襲撃してきた勇者が5歳だったんだが

ブーイング

正気に戻ってすぐ、僕は勇者を抱き上げて城へと飛んだ。

城の方でも事態を監視していたのだろう、アークリッチがすぐに出てきて、勇者を受け取る。

勇者自身は未だに意識が戻らず、今にも呼吸が止まりそうなほど弱々しい。

「まずい、魔族用の治癒魔法だと効かないみたいだ」

運んで来るまでに試していたが、魔王の力をもってしてもほとんど効果が見えなかった。

「……吸血侯に連絡を。あの方の配下には元人間も多いので、人間用の治癒魔法の使い手もいるかと」