第15話 お茶会
王宮から帰って数日。いつものように自室でのんびり本を読んでいた。
すると侍女が一通の手紙を持ってきてくれた。
「お嬢様。お手紙が届いております」
「誰から?」
「エーデルハイト侯爵家からです」
封筒を開く。
『お茶会のご案内』
と書かれた招待状だった。正直行きたくなかったが、ここで断れば根も葉もない噂を立てられかねない。
(行くしかない......)
───
エーデルハイト家に居た。直前まで行くか悩んだが、母に背中を押され、渋々この広い庭に来ていた。
「まあ。リアナ様。ごきげんよう」
「ごきげんよう......」
「リアナ様が来てくださってとても嬉しいですわ」
何となく分かる。歓迎している笑顔ではないことを。
「こちらへどうぞ」
席へ案内される。他の令嬢達もいるため、品定めされているようで中々落ち着かない。
(帰りたい......)
私が席に座るなり、ヴィオレッタ達は質問をしてきた。
「リアナ様は殿下と仲がよろしいのですね」
「まあ......?良くしていただいています」
「そうなのですね」
ヴィオレッタの顔が曇る。
「リアナ様は社交が苦手だとお聞きしたのですが本当なのですか?」
「苦手、というより疲れるので......」
何人かの令嬢がザワつく。貴族令嬢にとっての社交は義務だ。それを疲れると発言するなどありえないことだ。
「では王宮へ行かれた時はさぞ大変だったことでしょう」
「いえ。特に不便なく過ごせました」
なぜそんなことを聞くんだと思ってしまう。私が王宮へ行ってどうしたかなんてヴィオレッタ達には関係ないのに。
「殿下とご一緒だったとお聞きしました」
「はい」
「何をお話されたのですか?」
他の令嬢も気になって質問してくる。レオンハルトは令嬢達の憧れの的だ。少しでも関わりのある私は質問攻めの対象になってしまうのだ。
「本の話を......」
「他には何かお話されましたか?」
「いえ、特には」
期待していた答えではなかったらしく、あからさまにつまらなさそうにしている。
「殿下は何か特別なことを?」
「特別?」
「好意を示した、とか」
「婚約を申し込まれたくらいです」
その場の空気が固まる。紅茶を吹き出しそうになった令嬢までいる。
「は?」
ヴィオレッタから笑顔が消える。
「どういうことですの?」
「この間の舞踏会で......あ、でもしっかりお断りしましたよ?」
「リアナ様。それは冗談ですわよね?」
「いえ。本当です。皇太子妃なんてごめんなので」
「リアナ様は面白いお方ですのね」
ヴィオレッタは笑っている。しかし、その目は一切笑っていない。
(なんでこんな小娘が殿下に......わたくしのほうが皇太子妃として向いているのに......!!)
リアナはそんなことを思われていることも知らず、周りを不思議そうに見渡している。




