第13話 あなたが
レオンハルトが会議の為に図書館を出たあと、図書館を一人で探索していた。冒険譚、旅の記録、神話など、興味の引かれるものが多い。
(何を読もうかな)
そんなことを考えていると一冊の本が目に入った。
『スティバーグ家家史』
「私の家......?なぜここに?普通なら家にあるはずよね......」
気になって本を開く。自分が思っていた以上にスティバーグ家は歴史が古く、皇族であるアルヴィジア家との関りも深いらしい。
その本には代々の当主の名前や功績、家族構成などが載っていた。
「へぇ......」
けれど、一番下に
『アルヴィジアとスティバーグの契約は、途絶えることなく続いている』
という文章が書いてあった。その言葉の説明は何も書かれておらず、ページはそこで終わっていた。
(契約......?殿下が私に婚約を申し込んだのもまさか契約が関係しているの......?)
考えても分からなかった。舞踏会で婚約を求められたときは、『お前のことが気になったから』という理由だったが、もしかしたらこの本に載っている『契約』と何か関係があるのかもしれない。
本をじっと見つめていると、突然声をかけられた。
「まあ。立ち読みだなんてずいぶんと行儀の悪いお方もいらっしゃるのですね」
振り返ると、派手なドレスを着た令嬢が三人立っていた。一番前のボスらしき令嬢が扇子を広げる。
「失礼ですが、お名前は?」
「リアナ・スティバーグと申します」
私が名乗ると、令嬢たちの表情が変わった。
「スティバーグ?ああ。あの、社交界に顔を出さない公爵令嬢のお方でしたのね」
(何か嫌な言い方......)
「わたくし、ヴィオレッタ・エーデルハイトと申します。以後お見知りおきを」
社交界に興味がなかった私はエーデルハイト家がどこの家なのかが分からなかった。しかし、彼女の自信ありげな態度から高い身分の令嬢であることはなんとなく分かった。
「今日はどうしてこちらへ?」
「皇太子殿下に図書室を案内していただきました」
「殿下が......?お二人で?」
「はい」
扇子を持つ手が止まる。ヴィオレッタの後ろにいた令嬢が意地の悪い笑みを浮かべた。
「殿下はお優しい方ですから、あなたのような田舎者を放っておけなかったのでしょうね」
(田舎者......?スティバーグ家はそこまで田舎ではないと思うのだけれど......)
「まさか。自分が特別だと思っていませんよね?」
「思っていませんよ。それに、私は殿下に気に入られなくてもどちらでも構いませんので」
しん、と空気が静まる。ヴィオレッタは扇子をたたみ、睨みながら
「平然を装ったって無駄ですわよ。どうせあなたも皇太子妃の座を狙っているのでしょう?」
私は即答する。
「こ、皇太子妃?そんなのまっぴらごめんです! 絶対なりたくありません!」
「は?」
「皇太子妃になったら何もできないじゃないですか。私は自由に冒険することが目標ですので! 皇太子妃ならぜひヴィオレッタ様が......」
「ふざけないで!!わたくしは──」
その時だった。




