宝探し
結局、全員で行くことになった。
昇降口から出て校門に向かう途中に、椅子に腰掛けた学校創設者宇手間吉次先生の像がある。スーツを着て肘掛椅子に深く腰をかけた、等身大よりは少し小さいブロンズ像が、肩の高さほどの大理石の台座の上に据えられていた。台座は、円形に芝生が植えられた区画の中心に設置されていて、茶色く冬枯れた芝生の上には絶え間なく雪が舞い降りていた。台座は芝生の区画中心に設けられたコンクリートの基礎の上に置かれ、タイムカプセルが納められるような、蓋は見当たらなかった。芝生の部分も、芝の根が絡んで地面を掘るのは難しそうだった。
そもそも謎を解いた(もしくはギブアップした)夢ちゃん先生に渡すものを一時的に隠しただけのはずなのだ。地面を掘って埋めるなんて大掛かりなことをするだろうか? それとも、二十六年前は砂利とか簡単にものを埋め込むことができる状態だったのだろうか?
牛田はスコップを手にしたまま、どうしたものかと思案していて、彼の頭の上には田崎が差し出した傘がかかっている。
僕の頭の上にも野中さんが傘をさしてくれていた。振り返ると、少し離れたところに、夢ちゃん先生と一ノ瀬薫が一つの傘の中で肩を寄せ合っていた。
足の下というのが指示だ。
足の麓、ではない。地面に埋めていたとすると遠すぎる。
僕は、「ちょっとごめん」と野中さんに声をかけて傘を高くしてもらうと立ち上がって、ブロンズ像そのものを調べ始めた。
靴の部分がそのまま台座と一体となっていると思っていたのだが、そうではなく数センチ浮いていて、靴の裏と台座の間は鉄の支柱で繋がれていた。
僕は両足の底を調べた。横から見ると、左足の下の支柱は右足のものに比べて随分と奥行きがある。その部分を横からスコップの先で軽く突つくと、骨組みだと思っていた後ろの部分がずれて動いた。
「あった」
足裏と台座の隙間にぴったりと収まる箱が挟み込まれていた。二十六年間、誰にも気づかれることなくここにあったのだ。
僕の言葉で、皆が一斉に集まってきた。
「崩れちゃうかもしれないからゆっくりね」
そう言いながら一ノ瀬さんも傘を差し出してくれた。取り出す物が濡れてしまわないように、みんなの傘が僕の頭の上に掲げられた。
言われるまでもない。
途中までスコップで突いた後は慎重に指でつまんで引っ張りだした。指先が錆びだらけになったが、とにかく崩れずに引っ張り出せた。それは手のひらに乗るくらいの小さな缶だった。




