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第12話 図書室で

しばらくレオンハルトと本の話をする。どうやら彼は最近歴史の本をよく読むらしい。

「リアナ。図書室に興味はあるか?」

「と、図書室!? 王宮の!? あるに決まってるじゃないですか!」


その言葉を聞いたレオンハルトはふっと笑った。

「なら案内しよう」

「いいんですか? ありがとうごさいます!!」


私はルンルンでレオンハルトの後ろに着いていく。家にももちろん図書室はあったが、王宮のとなるともっと広くて大きいはずだ。きっと珍しい本もあるのだろう。

(楽しみ......!! 王宮来てよかった!)


図書館に着く。私はその大きさに圧倒されていた。

目の前には天井まで届く程の本棚。どこを見ても本しかない。

「ここが王宮図書室だ」

「すごい......天国のようです!!」


散々、王宮には行きたくないと文句を言っていたことを忘れ、本棚へ駆け寄る。

「これ、絶版本......!? この冒険譚ってまだ残っていたの!?」

(住みたい......!!)

「気に入ったか?」

「気に入ったなんてものじゃありません!」


私は勢いよく振り返る。

「是非ここに住みたいです!!」

「それは困る」

「あ」


つい本音が出てしまう。

「この本を知ってるか?面白いぞ」

「『北の湖』?」


知らない本だった。題名を見る限り、旅の記録だろうということは分かった。

「面白いんですか?」

「ああ。特に最後の──」

「ちょっと! 先の話を言わないでくださいよ!」

「冗談だ」


私にとって本のネタバレほど悲しいものはない。自分で読むからこそ本は面白いのだ。

「借りてもいいですか?」

「ああ」

「ありがとうございます!!」


受け取った本を開き、中をパラパラと見てみる。地図や挿絵があってとても面白そうだ。

(早く読みたい)


そんなことを考えていると。一冊の本が目に入った。ずっと自分が探し続けていた本。一生手に入らないと思っていた本。

「あ!」


本棚に駆け寄り、背伸びをする。あとちょっとのところで手が届かない。指先が触れる。

「届かない......!!」


その時だった。すっとその本が抜かれる。

「え?」


背後にはレオンハルトが立っていた。私はびっくりしてつまづいてしまう。

(転ぶ......!!)


そう思った瞬間。レオンハルトに腰をしっかりと支えられていた。そのまま背中が彼の胸に触れる。

「無茶をするな」


すぐ頭の上から声が降ってくる。近い。近すぎる。私は慌ててレオンハルトから離れる。

「も、申し訳ございません!!」

「怪我がないのならいい。これを探していたのだろう?」


私が必死に取ろうとしていた本を差し出す。

「ありがとうございます」

「届かないのであれば呼べばいい」

「そんなことでお呼びする訳には......」

「構わない」


当たり前かのように言うものだから、私は返事に困った。

「私が毎回呼んでいたら殿下が大変です。それにここには何万冊も本があるんですよ! その度にお呼びしていたら大変じゃないですか」

「なら。一緒に見て回ればいい。そうすればその都度呼ぶ必要はなくなるだろう?」


私はパチパチと瞬きをする。そういうことをサラッと言うものだから驚いてしまった。

「変なお方ですね。殿下は」

「そうでもない」


そんな話をしていると後ろから声がした。

「殿下。会議のお時間でございます」

「ああ。直ぐに向かう」


私はほっとする。

「まだ案内しきれていない。東棟の図書室も残っている。また来るといい」

「ありがとうございます」


(東棟......少し気になる)


そんなリアナを見ていた側近のセシルは心の中でため息をついていた。

(殿下。そんな遠回しの言い方だとリアナ様はお気づきになられておられませんよ)

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