表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サブレ様の一族――炎の子らの唄 - 続・鬼の渡し場  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/10

第四話「セナの問い」


セナは、ルカより先にサブレ様に聞いた。


何百年も生きることの意味を。


ルカがまだ聞けずにいた問いを、セナはある日の昼過ぎ、サブレ様の前に座った瞬間に聞いた。


「サブレ様」とセナは言った。「何百年も生きることは、どんな感じですか」


ルカはセナを見た。


直接すぎる問いだと思った。しかしサブレ様は怒らなかった。


「どんな感じか」とサブレ様は繰り返した。「難しい問いだ」


「難しいですか」


「難しい。感じ方が変わるから。最初の百年と、今では、同じことが違う感じになっている」


「最初の百年はどうでしたか」


「最初の百年は」とサブレ様は言った。「速かった」


「速い?」


「新しいことが多かったから。見たことがないものを見るたびに、時間が速く過ぎた。楽しかった、ということかもしれない」


「楽しかった」とセナは言った。


「楽しかった」とサブレ様は言った。「しかし——」


「しかし?」


「周りの者が、先に死んでいった。楽しかったが、一緒に楽しんでいた者たちが、先に逝った。それが、重なっていった」


セナはしばらく黙っていた。


「何人、見送りましたか」とセナは言った。


「数えていない。数えると、重さが変わる気がして。だから、数えないことにした」


「数えない方がいいんですか」


「どちらがいいかは分からない。ただ、私には数えない方が合っていた」


「サブレ様は寂しくないですか」とルカは言った。


サブレ様はルカを見た。


「寂しい」とサブレ様は言った。


「寂しいんですか」


「寂しい。寂しくなくなることは、ない。しかし、寂しさに慣れる」


「慣れたら楽になりますか」


「楽にはならない」とサブレ様は言った。「慣れるというのは、楽になることではない。寂しさがそこにあることを、知ったまま生きることだ」


セナはその言葉を、しばらく考えていた。


「知ったまま生きる」とセナは繰り返した。


「そうだ」


「それは、辛くないですか」


「辛い」とサブレ様は言った。「しかし、お前たちが来てくれると、少し違う」


「どう違うんですか」


「寂しさが、薄くなる。消えはしない。しかし、薄くなる」


ルカはセナを見た。


セナもルカを見た。


「毎日来ます」とセナは言った。


「毎日来なくていい。来たい時に来い」


「毎日来たいんです」とセナは言った。


「俺も」とルカは言った。


サブレ様は二人を見た。


「そうか」とやがて言った。「そうか」


「来ていいですか」とセナは言った。


「来い」とサブレ様は言った。「いつでも来い。私は、ここにいる」


セナはルカの方を向いた。


何も言わなかった。


しかし目で、良かった、と言っていた。


ルカも、そう思っていた。


(第四話 了)


---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ