直接口説け、の返礼
「すごいな。直だ。電光石火だな。おい、どうするよ。」
私は物凄く嬉しそうな声を出したろくでなしを見上げた。
バルマン達が去ってすぐ、今度はアールがダグド領に来訪したのである。
アールは来ただけではなく、二日間の滞在をダグドに要求した。
ダグドは私には彼が認めた婚約者がいるとアールに伝えたが、それを知ったうえで二日だけ私との生活がしたいとアールがダグドに申し入れたのである。
「私達は友人となって、ええ、軽い気持ちだったがコポポの誓いを立ててしまったのですよ。私が二日だけでもしっかりとノーラを口説いて、そして、それでも全くノーラの気持ちが動かなければ誓いはそこで消えます。私個人としてはこのままでも全くかまいませんよ。私はノーラを愛している。愛するノーラの吐息を感じることもできるし、彼女が恋人と進んだだけ私も彼女と進めるというオマケもありますからね。」
ダグドは私のお尻を後でぶってやるぞという目線で私を睨み、それから嫌々そうにだがアールの望み通りの滞在を認めたのである。
以前に彼が泊った迎賓館で、私と彼が二日間過ごすというものだ。
私はカイユーもいるその場で、アールの申し出をそのまま認めるというダグドのアールへの滞在許可を聞く事になり、アールの下に行く途中でこの結果になった功労者に泣きついているとそういうわけだ。
誰にも使われない厩は、いまや私専用の相談部屋みたいだ。
私はイグサに顔を埋めて座り込み、アルバートルは柱に体をもたせ掛け、全く自分の責任など無いという立ち位置で、私の相談に乗るどころか面白がって私を揶揄うだけである。
「もう!それでどうしてカイユーと二日間会っちゃいけないのよ!」
「誓いとは神聖なものでございます。誓い合った二人、その誓いの効力を消すべく、その二人で努力しないといけないのです!ハハハ、奴はろくでも無いな。誰にも邪魔されない二人だけの二日間を手に入れやがった。お前は下着を絶対に脱ぐんじゃないぞ。心配なら鋼鉄の貞操帯を贈ってやろうか?」
「もう!どうしてそんな酷い事ばかり言うのよ!」
「いやあ、笑わないとやっていけないだろ。お前も笑っとけ。さぁ、いつもの考え無しのノーラさんに戻ろうか。早くあの家に行かなきゃ、アールの滞在時間ばかりが伸びてしまいますよ。」
彼の滞在二日のカウントは、私が彼と合流したそこから、なのである。
私がうじうじと動かなければ二日のカウントタイマーも動かず、私はそれだけカイユーと会えるまでの時間が伸びてしまうという最悪さ。
アールの予定というか、国を離れていられるのは三日間なのだそうだ。
三日以内にアールのところに行かなかった場合、呪印をいざ消したいと望んだらコポポル国に私が行かなければいけない事になる。
私はしぶしぶだが立ち上がるしかない。
「いいわよ。やるわよ。二日間仲良く過ごすわよ。彼が望むように友好的に。そのうえで私の心が動かないと知れば彼は私を諦めるし、誓いの呪印も消えるんでしょう。わかったわよ。一人で頑張る。だから、絶対に貞操は守るってカイユーには伝えて。信じてって。」
「バカ、お前。貞操を守れなかったらその時点でコポポル王妃決定だ。オメデトウ。そん時には俺が祝砲をぶっ放して領民全員に知らせてやるから心配するな。」
「ろくでなし!」
ああ、嫌われてもカイユーに相談すべきだったんだ!
「ほら、行くぞ。さっさと行って、さっさと終わらせろ。竜騎士団長の俺が直々にお前をアールの手に渡してやるんだからさ、大丈夫だろ。」
どう大丈夫にするのか知らないが、私はアルバートルに首根っこを押さえられる形でアールが待つ迎賓館に連行された。




