ミアと鬼っ子と別れ
シロロに助け出されたバルマン達六名の鬼は、シロロの術によって可愛らしい鬼の子供となって生まれ変わった。
バルマンはミアと同じぐらいの十歳ぐらいの少年の姿となり、白い肌にトウモロコシの髭のような金色の髪をして、血のように真っ赤な瞳をしていた。
角はミアと同じ一本だ。
バルマンの仲間たちの殆どはバルマンと同じような色合いの姿形であったが、三名だけは瞳が青く角は二本だった。
ダグドが赤鬼は角が一本で青鬼は角が二本が当たり前と、人間には知らないデミヒューマンの常識を口にしたが、シロロはダグドが時々歌う歌の通りにしただけと答えてダグドはしまったと言って自分の口を塞いだ。
鬼族にはもともと角など無いのだそうだ。
さて、子供の姿となってしまったバルマン達はリリアナによってシロロとウサギのダンスを踊らされる予定となったが、彼等は外見は子供でも中身は半世紀以上生きてきた人達であるので、ミアの滞在期間が切れる一週間後に自分達も一緒にダグド領を出ていくから踊れないと、とても丁寧に辞退をした。
「俺達は子供の身体でも人間の大人並みの力はあります。畑仕事も何でもできますから故郷に戻ります。君も一緒に来るかな?」
バルマンに誘われて、ミアが一瞬で彼に着いていくと決めた決断力は凄い。
確かに、子供でもバルマンはとてもハンサムなのである。
シェーラは姉の旅立ちと先行きが決まった事でようやく気持ちを落ち着け、一週間は姉の為に過ごしたいと鬼たちの滞在については彼女が全部引き受けた。
ミアの監督官だった私は職務放免だ。
それでは、私は私の生活を邁進するべきと気持ちを新たにしたのだが、私は鬼族の人達の服を縫う仕事に着かされた。
いくつかの図案と、それには全部色指定も布指定もされており、つまり、私は布を裁って縫うだけの人だ。
「ほら、ノーラってセンスが無いから。」
アリッサはさらっと言ってのけた。
「せっかくの餞別品が嫌がらせになったら申し訳ないわよね。」
リリアナはいつもの調子だ。
「いいわよ。指定された通りにやります。」
「ええ。その方がいいわ。しばらく館に閉じこもっていなさいな。あなたには何も考えないでいられる時間が必要だと思う。」
優しく微笑んでくれたエレノーラの言う通りだ。
私はカイユーに振られたのだ。
振られた事になるのだろう。
「ノーラ。俺との婚約を解消してくれ。」
城門前で、みんなのいるところで、ダグドだっているところで、彼は私にそう言った。
私は彼にいいわと言った。
自分が不幸だからって他人を不幸にしてはいけない。
私が不幸になっても、カイユーが望むのならば彼を解放してあげなければ。




