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第2話 皇太子は噂通りのイケメンでした

「明後日王宮で開かれる舞踏会、必ず行ってもらいますからね」

「え?」


行きたくない。あの社交辞令を言い合う場所になんて行きたくない。魚釣りをしていた方がマシだ。招待状を受け取っても今まで行かなくても良かったのに。

「あの、不参加というのは......」

「あなた!スティバーグ家の顔に泥を塗る気ですか!!必ず行ってもらいます。いや、行かせます」

(明後日の魚釣りは無しですね......)


────後日


「行ってきます......」


渋々馬車に乗る。頭の中ではもう帰る方法しか考えていない。侍女たちはリアナを綺麗に、可愛く仕上げてくれた。しかしリアナにとってはこの装飾まみれのドレスも動きにくくて仕方がない。

(帰りたい......)


そう思いながら馬車へ乗り、王宮へと向かう。なんでも母の話によると舞踏会に滅多に参加しない幻の皇太子殿下も参加しているとのこと。

(皇太子ってあのレオンハルト皇太子殿下よね?なんでも顔も良くて剣術もトップクラスで、完璧らしいけれど......)

「私には関係ない!」


王宮に着いて。

(さっさと挨拶済ませて帰りましょ)


なんて気軽に考えていたことがあんなことになるなんて......


相変わらずの盛り上がりよう。リアナはなんとか引きつった笑顔で挨拶を返す。

「ご、ごきげんよう......」

「ごきげんよう。リアナ様」


舞踏会に、ましてや貴族社会になんて今までこれっぽっちも興味のなかったリアナは誰がどこの家の令嬢だなんて全く知らない。とりあえず声を掛けられたら返す。それだけで精一杯だ。なんとか 挨拶が終わり、ヘトヘトになったリアナは人が少ない柱の傍で休んでいた。

(もうしばらく誰の顔も見たくない......)


会場のわちゃわちゃした雰囲気をぼーっと見つめる。

すると。


「皇太子殿下よ!!」

「いらっしゃるという噂は本当でしたのね!」


令嬢たちが集まる方へ視線を向ければとんでもない美形男子が。

(あれが皇太子殿下なのね......確かに噂通りザ・美形って感じね)


離れてても分かる顔の小ささ。目鼻立ちははっきりしていて、黒髪もシャンデリアの光に反射して綺麗だ。思わず見てしまう。しかし、今後皇太子に関わる機会など一生ない。皇太子に人が集まり、周りに人が少なくなってきていた。

(よし。人がいないうちに帰りましょ)


周りをキョロキョロ見回し、人が見てないことを確認するとサッと出ていく。

帰ったら何をしようかなと考える瞬間がやはり一番リアナにとって幸せの瞬間だった。


───

時は少し前。リアナが出ていこうとしている時。


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