(ステンド)能力について。

 名前が似てる某起き上がる能力とは全く関係ない、背後に守護霊的なものが出る能力。

 カギンの場合は〈追跡王(ストーキング)〉といい、後ろにサングラスかけた黒スーツのスパイ風の奴がいる。

 悪用すればかなり強い、けれど所有者の根が小心者であるがため、彼が悪役に配されることはなかった。

 

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