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ヒーロー?悪の方がいいに決まってる!!  作者: 小田和 リナシヲ
第3章 魔法学園:パペットマスター編
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第26話 血筋と才能

ロボット作成を諦めきれないピーター。


そんな中、またトラブルに巻き込まれます。


それではどうぞ。

―――昼過ぎ 学園内 廊下


 この間の土魔法の授業を受けてから俺は自動人形オートマタ作りを画策していた。ミーナやクリエ、更にはエレナにまで反対されてしまったが、そこで諦めてはお終いだ。孤軍奮闘、自らの手で作ってやる。


 そこで、暇さえあれば、俺は学園の大きな図書館で自動人形オートマタに関する資料を集め、どのようにしたら作成できるか研究していた。


「……けれども、魔法核に据えるべきモノがあんまり分からないんだよなぁ。」


「へぇ、さいですかぁ。」


機甲ロボット達に聞けば、何か分かるかなぁ?」


「あっしにはアイツらが碌な返答するとは思えませんが……。」


「あきらめよ、主殿。妾で満足せい。」


 俺は学園の敷地内でスパイ活動に勤しんでいたガマグチを捕まえて、ロボット作りへの想いを語っていた。ガマグチは目だけを残し姿を隠している。カメレオンのような目でキョロキョロと辺りを見回し警戒を怠らない。


 決して、俺の長話に付き合いたくないとかそう言う事ではないのだ。


「アイツらにはあっしから、親父がそう言う事を言っていたというのは伝えておきやすんで。」


「ありがとう。助かるよ。」


「おっと、向こうから誰か来たようです。では……。」


 宙に浮いていた目はすっと周りの景色に同化して、あっという間に見えなくなった。俺はガマグチの消えた方へ簡単に別れを告げ、日射が強いせいか影の濃い廊下の先を見つめる。


 すると、高級そうな服に身を包んだ学生の集団がこちらに向かって歩いてきた。


「げっ、ナターリア達か……。」


 影から現れたのはナターリア達を中心とする王国貴族の連中だった。また誰かの陰口を叩いているのだろうか、話しが弾んでいるようで俺には気づいていないようだ。気付かれていない今のうちに、ここを立ち去ろう。


「ピーターさん、一緒に図書館へ行きませんか?」


 そう思っていると、俺を挟んでナターリア達の来る反対側から、歩いてきたエレナに呼び止められてしまった。彼女の側にはクラスメートのマリン、リリアの女子2人、それからフランクも一緒だったようだ。


 うーん、この組み合わせは……。トラブルが目に見えているぞ。


 ナターリアやグレッグ、ヴィンセント達も俺達に気付いたようで、彼らの表情は嫌悪感丸出しだった。一方、エレナ達もそれは同様だった。


「あら、先生・・、こんにちわ。本日は亜人さん達と何を一緒にされるのかしら?」


 早速、ナターリアがジャブをかます。貴族の一行はクスクスと笑い、こちらの様子を伺っている。


「そっちの方こそ、お山の大将気取って何してるのにゃ?」


 負けず劣らず、獣人のマリンが言い返す。マリンの背に隠れているリリアを除いて、エレナもフランクもナターリア一行を睨みつけていた。


「猫はおとなしく毛繕いでもしていろよ。」


「言われなくても毛並みはしっかり整えているにゃ。」


 どちらか一方が口を開けば悪口の応酬が始まる。亜人排斥派の貴族達と彼らの仲は最悪だった。


「おや、猫の後ろに隠れているのは汚らわしい魔物じゃないか!」


「暴れだす前に討伐しなくちゃな!」


「「「ハハハ!」」」


 この暴言には皆の怒りが爆発したようだ。びくびくと怯えるリリアを庇いつつも、皆いつでも魔法を放てるように体内のマナを活性化し始めていた。まさに一触即発の雰囲気である。


 もちろん、俺もずっと傍観していられる筈もなく、マナの活性化を急ぐ。


 リリアは同じクラスメートで、学年でも僅かの魔大陸出身の魔族だった。


 魔族は他の種族に比べマナの扱いに長けている。エルフやドワーフもマナの扱いに長けてはいるが、魔族との大きな違いは得意な魔法が絞られる点である。エルフであれば風魔法。ドワーフであれば土魔法。種族によって得意な魔法は変わってくる。


 一般的に、魔族とは闇魔法に長けたイメージが形成されてしまっている。しかし、それは大きな誤りであった。神話の時代にまで遡れば、光と闇の神々の争いで闇の神陣営についたとされる魔族。そういう誤解が生じてもおかしくはない。


 けれども、実際は違った。


 魔族は個人ごとに身体的特徴が大きく異なっている。それは、彼らが魔物の特性を強く引き継ぐ為だ。魔族と魔物、どちらが先にこの世界で生を受けたかはっきりしていない。けれども、火蜥蜴サラマンダーの特性を持った魔族であれば火魔法が得意だし、魔妖樹トレントの特性を持った魔族であれば木魔法が得意だ。彼らはそういった具合に、個人毎になんらかの魔物と相対の関係にあった。


 だから、魔族が扱う各々の魔法は他の種族と比べ多種多様なのである。闇魔法だけに特化している訳ではないのだ。


 では、リリアはどうなのか。


 彼女は闇蝙蝠ナイトバットと似た能力チカラを持つ。魔法について言えば、催眠や肉体強化等。食事について言えば、人の血を飲みたくなるらしい。彼女は所謂、吸血鬼ヴァンパイアだったが……。


「しかも、魔族の癖に碌に魔法が使えないんだってな」


「落ちこぼれもいいところだ!」


「魔法を覚えて害虫にならないよう、駆除しとかなくちゃいけないわね。」


「「「ハハハ!」」」


 貴族の嘲りはますますヒートアップしていく。リリアは魔大陸において名家の生まれであったらしいが、魔族においては珍しく、マナの扱いが非常に下手だった。引っ込み思案な性格が災いしているのか、座学ではトップクラスの実力だが、魔法実技に限れば成績はドンケツだった。種族の潜在的な能力は持っているが、それを上手くこなしきれていない。


 鳥だけど飛ぶのが下手。魚だけど泳ぎが下手。残念ながら、彼女はそんな感じだった。


 けれども、クラスメートがそんなだからと言って、見下すことはしない。


 皆、彼女が授業が終わっても、夜遅くまで魔法実技の自主練習していることを知っている。彼女は努力家なのだ。成績優秀、努力家、性格は少しおとなしいけれど、優しい心の持ち主。そんな彼女を嫌う人間などほとんどいない。


「止めなさいよ!彼女を馬鹿にするのは許せないわ!」


「あらあら、亜人さん達の同族愛は素晴らしいわね。」


「あんたもクラスメートでしょ!? いつも頑張っている彼女に対してそんな口叩いて自分で恥ずかしくならない訳?」


 エレナは他の貴族と笑っていたナターリアを怒鳴る。入学前のあの事件以来、犬猿の仲である。互いに挨拶をすることも無ければ、事務的な会話さえしない。互いを徹底的に嫌っていた。普段はシマリスのように温和で可愛らしいエレナだが、ナターリアに対してだけは氷の表情を貫いていた。


「えぇ、思うところはありましてよ。」


「魔族の血を引いているくせに、それをまともに利用できない。頑張ったところでそれは覆りませんわ。」


「だから、魔大陸より人間の通う魔法学校へ島流しされる憂き目にあう。なんと哀れなのかしら。」


「……なっ!」


 ナターリアの指摘は大方事実だった。本来、魔大陸よりわざわざ赴いて、ヴァルキュリアへ通う必要はない。王国においてトップの学園であるとはいえ、他にも選択肢があったはずだ。特に魔法の身近な魔大陸であれば、それは猶更だ。


「前々から思っていたけれど、貴方……性格がひねくれ過ぎです。」


ワタクシは自分の血筋に見合うべく生きています。長耳風情に私の性格を論評される筋合い等ありませんわ。」


「そんなに血筋にこだわって、貴方に何が出来るっていうの?」


「なんですって?」


「いつも威張って教室の中、ふんぞり返っているけれど、貴方はそれだけじゃない。」


「平民を治めるのが貴族の役目なんでしょ? 亜人の私達は勿論、クラスの人間族だって、皆、貴方の事を嫌っているわ。そんな調子で役目がこなせるとは到底思えないわ。」


「貴方はただ自分の血筋と家柄を自慢する我儘娘にすぎないのよ。」


「うぉー……。エレナちゃん辛辣。」


 エレナの気迫は凄まじく、隣に居たフランクまでも一歩引いてしまっている。言われたナターリアは涼しい目をしつつも、エレナのことを睨み返す。


「エレナちゃん、もう止めて……。」


「リリア、何を言っているにゃ! エレナの言う事は正論にゃ!」


「確かに、ナターリアさんの言う通り、私は落ちこぼれ魔族よ。自分の才能を漫録に使いこなせない。」


 貴族達から「そら見たことか」と嘲りの言葉が続く。


「でも……私は辛くないわ。」


「何よ。強がり言って。」


 ナターリアは鼻を鳴らし、侮蔑の目をリリアへ送る。


「……えぇ、そうかもしれない。けれど、自分と同じ目線で対等になって話してくれる。しかも、私のことをここまで思ってくれる皆がいるんだもん。魔法に関して思うところが有るのは事実だけど……私は今幸せだよ。」


「リリアさん……。」


 リリアの言葉に貴族達も押し黙り、口論が止まる。おとなしいリリアがそんな事を思っていたなんて、俺も含めて皆、初耳の話しだった。


「……フン。馬鹿じゃないの!」


 そんな中、口火を切ったのはやはりナターリアだった。


「血筋に見合う能力チカラも無い癖に幸せですって!笑わせてくれるわ!」


「亜人風情に幸せを語られるなんて、たまったもんじゃないわ!」


「おい、ナターリア。そこまで熱くなる必要はないんじゃ……。」


 ナターリアの口調は先程に比べ一段と激しかった。隣のヴィンセントが諌めるほどだった。場の空気は再び険悪なものとなる。


 そして、手を出しのはどちらが先だったか。ほぼ同時だっただろうか。俺を挟んで互いに風魔法と土魔法が放たれる。


「「うおぉぉぉ!」」


「おいおい、マジかよ……。」


 本来だったらエレナの援軍に向かいたいところだが、こういった生徒同士の喧嘩は止めるよう、俺は学長から指示を受けていた。


『喧嘩が有って止めなければ、ポイントから減点な。もしも、それで生徒が大怪我でもしたら落第だからな。』


<<お主も先生の役目を兼任するのは大変じゃのう。>>


 全く先生っていうのは大変な仕事だぜ。

亜人組と貴族組の喧嘩をピーターは止められるのか。


そして、ピーターのロボット作りは如何に。


※拙い文章ですが、引き続きお読みいただけると幸いです。

150726追記

※次話の更新は週末となります。

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