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最強AIの異世界転移  作者: 蓬莱
第2章 ぶっ飛ばせ!魔樹の軍勢
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第46話 覆る戦局

今話は第三者目線です。

ヴェイルは、受け入れがたい現実に唖然としていた。北西側はまだ戦線が保たれているが、北東側は既に古代魔樹(エルダートレント)が全滅してしまっていたからだ。


「バ、バカな! 果実を与えた奴らだぞ!? 先史魔樹(エンシェントトレント)並みに強化されたはずだ! それが、碌に足止めも出来ずに殺られた!? なんなんだアイツらは!?」


あまりの惨状に、ヴェイルは思わず抗議の声を上げてしまう。それ程までに、彼は ”果実” の力に自信があったのだ。


(まさかアイツら、偽物寄越しやがったのか? いや、そんなわきゃねぇ。人質取って押さえてる上に、果実は俺自ら査定した。不良品ならすぐ分かる。手下共もバカだが無能じゃねぇ。何ならその中でも精鋭を選び抜いた筈だ。それがまさか、ああも一方的にやられるとは………)


さらにヴェイルにはもう1つ、頭を抱えたくなる問題があった。


(まさか、あのローブの野郎がアルトだったとは。ウズールがあっさりやられたのも無理ないぜ。って事は、成程。アイツが指揮官か。アイツは空間魔法も使えるってあのバカ王弟が言ってたし、間違いねぇだろ。あんな手練れの魔族を従えられるのも、アイツなら納得だ)


実際は指揮官はミカエルであり、さらに上の纏め役としてカルメラがいるのだが、ヴェイルがそんな情報を知るはずも無く、彼の頭の中でアルトは ”手練れの魔族を複数従える存在” へと成りあがっていた。


(奴が相手となると、のんびりしてられねぇな。少し早いが、やっちまうか)


ヴェイルは腕を一薙ぎし、未だ床に散らばっていた果実を全て取り込む。そして壁に磔にされている少年と少女の元へ歩み寄ると、懐から一枚の紙を取り出した。


「お前ら、これが何か分かるか?」

「魔法契約書でしょ?」

「何それ?」

「魔法契約を結ぶ為の書簡だよ。一度契約したら、それに反する事をする度に災いが降りかかる」

「そう。例えばこれだったら、”身代わりになる契約” を結んでる。俺が怪我を負えば契約相手が怪我を負い、俺が死んだら契約相手が死ぬ。つまり契約相手が生きている限り、俺の安全は確実に保証されるわけだ」

「ま、そんな契約を結んでくれる、お優しい人がいればの話だけどね」


魔法契約は、結ぶ際にお互いの同意が必要となる。契約する者同士がお互いに契約を了承しない限り、魔法契約が結ばれる事は決してない。

――――ただし、契約を結びたくなるように、誘導する事は可能である。


「それがな、この契約は既に締結されてんだよ」

「へぇ、意外だね。誰がそんな契約を結んでくれたの?」

「はて? 誰だったか。忘れちまったが、契約を結んだ時の事は覚えてるぜ? ”契約を結ばないと、お前の親友達がどうなっても知らないぞ?” って脅したら、即契約に応じてくれたんだ。優しい女王蜂(・・・)だよな?」

「「っ!!!!」」


ヴェイルがにやりと笑ったその瞬間、少年と少女の脳裏に1人の人物の顔が浮かぶ。2人の親友である、女王蜂の顔が。


「ヴェイル、お前!」

「おっと! 抵抗するのは自由だが、俺を殺せるのはお前らのお友達が死んだ後だぜ?」

「貴様………!」

「この外道!」

「はっ、何とでも言え。そんな事より、今俺の計画に大きな支障が生じている。故に、お前らにも俺と契約してもらうぞ」

「ふざけんな! 契約なんか――――」

「落ち着いて。私達に選択肢なんか無いよ。私達が拒否したら、あの子が殺されちゃう」

「…………っ!!」

「そういうこった。ほれ、これが契約書だ。一読しとけ」


ヴェイルは新たに懐から2枚の契約書を取り出し、それを2人に向けて飛ばす。契約書には契約の内容が記されており、大まかにこのような内容になっていた。


・少年及び少女は、全身全霊を持ってヴェイルの為に尽くす事。

・ヴェイルの命令に逆らわない事。

・契約に違反した場合は2人の親友の命が消失するものとする。


以上だ。


「人質を取って奴隷にしようってわけか。どこまでも人をバカにしてくれる」

「でも、契約しないと、あの子が………!」

「分かってる。やるしかない」


2人は渋々契約書に魔素を流し込む。これが通常の契約書におけるサインであり、今この時を持って契約が締結された事を意味した。


契約書はすぐにヴェイルの元へと戻る。その瞬間、ヴェイルの両腕が突然木の根へと変化し、2人に襲い掛かった。


「んーーーーー!!?」

「んむーーーーー!!」


幾本もの木の根が絡みつき、契約のせいで抵抗も出来ず、2人は成す術なく木の根に飲み込まれていく。そんな2人に対し、ヴェイルは嘲るような笑みを浮かべた。


「お前ら勘違いしてるようだが、お前らは奴隷じゃねぇ。俺にとっちゃお前らなんて、養分でしかねぇんだよ」

「「っ!!」」

「安心しろ、殺しゃしねぇよ。ちょっとその王冠の力を借りるだけさ。出し惜しみなんてするなよ? 今結んだ魔法契約の事、忘れた訳じゃねぇだろ?」

「んむむむぅ!!?」

「”何が目的だ!?” って言いたそうな顔だな。俺の目的はただ一つ。種族の王になる事だ。この力を使って、俺は樹系魔族(トレント)草花魔族(プラント)の王になるのさ! ひゃははははっ!」

「「…………!!」」


悔し気な表情を浮かべながら、2人は木の根に絡めとられ、文字通りヴェイルの腕に飲み込まれる。2人を吸収したヴェイルは満足げな笑みを浮かべ、部屋から姿を消した。



*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*



ヴェイルが向かった先は、彼に名を与えた金髪の青年の部屋だった。


「よぉ、待たせたな。クルス王弟殿下」

「遅いぞ! これから兄上、いや、皇帝陛下と謁見だというのに、何をしていたんだ! さっさと行くぞ!」


いつものように苛立ちながら、クルスはヴェイルを引き連れて皇帝の元へと歩み出す。


「で、何があった? まさか、奇襲が失敗したのか?」

「そのまさかだ。北東側に送り込んだ手下共があっさり倒されちまったんでな、計画の調整をしていたのさ」

「な、またやられたのかお前の手下共は!?」

「あぁ、全滅だよ。とんでもねぇ手練れが送り込まれててな。この様子じゃ北西側も怪しい所だ」

「ええい! 何故こうも事が上手く運ばんのだ! 我らの目的は世界征服だぞ! こんな所で足踏みしている暇など無いというのに!」

「落ち着けよ。まだ俺達の計画は終わっちゃいねぇ。お前だって分かってるだろ?」

「それは分かっている! 分かってはいるが………!」

「それと、悪い知らせがもう1つある。今回突然現れた謎の集団なんだが、どうやらアルトが率いているらしい」

「っ!!!? それは本当か!?」

「あぁ。どうやら暗殺は失敗したみてぇだな」


ヴェイルの報告に、クルスは顔を真っ赤にして憤慨する。


「あの裏切り者めぇ! 我が国で雇ってやった恩を忘れおって! しかし、これは由々しき事態だぞ。奴はその気になれば、世界を滅ぼす事すら可能な怪物だ。下手に手を出せばこちらがやられかねん」

「安心しろ。その為に、さっき新しい力を手に入れて来た。奴が相手だろうともう負けねぇよ」

「力? それはどういう物なんだ?」

「簡単に言うと、全樹系魔族(トレント)草花魔族(プラント)の王の力だ」

「そんな物があったなら、何故今まで使わなかったんだ?」

「それを受け止められるだけの力を蓄える必要があったんだよ」

「不便な物だな。それで? 今はその力使えるのか?」

「あぁ、バッチリだ」

「ならば良いが、暴走してこっちが迷惑を被るような事だけはするなよ?」

「ハイハイ」


そんな話をしていると、いつの間にか皇帝の待つ玉座の部屋の前へと辿り着いていた。金の装飾が施された赤い扉の前で、クルスは名乗る。


「ヴァレス皇帝陛下! クルスに御座います! 召集に応じ馳せ参じました!」

「入れ」


重厚な扉が開かれ、クルスはヴェイルと共に玉座の間に入る。扉はすぐに締められ、部屋にいるのは3人(・・)のみとなった。


部屋は床も壁も磨き上げられて真っ白に輝き、扉から玉座までの道には赤い高級絨毯が敷かれていて、奥に荘厳な作りの玉座がある。一帝国を纏め上げる者の部屋として相応しい作りとなっていた。


そして玉座には、鎧を纏った厳つい青年が座っていた。現ヴィオンド帝国の皇帝ヴァレスである。まだ若いにも関わらず歴戦の猛者の風格が漂っており、眼光は鋭く凄まじい威圧感を放っている。ヴェイルはヴァレスの眼光に晒されても涼しい顔をしているが、クルスは緊張のあまりゴクリと唾を飲み込んだ。


「どうした? もっと近くへ来い」

「はっ。失礼致します」


2人は絨毯を踏みしめて玉座の前まで進んでいく。そして玉座の下までくると、ヴァレスに向かって跪いた。


「お久しぶりでございます。陛下」

「堅苦しい挨拶はいらねぇよ。今は俺達3人しかいねぇんだから。それよりも、侵略計画は順調か?」

「万事順調、とは言えないが、今の所計画通りに進んでいる。ただ、1つ大きな問題が発生した」

「問題?」

「実は、我らの計画を拒む集団がいるのだが、どうやらその集団を率いているのが、アルトらしい」

「何だと!? 確かか!?」


思わず玉座から立ち上がり、ヴァレスは驚愕の表情を作る。


「奴が敵に回ったら、俺らに勝ち目は無いぞ?」

「俺もそう思ったんだが、どうやらヴェイルが新しい力を手に入れたらしい。そうだったな?」

「あぁ、この力を使えば、アルトも、そのお仲間連中も、一網打尽に出来る」

「では、奴ら(・・)が到着次第、やってくれるか?」

「任せとけよ、皇帝陛下」


ヴェイルは不敵な笑みを浮かべ、窓の外を見やるのだった。



*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*



その頃、北西方面の戦局に動きがあった。


「グッ!」

「ハァ、ハァ………」


カイザー、蒼創と戦っていた古代魔樹(エルダートレント)達が、いよいよ限界を迎えたのだ。


「リ、”緑葉飛刃(リーフカッター)”!」


淑女の姿をした古代魔樹(エルダートレント)が掌を蒼創に向けると、掌から鋭利な木の葉が無数に打ち出される。全ての葉に切断力を強化するスキルが付与されており、その威力は白銀魔鋼(ミスリル)を切れる程強力なのだが、蒼創は動じない。


「”黄金触手群(テンタクルズ)”」


蒼創の足元に黄金の沼が形成される。そこから黄金の触手が無数に生え、木の葉の刃を全て叩き落とした。さらに触手は、地面に倒れ伏す古代魔樹(エルダートレント)達の四肢と首を縛り上げ、その上胴体に突き刺さり2人を拘束する。


「ガハッ!」

「ヌグッ!」

「無駄だ、もう君達に勝ち目は無い。大人しく君達の知っている事を全て吐いてくれれば、一瞬で殺してやるがどうする?」

「全て、吐けだと? バカにするんじゃないよ」

「お前達には何一つ渡さぬ。それに、たとえ勝てずとも、せめて致命打を与える事が出来れば御の字だ! ”呪葉旋風”!」


今度は紳士の姿をした古代魔樹(エルダートレント)が、呪いを付与した大量の木の葉を打ち出す。呪いの木の葉は一斉に時計回りに回転し、全てを切り裂く竜巻となって2人に迫る。


「ここは俺に任せてくれ」


カイザーが一歩前に出て、竜巻に向けて剣を構える。


「”皇帝斬裂波(ゴブリン・バッシュ)”!」


カイザーが剣を縦に振り下ろすと、斬撃型の『ゴブリン・バスター』が打ち出される。ただでさえ『ゴブリン・バスター』は、国を機能不全に陥れる一撃。それが斬撃という形に凝縮され、『絶対切断』を付与される事で切断力を上昇。こうなっては最早竜巻など、ものの数に入らない。


スッ――――


豆腐でも切るかのように、斬撃は竜巻を一瞬で切り裂き霧散させる。それだけに留まらず、斬撃は目にも止まらぬ速さで古代魔樹(エルダートレント)達に迫る。


「「………へ?」」


間の抜けた声を上げた時、既に古代魔樹(エルダートレント)達は半身を吹き飛ばされていた。大地も抉られ、斬撃の軌跡がずっと遠くまで続いていた。


「は、はは。まさかこれ程とは………」

「これが、本物か(・・・)………勝てるはずもない………」


死の間際にそう言い残し、2人は絶命する。遺体はハラハラと塵になって消えていった。


「カイザー君! 私の獲物まで吹き飛んでしまったじゃないか」

「む、すまない。まだこの剣の力に慣れていなくてな。上手く加減できなかった」

「確か、称号『アーサー』だったか? ”剣の王” とか言う大層な異名を持つ称号だそうじゃないか。そのカリバーンって魔剣も、その称号の力で呼び出してるんだろ?」

「そうだ。コイツを持っている間、俺の剣技の威力は数倍になる。ただでさえ俺には『剣術超強化』があると言うのに、この魔剣の相乗効果でさらに威力が上がってしまうから、調整が大変なんだ」

「なら、それを使いこなせるようになった時、君は今より数段強くなる。その時が待ち遠しいよ」

「何だかんだ言って、あなたも戦いが好きなのだな」

「鬼ってのは喧嘩してなんぼだからね。1度負けた相手には勝つまで、それが出来なかったとしても一泡吹かせるまで挑み続ける」

「俺はあの後、既に何度もあなたに負けているのだが?」

「力を使いこなした君を倒すまで、勝ったとは言えないよ」


そんな風に、2人が和やかな時間を過ごしていたその時だった。


「「っ!!!!?」」


まるで大地震でも来たかのように、突如大地が震え始める。同時に、数キロ先で途轍もない力を持つ者達が出現したのを2人は感じた。


「何だ!? いったい何が!?」

「分からんが、とんでもない強者が現れたのは間違いない。取り敢えず、ミカエル様に報告しよう」


異常を感知した2人は、ミカエルに連絡を取る事にした。


《ミカエル様! 聞こえるか!?》

《えぇ、聞こえます。それと、今の現場の状況も把握しています。どうやらヴィオンド帝国周辺に、先史魔樹(エンシェントトレント)が5人姿を現したようですね》

《5人!? 確か、敵の首魁も先史魔樹(エンシェントトレント)だったよな? それが一気に5人も………! もしや、黒幕が自ら出張って来たのか?》

《いえ、それは無いでしょう。今までもずっと隠れて活動していた奴です。今になっていきなり出張ってくるとは考えられません。それと、どうやら樹系魔族(トレント)だけではないようです》

《他にも何かいるのか?》

草花魔族(プラント)の上位種、先史草花魔(エンシェントプラント)も5人姿を現しました》


先史草花魔(エンシェントプラント)先史魔樹(エンシェントトレント)と同じく、草花魔族(プラント)の中でも長く生きた個体が進化を遂げる事で誕生する魔族である。草花魔族(プラント)樹系魔族(トレント)は長きに渡り協力関係を結んでいる為、両者の上位種が同じ場所に現れる事はおかしな話ではない。だが、その出現場所に関しては、とても偶然で片付けられる物ではなかった。


《ヴィオンド帝国を中心に、円を描くように出現している………。これでヴィオンド帝国周辺は、樹系魔族(トレント)草花魔族(プラント)に囲まれた形になりますね。恐らく、例の先史魔樹(エンシェントトレント)の指示によるものでしょう》

《指示を出した奴も、それを実行した奴も先史級(エンシェント)。って事はつまり、その9人は同格の奴をボスと認めて従っているのか? だとしたら、ボスの先史魔樹(エンシェントトレント)は、いったい何者なんだ?》

《分かりませんが、少なくとも通常の先史魔樹(エンシェントトレント)と同じように考えてはいけないようですね。それこそ、果実を食して力を得ていると考えた方が良いでしょう》

《果実?》

《先程、桃華やスララさんの協力もあって、奴らの謎の力の解析が完了しました。どうやら敵は、ある称号の力で作られた果実を食して力を得ていたようなのです》

《何と! 称号の加護を受けていたのか! 道理で強い筈だ》

《えぇ。詳しく解析してみた所、果実はたった1つで力を数十倍増幅させるようです。奴らのあの驕りも当然と言えば当然で――――》


その時だった。突然、地面全体に何者かの魔素が充満し始め、周りの木々、草花達が一斉に動き始める。


「カ、カイザー君? 何か嫌な予感がするんだが?」

「奇遇だな。俺もだ」


そして、その予感は的中する。動き始めた植物達に禍々しい顔が浮き出て、2人に襲い掛かって来たのだ。


《行けっ! ”闇魔人形(ダーク・ゴーレム)”!》


カルメラの声が響いた瞬間、暗闇の中から2つの真っ黒な人影が飛び出し、手にした『赫灼幻想剣』で植物達を一網打尽にする。これはミカエルが作った新スキル、『深淵喰闇』を材料にしたゴーレムで、”光魔人形(シャイン・ゴーレム)” と同等レベルの力を誇る。生まれたばかりの魔物など敵ではない。


《2人共、無事!?》

《あぁ、問題ない》

《すまない、助かったよカルメラ様》

《油断しないで! まだまだ来るよ!》


植物は周りに幾らでもあるため、魔物は次から次へと出現する。突然の事態に、ミカエルは困惑していた。


《こ、これはいったい!?》

先史級(エンシェント)が持つ種族スキル『魔ノ森』だよ。そこらの植物を魔族化させる事が出来るスキルさ》

樹系魔族(トレント)草花魔族(プラント)は、魔素に侵された土で自然に発生するが、先史級(エンシェント)はそれを人工的に、そして瞬時に行う事が出来る。10人もいるなら、この国まるごと森に変えることも可能だろうな》


襲い来る魔物の大群を相手しながら、蒼創とカイザーがそう答える。改めて周りを調べてみると、確かにヴィオンド帝国を含めた、取り囲まれた地域内全ての植物達が魔物化していた。


(敵はこの地域一帯を魔物の巣と化し、多数の増援を得た。そしてそれを動かす指揮官が10人。さらにその10人を従える首魁がいる。もっとも、首魁自身は出てこない可能性が高いですが。対してこちらはたった9人。………いえ、7人(・・)ですね。雷電と牙猛はこれ以上の戦闘は厳しいでしょう。残り7人も、多少なりとも消耗している。マズいですね)


戦況は大いに不利。下手をすれば死人が出る可能性もあった。


(まずは雷電と牙猛の救出。2人の事はユグノーに任せて、その後は…………どうする?)


あまりに不利な状況に、ミカエルは頭を悩ませた。

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