表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/33

第20話 とある計画 前編

 狼は、羊を狙う。


 ライオンは、シマウマを狙う。


 クマは、蜂蜜を狙う。



 宇美原綺薇は、可愛い年頃の少女を狙うのだ。これは決しておかしなことではない。彼女の中では、の話だが。上の3つの例えの様に、当たり前の事なのだ。


 そんな変態淑女、綺薇はある事で思い悩んでいた。



「私、次は冬乃さんを屋敷にご招待したいのですけど……何か良い案ありません?」

「じゃあ俺帰るわ」

 奏は席を立ち、早々に帰宅しようとする。だがそれは扉の前で仁王立ちする亀のマルコと、俺に絡みつく蛇のザックが阻む。

「お待ちなさい。私は真剣ですのよ」

「真剣に犯罪計画相談された俺の気持ちを汲んでくれ。後ザックに離れるよう言え。動き辛ぇ」

「ザックはあなたを伴侶にしたいと言ってーー」

「そうじゃなくててててっっ!!?」

 突然締め上げる力を強めるザック。奏が観念して席に着くと、すぐさま力を緩める。


「んで、冬乃を誘拐したいって?」

「誘拐ではありません。ただお屋敷に招待して、お茶をして親睦を深めたいだけですわ」

「要するに誘拐だな」

 奏としてはこんな事に協力したくなかった。


 冬乃は真面目で、気立ても良く、何より夏香の数少ない友人兼後輩なのだ。そんな恩人をこんな変質者に売り渡すマネなど、外道にも等しい。

 だがアミメニシキヘビにいつ絞め殺されてもおかしくない状況下でそんなことも言っていられない。何とかして計画を破綻させなくてはならない。


「まずだが、冬乃の行動ルートは把握してんのか?」

「勿論ですわ。朝起きてから寝るまで、入浴時間、下着のサイーー」

「分かった分かった!! とりあえずお前がヤバい奴なのは分かったからそこまでだ!」

 あまりに徹底的なリサーチに、奏は思わず声を荒げてしまった。

「何でそこまで知ってんだ。それもストーキングか?」

「いえ、我が社が開発したドローンを使いました。下調べは大事ですからね。それにしても……ウフフ」

 綺薇は口元を押さえてクスクス笑う。

「どうした」

「冬乃さん、ご自分のバストにコンプレックスがございますのね。可愛らしい。その点を弄り倒して悶絶させてあげたい…………」

「あ、お、おう…………」


 一体冬乃が何をしたというのだろうか。

 心の奥底から、奏は冬乃に同情した。


「つ、次にだ。冬乃が好きな物は分かるか?」

「可愛い物が好きな事は知っていますわ。ですが何が好きかは、恥ずかしながら…………」

「恥ずかしいのはそんなとこよりたくさんあるけどな。けど、冬乃が好きなものくらいは知ってるぜ」

「本当ですの!? そ、それは一体……」

「それは…………」


 奏は、計画破綻の為にある人物を生贄に捧げた。


「陽室だ」

「ひ、陽室さん?」

「あぁ。実を言うと冬乃は陽室にホの字でな。普段は必死に隠してるけど。陽室をまず捕まえれば、冬乃を釣るくらい簡単だぜ」

「で、ですが陽室さんを巻き込むなんて……」

「何で俺は巻き込むのには何の躊躇いもないんだよ」

 突っ込んでしまったが、兎に角この戦法しかない。

 この方法以外、皆を幸せにする方法はない。


「俺を信じろ、綺薇」

「……ですわね。分かりました。奏さんの言葉を信じましょう」

 綺薇は小さく頷き、指を鳴らす。マルコが退くと同時に扉が開き、入ってきた使用人に耳打ちする。使用人は一礼すると、部屋を去って行った。

「ありがとうございました。成功した暁にはーー」

「やめろ。というか、この事誰にも言うなよ」

「勿論。それではご機嫌よう」


 こうして奏は解放された。



 この選択が、後に奏の首を絞める事になったのは、また別の話だ。



 続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ