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第四十四話 心霊スポット突撃動画撮ったから見て!⑰

 ちょっと情報量が多いので、整理することにした。主にラストの一撃が激しすぎて、薔薇も夕映も、ちょっと心臓の挙動がおかしい気がする。むろん精神的ショックによるもので、二人は健康そのものだが。


 夕映は、昼食時の騒動の時から、夢奈と日野の幽霊が「みえ」、ふたりがずっと薔薇に話しかけていたので、伝えなくては、と思ったのだという。とはいえ、他にも人がいる教室では上手く切り出せずにいたところを、薔薇が教室から抜け出したのでついてきたのだそうだ。霊と三人で。

 不思議なくらい、ふたりの霊からは恐怖を感じなかったそうだ。

 ふたりの発言については異議申し立てしたい薔薇だが、いまここに残るのは夕映だけである。言っても困らせるだけだし、と薔薇は黙って話を聞く。


 なにしろ、一番の問題はラストだ。


 薔薇の目に見えないところで進む事象のクライマックスが金髪タテロールとは、どういうことなのか。


 夕映も「自分のみたものが本当に「現実」なのか信じられないのは、幼い頃以来」と前置きしてから言うには、古風な感じのロングスカートの美しいメイドさん(長い金髪タテロール)が、後光と共に現れ、優しくふたりを導いて、「あちら」へ連れていったのだという。過去、いわゆる「浄化」や「成仏」するときに見る光と同じ眩しさと、たまにその光の中にいる「存在」だということは、直感的に「わかった」のだが、ビジュアルに盛大な違和感がありすぎる。

「えっとでも……いい人そうだったんだよね?」

「あ、うん。ふたりもめっちゃ驚いてたけど」

「驚かない人いるの……あ、あたしの家族にいるわ」


 それから、薔薇は昨日の一連の行動と経緯を、一部危険なところはぼかし、情報を伏せて話して聞かせた。

 総合病院へ行き、夢奈たち三人のスマホを壊したこと。

 帰宅したら、鶺鴒から、解決できる人材が来る前にクラスメイトを含めた多くの人の命が危ないと説明されたこと。

 少しでも被害を減らすべく幸広と旧飛綿離病院へ向かい、無事に日野凱斗の遺体を回収して、家族に届け、スマホもコナゴナに破壊済みであること。


「だから、今度ウチに遊びに来てね。幸ちゃんも、あと浮草も会いたがってるから」

「そ、そうなんだ……」

「だいじょうぶ。鶺鴒はしまっておくから、こわくないよ」

「そういうことじゃなくて……まあいいや、それは。とにかくそれで、オレたちや折笠先生も日野のことを()()()()()のか。朝のホームルームで葬儀の話が出る瞬間まで、完全に忘れてた」

「姫川くんは、やっぱり日野くんの悲鳴が動画から聞こえてた訳じゃないんだね。まあそういう感じで、元動画の数が一個になったから、今朝の恐怖体験は小松さんの仲良しさんたちだけだったでしょ」

「そうだったんだな。オレも届かなかったし、だから防人がいろいろ暗躍したのかななんて思ってたんだけど……ほんとに色々やってたんだな……」

 ナチュラルに薔薇が裏で動いていると受け入れ済みの夕映である。だが一定レベルの「みえるひと」は、わりと簡単に納得し勝ちなのは、この業界の謎のお約束といえる。一般人が戸惑うところを、何段階か飛び越えたところに日常があるので、異常の難易度設定がおかしいのだ。

 薔薇は、外さんの話はしなかった。「病院の呪い」という雑にひとつにまとめたが、夕映にとってはその方が良い。なにしろ彼は、「みられている」ことを「しっている」からだ。だから、旧飛綿離病院に何重にもかけられている、認識を阻害する術に紛れ込ませて「みないフリ」をさせておく方が良い。夕映も、はしょられていることには気付いていたが、スルーした。世の中には、知らない方が良いことがたくさんある。他人より余計なものが「みえる」ぶん、身に染みて知っているのだ。そして、「あちら」に対する自衛手段のひとつとして非常に強力なことも、長年の経験から知っている。


「でも、じゃあ、なんでだ?」


 薔薇の話を聞き終え、夕映もまた首を捻る。「超みえるひと」である鶺鴒が、横紙破り的に、最終手段の己の妹を送り込んだのだ。

 だが、心霊スポット突撃動画のメンバーは全員死んだ。

 なのに、死んだにも関わらず、夢奈と日野は、薔薇にお礼を言いに霊となって現れた。

「あたしが日野くんの死体を動かしたり、みんなのスマホを壊したのが原因としか思えないんだけど…」

 わずかに薔薇の声に湿り気が宿る。

 だがもとを正せば、行ってはいけないところに入り込んだのはあの六人なのだ。その代償が「死」であるのは確かに重すぎるのかもしれないが、関係ないクラスメイトたちまでかなり怖い思いをさせられている。

 夕映は自業自得じゃないかと思うが、なぜだか自責している薔薇にかける言葉を探して弱々しく眉を下げる。

 なんでか凹む大小コンビの間に沈黙が落ちーー薔薇のスマホが震えて、液晶画面に「兄・鶺鴒」の名前が浮かび上がった。

本文にもありますが、夕映は「みえるひと」なので、薔薇の行動の異常性や怪力についても「世の中には、そういう人もいるよね」とわりと抵抗なく受け入れています

常識の階層が、「みえない」人とは違うからですね


ただまあ、薔薇自身がヒトゴロシをしていたり、ヒトゴロシを黙認するのを見たとき、夕映はどう思うのでしょうね

いまのところ、そこまでの修羅場には関わっていませんので、ふたりの友情は続いていますが……楽しみですね

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